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【政治】

オバマ政権がTPP断念 日本、急ぐ理由失う

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 オバマ米政権は環太平洋連携協定(TPP)の議会承認取得を断念した。ホワイトハウス高官が十一日、表明した。来年一月に就任するトランプ次期大統領はTPPからの脱退を明言しており、現状での協定発効は絶望的になった。安倍政権が、参院で審議中のTPP承認案と関連法案の採決を急ぐ理由はなくなった。

 アデエモ米大統領副補佐官(国家安全保障・経済担当)は電話記者会見で、TPPの取り扱いは「議会と次期大統領が協議することになる」と述べた。同席したローズ副補佐官も「国内の政治情勢は理解している」と議会承認は難しいとの考えをにじませた。

 オバマ大統領はTPPを政治的遺産(レガシー)にしたい考えだったが、米上院の過半数を制した共和党の重鎮が来年一月までの議会で承認する可能性を否定。オバマ氏は在任中の承認を諦めざるを得なくなった。トランプ氏が翻意しなければ、現在の協定が発効する可能性はなくなる。

 TPPの発効は参加十二カ国で経済規模が一、二位の日米両国の批准が必要条件になっている。

 一方、安倍政権は十日に承認案を衆院通過させた。オバマ氏の在任中に米議会がTPPを承認するわずかな可能性を後押しする狙いだったが、思惑が外れた。安倍晋三首相は今国会での承認を目指す方針を崩さず、トランプ氏の説得に乗り出すとみられる。

 これに関し、民進党の蓮舫代表は十二日、青森市内で記者団に「なぜ、こんなに急ぐのか。誰のために国会を動かして審議するのか」と批判した。(城島建治、ワシントン・石川智規)

 

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