さいたま市で昨年5月、全裸で路上を徘徊(はいかい)したとして公然わいせつ罪に問われた埼玉県川口市の会社員の男性(31)に対し、さいたま地裁(横山泰造裁判官)は9日、「通行人女性が目撃した犯人が被告であるとするには合理的な疑いが残る」として、無罪(求刑・懲役5月)を言い渡した。
公判で、弁護側は「男性は全裸にカーディガンだけを羽織って立っていたが、(起訴状の犯行現場から)約180メートル離れた場所だった」と無罪主張した。
判決は「犯人は陰部を両手で隠していた」とする女性の証言が被告の供述と一致していない点などを挙げ、検察側の立証は不十分と結論付けた。
判決朗読後、横山裁判官は男性に「あなたが(路上で)裸になったのは事実。証拠が足りなかったから無罪になったと肝に銘じてほしい」と説諭した。【内田幸一】