私のいたブラック企業の忘年会はやはり「普通」ではありませんでした。良くも悪くも私を成長させてくれた過酷な忘年会の話をここに書いていきます・・・・。
初めての忘年会
私がブラック企業に入社してしばらく経過した頃
「忘年会」が行われました。
しかし、月収が10万以下の人間が殆どの「超ブラック会社」の忘年会は
本当に悲惨なモノでした・・・・・。
私の当時の月収はせいぜい「月5万程度」
※この会社の雇用形態は
「完全歩合」の「個人事業主扱い」なので
保険や税金を引かれるので大体「5万以下」で「月収0」の人も普通にいました。
なのでまずお金が無いので「忘年会で居酒屋を予約しよう!」
なんて事には絶対になりません!
30人以上の社員が小さな事務所にギュウギュウ詰めになって、
みんな床に座って宴会を始めます。
超ブラック企業の「何もない」事務所
この会社30人以上の社員がいるにも関わらず
ただ、何も無い空間が広がっています。(社長の机が一つあります。)
一応営業会社なのに、なんでパソコンや机が無いのか?
社長が言うには
「ユニクロは会議で椅子と机を無くしたら会議の効率が良くなったんだよ!」
と言っていましたが、本当でしょうか?
今考えると、いつでも会社を畳んで逃げられるようにしていたのかもしれません。
毎年会社の事務所内でみんなで1000円ずつ出し合って
安いお酒や、お惣菜、お菓子等を事務所の床に座って食べました。
ブラック企業の出し物
一般企業だと、忘年会はカラオケにいったり、
景品が出るビンゴ大会をしたりするのでしょうか?
私のいた超ブラック企業は「みんなでトランプ」をしました。
そして負けた人それぞれに罰ゲームでネタをさせられて、
ワイワイ盛り上がっていました。
19時ごろから始まった忘年会も
22時を迎えて解散ムードが高まってきました。
そこで社長は
「じゃあ最後にゲームで負けた人には30人わらかしをやってもらおう!」
と言い出しました。
※30人わらかしとは?無表情で座る社員全員を
「何をしてもいいから笑わせろ」という酷い罰ゲームなのです。
もちろんみんな全力で笑わないようにしてきます。
これにはみんな(マジかよ・・・)とザワザワしはじめました。
大きな罰ゲームを決めたことにより
ゲームにも緊張感が増して盛り上がります。
そしてトーナメント形式で行われたゲームで最後に負けたのは
新入社員の私でした。
頭が真っ白になった。
いやいや、まさか新人にそんな事やらせないハズ!
社長や先輩をチラッと見つめます。
みんな笑顔で
(やれ)
という意思表示をしてきます。
社員全員30人を笑わせろ
罰ゲームで負けた私の目の前には
無表情で座る30人以上の社員がいました。
みんなの前で一人立ち尽くす私に向かって社長が
「じゃあスタート!」と言います。
みんな目を見開いて無言で私を見つめています。
音楽も止められ事務所内は完全な無音状態です。
コミュ障の私はただ立ち尽くすことしか出来ませんでした。
友達もいない彼女も出来たことが無い私には、こうやって「みんなで騒ぐ」という経験すら無かったのです。
(こんなもの出来るわけがない・・・・)
全身の震えが止まりません。
しかし、姑息な私は内心こう考えていました。
(しばらくしたら誰かが止めてくれるはず)
しばらく黙っていれば
「仕方ないな・・別の罰ゲームにかえようか?」
なんて話を誰かが振ってくれると期待したのです・・・。
甘かった!
1時間
2時間たっても、みんな無言でただ座り続けています。
しかし「朝まで」立ち尽くす事になるとは夢にも思いませんでした。
絶対に終わらない罰ゲーム
12時を回ると何人かの女子社員は「お先です」と言って帰っていきました。
しかし殆どの社員は眠そうにしながら座り続けます。
静かに食事や雑談や世間話はしていました。
私は壁に寄りかかりながら、放心状態になっていました。
彼らもここまで来るともう「意地」なのでしょう。
いまさらもう私が「笑わせてくる」とは考えていません!
「笑わせられないなら絶対にこのまま立ち尽くさせてやる!」
という彼らの意地を感じました。
この会社の社員は元犯罪者・元ヤンキーが多い。
私が入社した当時も「元ヤンキー率なら90%」を超えていました。
※私は警察官をクビになっただけで普通の一般人です
こういうよくわからない状況で
彼らの鍛えられた「根性」が発揮される事になったのです・・・。
もう罰ゲーム開始から6時間あまりが経過していました。
途中トイレに行かせてもらってトイレでちょっと泣きました。
そして私は頭の中で妄想を始めて現実逃避をはじめてました。
壁になったわたし
6時間あまりも私は何をしていたのか?
私はひたすら妄想をして現実逃避を始めていました。
壁にピタリとくっついて
(自分はカベだ・・・自分はカベだ・・)と言い聞かせていました。
カベだからこんな状況でも何も感じない
そう思うようにしていたのです。
ええ、
あまりのプレッシャーに頭がおかしくなっていたのでしょう。
解放
朝になり、道路に車の走る音がし始めると
ウトウトしていた社長がパッと目を覚まして
「よし!じゃあそろそろ帰ろうか!」と言いました。
するとみんな、無言で立ち上がり私の方を見ることもなく事務所を出て行きました。
(やっと・・・やっと帰れる・・・・)
フラフラになりながら、私は心から安堵しました。
そして気まずいので、ゆっくりコソコソ最後に事務所から出ました。
しかし!カギを閉めるために社長が入り口で待っています。
すると社長が私に向かって笑顔でこう言いました。
「続きは新年会でやろうね」
眠気が完全に吹き飛びました。
冗談で言っているのだろうか??
この数時間を見ていたでしょう????
そんなの出来ませんよ????
色々思ったことはありましたが、私は
「がんばりまぁす・・・」
と小さな声で言って家に帰りました。
姑息なわたし
家に帰ってからも姑息な私は
(いや、まさか冗談だろ)
(きっと新年会の頃には忘れているさ)
と都合の良いように考え始めていましたが・・・・。
しばらくしてから考え直しました。
(いや、やる!)
(あの人たちはまたやらせてくる!)
そして闘志が沸いてきました。
このままじゃダメだ!!
自分は何も変わらない!
考えてみると
いま自分の友人や彼女が居ないのは
「自分がつまらない人間」だからではないだろうか?
そう思えてきたのです。
(たぶんこれは間違い無い)
30人を笑わせられれば何か変わるんじゃないか?
新年会までに「面白い人間」にならなければ・・・・。
私はその日から芸人さんのコントやバラエティ番組を見て
「笑い」の勉強をはじめました。
面白い人間とは何なのか?
魅力的な人間とは何なのか?
どうしたらあの状況で30人もの人間を笑わせる事が出来るのだろうか?
私は毎日必死に考えていました・・・・。
新年会の話につづく