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人生は大いなる暇つぶし

雑記。いろいろな事を書いていきたいです。趣味はゲーム、読書、英語の勉強、etc

kindleで読める伊坂幸太郎さんのおすすめ小説文庫20選【オーデュボンの祈り 】

ミステリー 小説 人間ドラマ

1、魔王

政治家犬養と会社員安藤の物語

伊坂幸太郎「魔王」は、閉塞感が漂う日本に現れた政治家、未来党の党首・犬養をと、平凡な会社員の安藤を巡る物語です。
犬養の言う言葉は、既存の政治家にはない「心に刺さる」言葉が多く、徐々に日本の空気を変えていきます。
ファシズム」による第二次世界大戦前後の悲惨な出来事が心に思い浮かぶような、ちょっとした「違和感」のようなものを安藤が感じます。
安藤は犬養の言動に徐々に危機感を募らせ、最終的にふたりは対決の場に立ちます。

不思議な能力

ネタバレになってしまうので言えませんが、主人公の安藤は超能力があります。
その能力は、あまり格好の良いものでも、たいそうなものでもないため、「超能力と言っても、これでは武器にならない」と思わせるものです。
しかしその能力を使いこなせるようになった安藤は、徐々に力を付けて、犬養をも脅かす存在に成長していきます。
そしていよいよ、ふたりは大観衆が集まる中で対決をすることになります。
この対決シーンが緊迫感がありおすすめです。

時代の空気が似ている

「魔王」ファシズムの世の中が日本に来たらどうなるだろう?と言ったコンセプトで伊坂幸太郎が描いた物語です。
超能力というエッセンスを入れることで、楽しく読めるようになっています。
しかし日本の現政権が醸し出す空気も、魔王の世界の空気に似ていることに気が付きます。
作者が現政権に対して何かを言うという話ではありませんが、平和に見える世の中でも、ファシズムの芽のようなものが育ちうるという警告のようなものを感じました。

3、首折り男のための協奏曲

5、死神の精度

「死神の精度」~一風変わった死神と、ドライな死生観~

クールな死神、千葉
物語の主人公は「死神」…。組織の指定した人間の傍に唐突に現れ、一週間のあいだ、密なかかわりを持つ。この調査を通して、指定された人間に死を与えるべきか否かを判定することを仕事にする男だ。死を扱う職に関わりながらにして、「仕事だからだ」と人の生死に関心を示さないような、ドライな死生観を持つクールな死神と、知らぬうちに彼に運命の行く先を握られている人々による、出会いと触れ合い、そして別れの短編集です。

死神とミュージック

死神と聞けば、想像されるのは悪魔のように、おおよそ人間ではない何かを想像する人が大多数だろう。しかし、千葉が調査のためにこの世にやってくるときは(調査対象によって外見を変化させるけれど)いたって普通の人間に見えるようになっている。一般的に想起される死神ではなく、一風変わった奇妙な死神を作り上げるのが「伊坂ワールド」の真骨頂である。千葉がこの世に居るときは、音楽を愛しCDショップに入り浸るというところにも、伊坂幸太郎の作品を通して軸となる「音楽」というテーマの表れであろう。

死神の魅力

この小説の魅力の一つは、主人公の「死神」千葉であることは間違いなく言える。さまざまな登場人物の視点を交差させて展開する手法を得意とする伊坂幸太郎だが、この作品はすべて通して千葉の視点で描かれている。そのような背景があるために、千葉の持つキャラクターの魅力は作品の評価を左右するほど重要だといえる。その期待をやはり伊坂は裏切らなかった。クールな性格で人と接し、ミュージックを愛し、仕事としてドライに人の生死と向き合う。そんな一風変わった死神に、私は魅了されたのである。

6、オー!ファーザー

10、オーデュボンの祈り

珠玉の名作「オーデュボンの祈り」

オーデュボンの祈りのあらすじ

仕事にも恋人に対しても、真面目に生きてきた主人公、伊藤。彼がほんの少し、疲れて道を逸れたことで、日常は脆くも崩れ去る。彼を追うのは、旧知の間柄である警官城山。城山の追跡から逃れるうちに、伊藤は江戸時代からずっと”鎖国”していたという謎の島「萩島」に辿り着く。そこは一癖ある住人たちと、住人達から尊崇される”喋る案山子”の島だった。城山の追跡の手が不気味に迫る中、島での生活に慣れ始めた伊藤の周辺で、島の住人の生活そのものを脅かすある事件が起こる。

オーデュボンの祈りの見どころ

主人公は、ごく普通の「いい人」という形容がぴったりの、真面目で人当たりが良く、真っ当に生きている人物なのですが、ひょんなことから同級生の城山という男の残酷な本質に気付いてしまいます。そして不幸にも、人生の大きな局面でその城山と再会し追い詰められることになります。城山から逃れ、島に渡ってからの、喋る案山子「優吾」や島の住人達の関わりの中にも見られますが、冒頭から一貫して描かれている「善悪とは何か」というテーマに、秘めた正義感を揺さぶられます。

この本を手に取った人へ

伊坂幸太郎のデビュー作でもある本作は、ミステリーという括りで紹介される事が多いのですが、その内容はミステリーを軸に捉えつつも架空の島と一癖ある住人たち、そして「案山子」と主人公が織りなすある種のファンタジーでもあります。そして、そのファンタジーを、常に残酷に破壊しうる影のように付きまとって読者を現実に引き戻すのが、主人公と旧知の間柄で彼を追う警官でもある城山の存在。伊坂ワールドの持つ軽妙で時に残酷な空気感と、「瑕疵ある、でも悪くない最後」の持つ読了感はファンのみならず一読の価値ありです。

13、火星に住むつもりかい?

15、ゴールデンスランバー

巨大な「何か」から逃げる主人公

舞台は宮城県仙台市、総理大臣の凱旋パレードが行われていました。
主人公の青柳雅春は旧友に呼び出され、久しぶりの再会を喜んでいました。
しかしそんな旧友の口から飛び出した言葉は意外なものでした。
主人公の旧友である森田森吾は青柳に迫る危機を伝えに来たのです。
訳がわからない青柳でしたが次の瞬間、爆発が起こり、近くで行われていた凱旋パレードで、総理大臣が暗殺されてしまいます。
森田は青柳に「逃げろ」と伝えます。
どういうわけか、まっすぐ青柳たちの方へやってくる警察官。
青柳は状況を把握できぬまま、逃走をはじめます。

会わないまま再会するふたり

この小説の見どころは数多くありますが、本作の主人公である青柳雅春と大学時代の元カノである樋口晴子のエピソードがとても感動的でした。
2人とも大学時代の同級生なのですが、今はそれぞれ別の暮らしをしています。
総理大臣暗殺の容疑をかけられ逃亡する青柳と、結婚して子育てをしている樋口。
樋口はテレビのニュースで青柳のことを知るのですが、そこから大学時代の記憶を思い出します。
そして青柳を救うために行動を起こします。
といっても直接青柳と会ってなにかするわけではないのですが、過去のエピソードと現在の行動がからまっていき、青柳とつながることになります。

極上のエンターテイメント小説

ゴールデンスランバーは構成がとてもよくできています。
5部構成で作られていますが、そのすべてがつながっていてます。
巨大な陰謀のようなものから逃げる青柳は大学時代の同級生、森田と再会したことで、昔を思い出します。
青柳の元カノの樋口も事件のことを知り、昔を思い出します。
この作品には回想シーンが多く登場し、青柳の過去と現在を行きしながら物語は進んでいきます。
旧友や元同僚や犯罪者など、逃げる青柳の前にはいろいろな人が現れ、ロードムービーのような展開になっていきます。
さまざまな人に助けられ、青柳は逃亡を続けていくのです。
人と人とのつながりを描いた作者の渾身の一作です。

18、マリアビートル

20、砂漠

伊坂幸太郎「砂漠」

最高の青春物語

伊坂幸太郎の「砂漠」はタイトルからすると、少しくらい物語を連想させるかもしれません。
しかし伊坂幸太郎らしい、構成の妙にうならされるものの、砂漠はれっきとした「青春小説」と言えます。
同じ大学に集まった、個性的な仲間たちが織り成す、不思議でドキドキが止まらない4年間の物語を描いています。
砂漠というタイトルは、社会人になってからが砂漠のような時代だとすると、学生時代はオアシスだよね、という意味が込められているようです。

ボーリングのシーンにドキドキ!

砂漠に登場する仲間の中に、調子が良くて少しいい加減、でもとっても気の良い登場人物「鳥井」というキャラクターが登場します。
鳥井は、この小説の中で「縦軸」ともいえる、重要な役割をします。
各エピソードも印象深く記憶に残るものばかりですが、中でもボーリングのシーンにドキドキします。
悪いホストに騙された鳥井は、大金を賭けたボーリングで、どんどん借金の額を大きくしてしまいます。
もはやこれまでというところで、ある登場人物が大活躍をします。

構成がとにかく見事!

砂漠は構成がとにかく見事です。
伊坂幸太郎の作品は(特にゴールデンスランバーよりも前の作品は)、パズルのような複雑な構成が魅力で、最後にそのパズルがハマる時に、深い感動や喜びを覚えるようにできています。
この砂漠でも、パズル型の構成が活きていて、最後の最後に「おお!」と言わされてしまいます。
だまされたと思う感じではなく「そうだったか!」と快哉を送りたくなる仕掛けになっています。
楽しい青春小説としても、構成が巧みなミステリーとしても楽しめる傑作です。