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3・4号機「適合」 再稼働へ新基準10基目

審査に合格した玄海原発。奥が3、4号機=佐賀県玄海町で2015年11月、本社ヘリから矢頭智剛撮影

 九州電力が再稼働を目指す玄海原発3、4号機(佐賀県)について、原子力規制委員会は9日の定例会合で、新規制基準に適合したことを示す審査書案をまとめた。事実上の審査合格で、1カ月間の国民意見公募後に正式決定する。審査合格は5原発10基となる。再稼働するには、設備の詳細設計などさらに二つの審査や使用前検査を経る必要があるため、再稼働は来年度以降になる見通しだ。

     九電は両基について、既に再稼働した九電川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)とほぼ同時期の2013年7月に審査を申請した。しかし、規制委が全体の審査加速のため川内をモデルケースとして優先させ、玄海は後回しになった。事故時の前線基地「緊急時対策所」の構造を免震から耐震に変更したことも合格までの長期化を招いた。

     玄海周辺には大きな地震を起こす活断層が少なく、想定される最大の地震の揺れは620ガル(ガルは加速度の単位)、津波の高さは約6メートルと他原発に比べて小さい。一方、避難計画策定が求められる半径30キロ圏に17の離島があり、約2万人が住む。原発事故に津波を伴う複合災害が発生した場合、島外への避難が困難なうえ、島内の避難施設の放射線防護対策も進んでいないなどの課題を残している。

     既に合格した原発は▽九電川内1、2号機▽関西電力高浜1~4号機(福井県)▽同美浜3号機(同)▽四国電力伊方3号機(愛媛県)。うち川内1、2号機と高浜3、4号機、伊方3号機の5基が再稼働したが、高浜3、4号機は大津地裁の仮処分決定で、川内1号機は定期検査で停止しており、稼働中は2基にとどまる。【酒造唯】

     【ことば】玄海原子力発電所

     佐賀県北西部の玄海町にある九州電力の原子力発電所。1~4号機の4基あり、いずれも加圧水型(PWR)で、東京電力福島第1原発の沸騰水型(BWR)とは異なる。3号機は1994年、4号機が97年にそれぞれ営業運転を始めた。3号機は2009年、日本初のプルサーマル発電を開始した。両基は出力118万キロワットで、定期検査のために11年12月までに運転を停止した。

     1号機は九州初の原発として1975年に運転を始め、2015年4月に廃炉となった。2号機は1981年に運転開始し、2011年1月の定期検査で停止している。

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