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勝利のトランプ氏、「貿易戦争」辞さずの構え

 【ワシントン清水憲司】来年1月の米大統領就任が決まったドナルド・トランプ氏(共和党)は、大胆な減税と規制緩和で経済成長率を引き上げ、「米国を再び偉大な国」にすると訴えて当選した。米国第一主義を掲げ、貿易相手国との「貿易戦争」も辞さない構えで、保護主義的な政策が実行されれば、米経済は不況入りするとの予想もある。トランプ氏当選で金融市場は混乱しており、米連邦準備制度理事会(FRB)が見込む12月の追加利上げは遠のきそうだ。

     米経済は金融危機のさなかに発足したオバマ政権の8年間で回復し、一時10%まで悪化した失業率は4・9%に低下した。ただ、平均的な家計所得(中央値、インフレ調整後)は2015年に年5万6516ドル(約576万円)にとどまり、危機前の07年に届いていない。医療費などの負担増もあり、人々の不満は根強く、トランプ人気を招いた。

     「成長率を2倍にし、世界のどこよりも強い経済にする」。9日未明の当選演説でそう語ったトランプ氏が目指すのは、インフラ投資による需要拡大と企業を起点にした経済活性化だ。法人税率を現行35%(連邦税)から15%へと大幅に引き下げ、規制緩和も進めて企業の負担を減らす。これにより実質成長率を3・5%以上に引き上げ、この先10年間で総計2500万人の雇用創出を実現する計画だ。富裕層も含めた所得税減税を行い、相続税は廃止するが、税収は経済成長で増やせると皮算用する。

     一方、中国やメキシコからの輸入品に対する高率関税の導入を打ち出し、国内産業を保護する構えだ。相手国が対抗措置に出れば貿易量が減り、企業は打撃を受けたり、物価が急上昇したりして双方の景気が減速する恐れが高まる。米格付け会社ムーディーズは、公約が大幅に撤回されない場合、18~19年に米経済はマイナス成長に陥ると試算する。

     ただ、トランプ氏が公約をどこまで実行に移せるかは疑問視されている。議会選の結果、上下両院とも与党となる共和党が過半数を確保したが、同党主流派は財政拡大に慎重で政策が一致しない点も多く、法案が可決されなければ実現できる政策も限られるからだ。

     政治経験のないトランプ氏。政権の行方を左右すると注目されるのが閣僚の顔ぶれだ。財務長官候補には米金融大手ゴールドマン・サックス出身で陣営の財務責任者スティーブン・ムニューチン氏や、知日派の著名投資家ウィルバー・ロス氏らの名前があがるが、閣僚としての手腕は未知数だ。

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