1、誰か―Somebody
今多コンツェルン広報室の杉村三郎は、事故死した会社の運転手・梶田の娘たちの相談を受ける。
一見普通な梶田の人生をたどり始めた杉村の前に、意外な情景が広がり始める――。
稀代のストーリーテラーが紡ぎだした、心揺るがすミステリー。杉村三郎シリーズ第一弾。
(アマゾンより引用)
2、幻色江戸ごよみ
怪異・怨霊、そして人の情。江戸の片隅で、貧しくも精いっぱい生きた人々の喜びと悲しみを、四季折々の風物とともに綴る珠玉の12篇。時代小説の新しい世界を開示した待望の作品集。(アマゾンより引用)
3、孤宿の人
北は瀬戸内海に面し、南は山々に囲まれた讃岐国・丸海藩。江戸から金比羅代参に連れ出された九歳のほうは、この地に捨て子同然置き去りにされた。幸いにも、藩医を勤める井上家に引き取られるが、今度はほうの面倒を見てくれた井上家の琴江が毒殺されてしまう。折しも、流罪となった幕府要人・加賀殿が丸海藩へ入領しようとしていた。やがて領内では、不審な毒死や謎めいた凶事が相次いだ。
(アマゾンより引用)<<
4、模倣犯
未曾有の連続誘拐殺人事件を重層的に描いた現代ミステリの金字塔、いよいよ開幕!
(アマゾンより引用)<<5、鳩笛草―燔祭/朽ちてゆくまで
超能力を持つ三人の女性をめぐる三つの物語。
(アマゾンより引用)予知夢を見る少女
祖母と暮らしていた智子は、ある日祖母が亡くなり突然一人になってしまいます。
実は両親は交通事故により無くなっているのでした。
家を処分するため家財道具を整理する智子は、ビデオテープの山を見つけます。
ビデオには幼い日の自分を両親が記録したシーンが残っていた。
やがてそれが事件や事故などを幼い自分が予知していたものと分かる。
実は、過去の智子には夢で予知ができる能力があった。
両親はなぜそんなものを残したのでしょうか。死の淵
智子がビデオテープに火をつけるシーン。とても印象的なシーンです。
実は智子はある誤解に基づいてそのような行動をとってしまうのですが、その内容がとても悲しいものなのです。
そして、死の淵で智子が夢を見るシーン。智子の両親の最期が判明します。
この作品で最も印象に残るシーンです。
これらの出来事を経て智子にはある変化が起きるのですが…
とにかくこれらのシーンは最初に作品を読んでから10年たっても印象に残るものでした。宮部みゆきの超能力もの
宮部みゆきさんはいくつかこのような超能力を持った主人公の話を書いておられます。
「朽ちてゆくまで」が収められた短編集「鳩笛草」はそのような特殊能力を持った3人の女性が主人公です。
3つの物語はそれぞれ読みごたえがあります。
宮部さんの作品には、昭和の時代に起きた大きな事件や事故を題材にしたものがあり本作もその一つではないかと思います。
東京下町の団地に住む小学5年の亘は、テレビゲームが好きな普通の男の子。
そのワタルの身に降りかかった思いがけない家族の不和。この運命を変えることはできるのか?
和冒険ファンタジーの金字塔、ついに文庫化!(アマゾンより引用)<<7、小暮写眞館
家族とともに古い写眞館付き住居に引っ越ししてきた高校生の花菱英一。変わった新居に戸惑う彼に、一枚の写真が持ち込まれる。それはあり得ない場所に女性の顔が浮かぶ心霊写真だった。不動産屋の事務員、垣本順子に見せると「幽霊(そのひと)」は泣いていると言う。謎を解くことになった英一は。待望の現代ミステリー。 (アマゾンより引用)
8、おそろし 三島屋変調百物語事始
17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに心を閉ざした。今は江戸で袋物屋・三島屋を営む叔父夫婦の元で暮らしている。三島屋を訪れる人々の不思議話が、おちかの心を溶かし始める。百物語、開幕!
(アマゾンより引用)9、今夜は眠れない
うちに5億円の遺産が!?なぞの大金にふりまわされる平凡な3人家族。
真相を解明すべく、中学生コンビが大活躍!びっくり仰天の結末を読みおわるまでまさに「今夜は眠れない」!!
(アマゾンより引用)10、クロスファイア
「必ず、仇はとってあげるからね」正義とは何か!?裁きとは何か!?
哀しき「スーパーヒロイン」の死闘を圧倒的筆致で描く。
(アマゾンより引用)現代で火を放つ主人公
舞台は現代。バイロキネシスという火を起こすことのできる超能力を持った主人公が事件に巻き込まれていくお話です。
大体そういった設定の話というのは舞台が魔法の国だったり、
あるいは超能力者がたくさん出てきて、超能力合戦になったりするかと思うのですがそんなことはありません。あくまでも現代社会の中で超能力を持った一人の女性が主人公で、
宮部みゆきさんらしい刑事ドラマありのミステリー・ファンタジー小説となっています。自分の能力に苦しむ主人公
主人公は自分の能力をずっと隠して生活していました。
そのため人ともあまり関われず、感情を表に出すこともありません。そうしてしまうと周りの人間が燃えてしまうかもしれないからです。
印象的だったのは、寝ながら自分の能力が発動してしまうシーンです。
しかしそれももう慣れっこのようなもので、
あらかじめ台所のシンクかなにかに水を溜めており、
そこにうまく熱量を放出するといった感じのシーン。主人公の苦悩が伝わるとても印象的な場面でした。
悪と立ち向かう主人公。そして刑事
世の中にはどうしようもない人間がいます。連続女子高生轢殺事件を繰り返す少年グループ。
彼らは遊び感覚で人を殺し、しかしその度に様々なコネなどを使って無罪放免となっています。
そんな人間たちに怒り狂った彼女。
そしてその後に起きた事件を追い、
過去の類似事件と関連付ける刑事など、様々な視点で物語は進行していきます。分量は上下巻とかなり多めになっていますが、そんなことは気にならないくらいの勢いで読めてしまう良作です。
11、希望荘
その部屋には、絶望が住んでいた――。
宮部ファン待望の14か月ぶりの現代ミステリー。特に人気の「杉村三郎シリーズ」の第4弾です。
本作品は、前作『ペテロの葬列』で、妻の不倫が原因で離婚をし、義父が経営する今多コンツェルンの仕事をも失った杉村三郎の「その後」を描きます。
(アマゾンより引用)12、荒神
元禄太平の世の半ば、東北の小藩の山村が、一夜にして壊滅状態となる。
隣り合う二藩の反目、お家騒動、奇異な風土病など様々な事情の交錯するこの土地に、
その"化け物"は現れた。(アマゾンより引用)13、蒲生邸事件
突如ホテル火災に見舞われた受験生・孝史。謎の男に助けられた先はなんと昭和十一年。
当代随一の名手会心の日本SF大賞受賞作!(アマゾンより引用)14、理由
事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか――。東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった……。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする。(アマゾンより引用)
15、ステップ・ファザー・ステップ
中学生の双子の兄弟が住む家に落っこちてきたのは、なんとプロの泥棒だった。そして、一緒に暮らし始めた3人。まるで父子のような(!?)家庭生活がスタートする。次々と起こる7つの事件に、ユーモアあふれる3人の会話。宮部みゆきがお贈りする、C・ライス『スイート・ホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作!(アマゾンより引用)
泥棒と双子の不思議な関係が面白い「ステップ・ファザー・ステップ」
双子の少年に脅される泥棒
泥棒を生業にしている主人公が、狙った家に入ろうとしていたところにまさかの落雷。
そんな主人公を助けたのは、盗みに入ろうとした家の隣に住む双子の兄弟。
うり二つの双子は主人公に対し、泥棒に入ろうとしていたのを見逃す代わりに
「両親がそれぞれ駆け落ちしてしまったから、僕らのお父さんになって欲しい」と要求してきます。弱みを握られた形になった主人公はしぶしぶそれを受け入れ、双子との奇妙な疑似親子生活が始まってしまいます。
双子と主人公の関係性の変化に注目!
ポイントはやはり双子と主人公の関係の変化です。
最初は渋々受け入れた主人公ですが、聡明な双子との生活がだんだんと楽しくなっていきます。
そんな自分に戸惑ったりしつつも、距離が縮まっていくのがほほえましいです。
連作短編形式の物語は、
一つ一つ話が重なっていくごとに彼らの関係性も深まっていくようで次々と読み進めてしまいます。時に生意気な双子はそれでもやっぱり子供で、
そんな彼らを邪険に仕切れない主人公の姿はこのまま疑似家族状態がずっと続けば、
駆け落ちした両親共々みんな幸せに丸く収まるんじゃないかという願望すら湧いてきてしまいます。
善悪だけでは人間は測れない
ミステリの主人公はだいたいが善人です。
泥棒が主人公のこの物語は、そういうものから少し外れているとも言えるでしょう。
当然ながら彼は犯罪者で、彼の周りの懇意にしている人々も同じく仲間です。
しかし、あまりにも人間的に魅力的すぎる彼らの姿には、
そういう善悪だけでは人間は測れないと思えてしまいます。確かに犯罪行為ではありますが、人として外れてはいけない部分は守っている気がするんですよね。
この1冊で完結していますが、続編が読みたくなる作品です。
16、名もなき毒
今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、トラブルメーカーだった。
解雇された彼女の連絡窓口となった杉村は、振り回される。
折しも街では、連続毒殺事件が注目を集めていた。
(アマゾンより引用)17、ペテロの葬列
待ち受ける驚愕の展開。ドラマ化もされた話題作、待望の文庫化
杉村三郎が巻き込まれたバスジャック事件。実は、それが本当の謎の始まりだった――。
『誰か』『名もなき毒』に続くシリーズ第三弾。
(アマゾンより引用)18、桜ほうさら
しみじみとした人情が心に沁みる、宮部時代小説の真骨頂。
(アマゾンより引用)19、楽園
ライター・滋子の許に舞い込んだ奇妙な依頼。
その真偽を探るべく16年前の殺人事件を追う滋子の眼前に、驚愕の真実が露になる!
(アマゾンより引用)20、日暮らし
人が人を思いやりそして繋がる江戸の町。
あたかも現実にあったかのような街並みや、そこに実際に住んでいたのではないか、
住んでいたということにしてほしい人情味あふれる人々の心の模様が愛おしく感じる物語。井筒平四郎を中心に、江戸の町の事件をおでこちゃん、
弓之助ら個性豊かな面々が知恵を出し合いながら事件を解決していく。一応主人公である平四郎の顔の造作が馬面で長顔、
間の抜けた具合がなんとも平和な市井を感じさせる。そんな平和な街でも事件は起こる!おでこちゃんの書庫。
暗記することが得意で、一度覚えたことは忘れないおでこちゃんが、
目を真ん中に寄せて手をぎゅっと胸の前で握り、絞り出す過去の記録。そんなおでこちゃんは親に捨てられ、岡っ引きの政五郎さん夫婦のもとで暮らしている。
自分が養子であることを気にかけながらも、事件は彼の頭の中の記録によって解決していく。
小さな子供でも自分の存在意義を問いながら生きる江戸の人々に感嘆
そして最後に少し切なくなる第一話の「おまんま」。町は人で成り立っている
男前ではないが、人の心を感じて理解できる井筒平四郎(それがいいのかもしれない)の周りには、
やはり同じように思いやりと厳しさを併せ持った面々がいて、
それが例え罪を犯した人間だろうと真っ向から否定するのではなく、
その心情を理解した上での行動を起こすことができる人々がいる。町とは心で回っているのだなと思わせられる物語の一つ一つ。
時代を問わず、国を問わず町というコミュニティのあるべき姿ではないだろうか。