映画などの舞台やモデルになった場所をファンが訪問-。今年の流行語大賞のトップテンに選ばれた「聖地巡礼」が佐賀県唐津市でも繰り広げられている。フィギュアスケートのテレビアニメ「ユーリ!!! on ICE」の主人公の出身地「長谷津町」のモデルは同市とされ、週末や祝日になると、ユーリファンの女性たちがゆかりの場所にどっと押し寄せている。
【画像】アニメに登場する「実家のカツ丼」を注文して撮影するファン
ユーリは10月に放送開始。主人公のフィギュアスケーター勝生勇利(かつきゆうり)が世界大会に向けてコーチと二人三脚で成長する物語で、唐津城や唐津駅に似た風景、北部九州の言葉遣い、同県鹿島市の光武酒造場の焼酎「魔界への誘い」や伊万里市の鳥料理店「ドライブイン鳥」などの名称も登場する。
主人公の実家は温泉を営んでいるとの想定だが、そのたたずまいが唐津市の鏡山温泉にそっくり。アニメの場面と実際の場所を比較する画像もインターネットの短文投稿サイト「ツイッター」に投稿されている。
11月23日の勤労感謝の日、鏡山温泉を訪ねると、食堂で多数の女性客が皆、そろってカツ丼を食べている奇妙な光景に出くわした。ユーリには「実家のカツ丼をイメージして踊る」という描写があり、ファンが追体験しているのだった。
友人とカツ丼を食べていた長崎市の会社員(21)は「作品の舞台の雰囲気を味わいたかった。実際の場所がアニメでどう工夫しているのかも気になる」と話した。他のアニメの聖地巡礼も楽しんでおり、イタリアにも足を延ばしたこともあるという。
佐賀市の30代女性は「近場の九州が舞台だったら行きたい」。共通しているのは作中人物の世界観を、実体験を通してもっと理解したいという気持ちだ。
従業員は「若い女性が複数できたら必ずカツ丼を頼まれます」と話す。休日の来館者はぐんと増え、専務の山口信親さん(38)は「これまで1日7杯くらいだった注文が今では70杯。ユーリ効果」と笑顔を見せる。
一方、温泉の更衣室でも撮影する人がおり、コスプレも他の客に迷惑がかかる恐れがあるのでやめてもらっている。「節度をもって楽しんで」と呼び掛けている。
=2016/12/08付 西日本新聞朝刊=
西日本新聞社
北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。
読み込み中…