中野浩至
2016年11月13日11時34分
津軽地方が今季初めての本格的な雪に見舞われた9日昼。線路をまたいで青森駅の東西を結ぶ歩道橋「あすなろ橋」には、横殴りの雪が降りつけていた。昼食のため、駅東側の職場から西口近くの自宅に戻る途中の男性会社員(66)は「雪が降る日は大変。駅に自由通路があれば便利なんだが」とぼやいた。
駅の東西を徒歩で横断するには、駅西口から南へ約150メートル離れたあすなろ橋か、北へ約300メートル離れた連絡橋を渡って迂回(うかい)するしかない。さもなければ、入場料140円を支払って駅構内に入るしかない。二つの歩道橋は、エレベーターがなかったり、市街地との接続が悪かったりする。青森駅構内でも、車いすの利用者らは駅員に申し出て業務用エレベーターに乗せてもらう必要があり、県都の玄関口は「バリアフリー」からほど遠いのが実情だ。
青森駅は青函連絡船との接続のため、線路が青森港まで延び、結果として市中心部を東西に「分断」した。現在、商業施設やバスターミナルが東口に集中する一方、西口には自動改札すらなく、駅前はタクシー乗り場と駐車場だけの寂しい風景が広がっている。
この分断の解消を掲げ、市が2012年2月に策定したのが「青森駅を中心としたまちづくり基本計画」だ。建設から半世紀を超えた駅舎を建て替えてバリアフリー設備を整え、東口と西口を直結する幅10メートルの自由通路を建設。西口には駅前広場を整備し、東口の交通機能の一部を移して新青森駅や三内丸山遺跡といった市西部の交通、観光スポットへの利便性を高める内容だ。今年3月の北海道新幹線が開業するころには、東西の分断が解消されているはずだった。
ところが、駅舎の跡地利用の費…
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