実はほとんど知らない「クリスマスソング」の真実・続編(2016.12.02)
クリスマス・ソングといっても、「ホワイト・クリスマス」はポップス、「きよしこの夜」は賛美歌というように、出どころがまるで違う楽曲であることを前回紹介した。が、出発点以上に歌われている内容はほんとうに幅広く、実はクリスマスに関係ないものまでもあったりもする。ここでは、みんなが知っているクリスマス・ソングの「真実」と代表的ヴァージョンを紹介していこう。その驚きの内容は、聖夜をウンチク語りの夜にしてしまうかも。
まず「ジングル・ベル」。お馴染みの日本語歌詞はクリスマス一色だが、オリジナルの歌詞を見ると、ナント!これはクリスマスの歌ではない驚愕の事実が判明する。そう、ジングル・ベルは、サンタクロースのトナカイのソリではなく、馬のソリについている鈴なのだ。つまり、もともとはクリスマスにはほとんど無関係の冬の馬ゾリ遊びの歌として作られた作品。まあ、それがクリスマスにも合っているということで、クリスマス・シーズンに歌われることになったというわけ。ジャズ・ヴォーカルでは、エラ・フィッツジェラルドのスインギーな歌唱が曲の内容にマッチしていてつとに有名だ。
そして「赤鼻のトナカイ」は、日本語歌詞のストーリーは間違ってはいないが、トナカイの「ルドルフ」という名前が割愛されている。なぜ名前まであるのかというと、これはもともと「赤鼻のトナカイ、ルドルフ」という詩集を題材に歌にした楽曲だから。早い話が、古きアメリカ版「ポケモン」で、子供向けの「キャラクターもの」。
「サンタが街にやってくる」も子供向けの楽曲。サンタクロースが、子供たちがちゃんと親の言うことを聞いているかどうか確認にやって来るという歌詞である。それも2回も見に来るというのだから、かなりコミカルな内容なのだ。パティ・ペイジの楽しい歌唱がヒットしたのもうなづける。
一方、クリスマスを「特別な夜」とした歌もある。「アイド・ライク・ユー・フォー・クリスマス」は、ジャズ界のマリリン・モンローとよばれたジュリー・ロンドンが歌って大ヒットした。かつて一流ホテルがカップルで満室となったバブル時代的クリスマスは、とっくの昔にアメリカには存在していたという証左である。若きあの頃を懐かしみながら、ぜひ聴きたい1曲だ。
もちろん正統的賛美歌のクリスマス・ソングも多い。先に触れた「きよしこの夜」のほか、「もろびとこぞりて」が有名だろう。代表的歌唱はナット・キング・コール。彼の「Joy to the World! the Lord is come…」の歌声を聞けば、賛美歌が発祥であることなど知らなくても、誰もが敬虔な気持ちになることだろう。さすが「キング」は違う。
このようにクリスマス・ソングにはさまざまなタイプがある。先に紹介したように、「本家」であるジャズ・ヴォーカリストたちのヴァージョンは、歌詞の内容にかかわらずどれも素晴らしい聖歌になっている。クリスマス・ソングを「音楽」として楽しむのであれば、ぜひ本物によるジャズ・ヴォーカルをお薦めする。
発売中のCDつきマガジン『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』(小学館)の第16号は「ジャズ・ヴォーカル・クリスマス」。CDには最高のジャズ・ヴォーカリストが歌う、ここで紹介した歌を含む選りすぐりのクリスマス・ソングがフル・コーラスで全10曲収録されている。もちろん詳細な解説も付属。この「本物の」クリスマス・ソング集は、「季節もの」のレベルを遥かに超えた、1枚。10年、20年後も陳腐化しない永久保存盤です。
『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』第16号
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文/編集部
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