どうも、ゴトーだ。
俺は三度の飯よりUFCが好きでな。
今日はUFCをDAZNの中継で見てきたので、その内容を紹介したい。
もっともこのブログは格闘技ブログではないので、メインイベントである「エディ・アルバレスvsコナー・マクレガー」にフォーカスする。
「誰だよこいつら…」となる人が多いはずなので、まずはいつものように詳細に説明しているので、興味があればぜひ見て欲しい。
UFCとは
そもそもUFCとは何ぞやという人も多いだろう。
UFCとはアメリカの総合格闘技イベントで、名実ともに世界最高の規模を誇る。
メイン大会ともなれば、観客動員は常に満員御礼、有料放送のPPVも数十万件から多ければ160万件以上をアメリカだけで売り上げるイベントだ。
今やボクシングの人気を凌いで、アメリカの4大スポーツの次に位置する人気とまで言われている。
歴史的な経緯を少し説明すると、UFCは1993年に誕生したが、これは奇しくも日本のK-1と同じ年だ。
当初のUFCは今のように洗練されたものではなく、総合格闘技という言葉すらない頃に何でもありの過激なルールを、様々な競技のバックボーンを持った選手同士で戦わせる、言ってみれば見世物的な要素が強かった。
ボクシンググローブをはめたまま戦うボクサー、ただの街の喧嘩屋、元幕下の力士など、本当に何でもありの大会だった。
最初こそ話題性でそこそこ人気を集めたが、徐々に低迷して経営難に陥っていくことになる。
そんな中、世界の総合格闘技をリードしていったのは日本のイベントであるPRIDEだった。
フジテレビの放映権料と、圧倒的な観客動員で資金力にも恵まれ、総合格闘技が市民権を得るキッカケになったのはPRIDEの影響が大きかっただろう。
UFCが蘇ったのは、ラスベガスでカジノホテルを運営していたフェイティータ兄弟が買収し、それを管理・運営するためのズッファ社を設立してからだった。
ズッファといえば社長のダナ・ホワイトがそのマスコットキャラだ。
こいつを一言で表現すると、「リアル・アメリカ版ジャイアン」。
ジャイアニズムでUFCを軌道に乗せて、瞬く間に世界で覇権を握っていく。
それを可能にしたのがT.U.Fというドキュメンタリー番組で、これはUFCを目指すイキのいい無名格闘家を集めて、共同生活をしながら、生き残りをかけて試合をして、最終的に残った人間が大型契約をモノにできるという企画だ。
さながらガチンコのような番組で、これによって総合格闘技に興味のなかった人間までUFCに関心を持つようになった。
特にT.U.F決勝のフォレスト・グリフィンvsステファン・ボナーの試合は全米に注目を集める一戦となり、優勝したグリフィンは後にUFCでも王者になるなど絵に描いたようなサクセスストーリーになった。
やがてフジテレビとの契約を打ち切られて苦境に陥ったPRIDEを買収してからは、事実上競合がいない世界において、現在に至るまで総合格闘技を牽引し続けている。
コナー・マクレガーとは
コナー・マクレガーはそんなUFCにおける最高のスター選手だ。
この風貌を見ただけでただ強いだけの男ではないと分かるだろう。強さだけでなく、圧倒的なカリスマ性、スター性がある。
UFC参戦、ブレイクを果たすまで
今でこそ1秒で1億を稼ぐ男になったが、もともとはアイルランドの貧民だった。(どっかの秒速男を思い出すが、これが本当なのは下を読めばわかる)
幼少期にキックボクシングを、12歳からアマチュアボクシングを始めて、とりわけアマチュアボクシングにおいて才能を発揮して、16歳で国内ユース王者に輝くなど、将来を嘱望されていた。
16歳の頃に総合格闘技に転向してプロになるも、やはりUFCのようなメジャー団体に出るまでは格闘技だけで食っていくことはできない。
事実、マクレガーもUFCに参戦するまでは社会福祉事務所から福祉手当を受け取って生活しているほど貧しかったらしい。
そんなマクレガーだが、UFC参戦当時は実力よりもビッグマウスが先行している選手だった。
貧しい生活をしていたころから、誰よりもハングリー精神が強く、早く成り上がりたいという思いが強かったのかもしれない。
生意気な新入りが出てきたものだと当初は思っていたが、いざ試合をみればただの大口叩きではないことがわかった。
5戦して全勝、4KOでそのうちの3試合が1RKOと、特に打撃の展開で強さを発揮した。
この頃には既にスター候補であることは誰の目にも明らかだっただろう。
総合格闘技史上最高のスター誕生
2015年7月に当時王者だったジョゼ・アルドとタイトルマッチが組まれたが、試合直前にアルドの負傷で欠場し、代わりにチャド・メンデスと暫定王座決定戦となった。
この試合は正規タイトルマッチではないものの、既に他の王者のタイトルマッチを遥かに凌ぐ注目度だった。
メンデスはアルドをあと一歩まで追い詰めた強豪だが、2Rに左ストレートでKO勝利。
これでマクレガーはもうアルドのタイトルを取るだけとなった。
そして続くアルドとのタイトルマッチでは下馬評では五分だったものの、なんと試合開始13秒でマクレガーがKO勝利。
これはタイトルマッチ史上最短記録で、有料放送も飛ぶように売れ、マクレガーは13秒の試合でボーナスで1200万ドル(約13億円)を稼ぐこととなる。
格闘技ファンのみならず、母国アイルランドでは国民的な英雄となり、この年のアイルランドにおけるGoogle検索において「最も検索されたアスリート」で第1位、「最も検索された人物」で2位、「最も検索されたキーワード」で3位になるほどだった。
日本で言う魔娑斗やKIDとは全く次元が違うほどの、史上最高のスターが誕生した瞬間だった。
階級を超えた挑戦
王者となったマクレガーだが、次なる挑戦はUFC史上初の2階級制覇となる。
しかもテストマッチを挟まず、いきなり1回級上のハファエル・ドス・アンジョスのタイトル戦が決まることになる。
いくらなんでも無謀な挑戦だと言われたが、それでも挑戦するところがマクレガーのスター性たる所以だ。
しかしこの試合もドス・アンジョスが試合直前の怪我で欠場。
代わりに決まったのが悪童ネイト・ディアスとの試合だった。(上の画像の男)
契約体重はマクレガーの本来の階級であるフェザー級とは12キロも差がある、ウェルター級となった。
常識を超えた体重差ながらこの試合をマクレガーを受けることになったが、初戦は圧倒的な体格差による馬力の差で体力を削られ、最終的にチョークスリーパーでタップアウト負けを喫する。これがUFC初の敗戦だ。
本来なら体重差があるから仕方ない、となるのだがマクレガーは復帰戦の相手を再びネイト・ディアスに選ぶ。
この再戦は序盤はマクレガーのペースだったが、徐々にスタミナ切れとなりネイトのペースになるシーソーゲームの末、マクレガーが2-0の判定勝利でリベンジに成功した。
ビッグマウスのマクレガーと悪童のネイトは試合前から大いに盛り上がり、この試合のPPV契約数は165万件に達した。これはUFC歴代最高記録となっている。(1大会で55ドル近い価格なのでいかに凄い売上かがわかるはずだ)
実際のところ、マクレガーは王者として粛々とタイトルマッチを行うべきだという意見もあり、ネイト・ディアスとの2戦には批判も多かった。
しかし結果的に史上最大の盛り上がりとなったように、マクレガーにとって単なるタイトルマッチはもはや器に収まらなかったのだろう。
終わってみればこの2戦はマクレガーの魅力をさらに高める試合になったのは間違いない。
エディ・アルバレスとは
マクレガーの階級を超えた挑戦は終了し、いよいよライト級王者に挑戦することになった。
その対戦相手はもともと決まっていたドス・アンジョスではなく、そのアンジョスに勝利したエディ・アルバレスという選手だった。
アルバレスは日本とも馴染みの深い選手で、キャリアで飛躍した一つの過程に日本のDREAMという大会への出場がある。
DREAMでは2008年にライト級のトーナメントに参戦し、アンドレ・ジタや川尻達也といった選手と倒し倒されの激戦で勝利している。
ちなみにその年の大晦日では青木真也に足関節で秒殺負けを喫している。(結果的に青木のキャリアを象徴する試合となった)
少年時代からストリートファイトに明け暮れていただけあって殴り合いを信条としているが、格闘技のベースはレスリングにあり、打撃とレスリングをミックスした、現代の総合格闘技では王道のスタイルの選手だ。
当初はやるかやられるかの危うさも秘めていて、Bellatorのタイトルマッチではマイケル・チャンドラーに敗れるなどしたが、徐々にそのスタイルも丸くなり、安全運転することを覚えて、より堅実なスタイルに変貌していった。
2014年からはUFCに参戦していて、リスクを取らないボクシングと、そこから得意のレスリング技術でテイクダウンを取ってポイントをスタイルを確立したことで、ギルバート・メレンデスやアンソニー・ペティスといった強豪を次々と撃破した。
そして2016年7月には当時王者だったドス・アンジョスに挑戦し、パンチの連打で1RKOで王座を獲得している。
アメリカの2大団体と言われるBellatorとUFCにおいて両方のタイトルを獲得した初めての王者となったのだ。
タイトルマッチの結果は?
タイトルマッチは2016年11月13日に行われた。この記事を書いたのはまさに終了した直後だ。
結果はまあ、記事のタイトルでネタバレしているようにマクレガーが2RKOで勝利している。
タイトルマッチが3戦行われる豪華大会となったUFC205でも当然この試合はメインイベント。
地元アメリカ出身のアルバレスにブーイングが飛び、アイルランド人のマクレガーに大声援が飛ぶ異様な光景となった。
マクレガーはフェザー級の王者でもあり、階級を上げたばかりだが向き合うと意外にもマクレガーのほうが一回り大きく、そして何よりマクレガーは落ち着きの裏に圧倒的なオーラがあった。
身長は同じ175センチだったが、並んだ感じ身長もマクレガーのほうが大きく、何より手足が際立って長い。
得意のレスリングに持ち込みたいアルバレスだったが、マクレガーの独特な間合いからの威圧感に下がらされてなかなか近づくことができない。
マクレガーはノーモーションで放たれる左右のパンチと、キレのある攻撃でペースを握り始める。
すると左のストレートで早速ダウンを奪い、アルバレスは素早く立ち上がるも防戦のまま1Rが終了。
インターバルを挟んでペースを取り戻したいアルバレスだったが、相変わらずマクレガーの間合いに入ることができない。
左右のパンチが次々とアルバレスにヒットし、いよいよ危うくなってきたところで、マクレガーの流れるような四連打が入りアルバレスがダウンするとここでレフェリーが試合はストップし、マクレガーの圧勝に終わった。
マイクインタビューでは「早くもう一つのベルトをもってこい」と怒りながら叫び、新たに獲得したライト級のベルトと、既に保持しているフェザー級のベストを両肩にかけて誇らしげにしていた姿があまりにも印象的だった。
もはやマクレガーの相手になるのはこのゴトー様しかいないのかもしれない。
UFCのオファーがあればいつでも参戦するつもりだ。