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フリーゲージ続く迷走 地元「フル規格に」

フリーゲージトレインの試験車両=熊本市の熊本総合車両所で2014年4月、須賀川理撮影

 今年度内を目指していたフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の耐久走行試験再開が18日の国土交通省の専門家委員会で来年6月以降に先送りされた。実用化に向けた開発が難航する状況に対し、国内初のFGT導入を目指す九州新幹線長崎ルートの自治体関係者からは計画への影響を懸念する声が上がった。長崎、佐賀両県では「FGTを断念し全線を新幹線のフル規格にすべきだ」との意見も出ている。

 FGTは迷走を続けている。当初予定した2022年度の全面開業はFGT開発の遅れで不可能に追い込まれた。そのため新幹線と特急を乗り継ぐリレー方式という苦肉の策で22年度に暫定開業し、25年度にFGTを本格導入させる計画で仕切り直した。しかし試験再開の先送りが計画の進展に影響を与える可能性がある。

 先送りに対し、長崎県の中村法道知事は「結果は残念だ。これ以上大きな遅れが生じないよう、国にしっかり対応するよう要請する」とするコメントを発表した。佐賀県の副島良彦副知事は県庁で記者団に対し「(先送りは)全く予想しなかった。スケジュール的に影響が出るのではないか心配だ」と語った。

 一方で開発を疑問視する見方もある。長崎県議でつくる長崎ルート建設促進議員連盟の八江利春会長は「いつ実用化されるか分からないFGTは非現実的で、全線フル規格に転換したほうがいい」と主張し、佐賀県議会で新幹線に関する議連の会長を務める石井秀夫県議は「リレー方式のままにならないよう、財源問題が解決すればフル規格も議論すべきだ」と語った。

 走行試験を担当するJR九州は、「安全性について高速走行する新幹線車両が具備すべき基本的要件について課題が残っているものと受け止めている。コスト低減の検討などFGTの開発に取り組んでいきたい」とのコメントを出した。【小畑英介、松尾雅也、神崎修一】

ことば【新幹線長崎ルート】

 博多から長崎までの143キロ。レール幅が異なる新幹線(フル規格)と在来線の両方を走行できるフリーゲージトレイン(FGT)を使い、博多-新鳥栖間はフル規格(鹿児島ルート)▽新鳥栖-武雄温泉間は在来線▽武雄温泉-長崎間はフル規格(新線)--でつなぐ計画。2022年度からのリレー方式による暫定開業時は、博多-武雄温泉間を在来線特急で運行し、武雄温泉で同じホームで長崎との間を走る新幹線に乗り換える。同方式の博多-長崎間の最短所要時間は1時間26分で、FGTによる全面開業時の1時間20分と6分の差がある。

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