2016-11-05
■[上遠野]上遠野浩平『パンゲアの零兆遊戯』(祥伝社)発売直前!「パンゲア・ゲーム」参加者予想ゲーム!
こんにちワーゲン!
突然ですが、本当に突然ですが、ブギーポップシリーズで知られる作家・上遠野浩平の書き下ろし新作『パンゲアの零兆遊戯』の発売がつい先日決定しました。
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2016/11/10
- メディア: 単行本
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以前から予告されていたタイトルではありますが、「11月1日に各種サイトに登録されたかと思ったら発売日は10日という異常に慌ただしいスケジュール」「タイトルの付け方の類似性からソウルドロップシリーズかとも思われていた*1が現状ではそれらしい情報が特にない(だが発売はソウルドロップと同じく祥伝社から)」「単行本での発売(ソウルドロップは新書判のノン・ノベル)」など、サプライズと言うのも生易しいような意外性の連続に、一部の上遠野ファンも騒然となっているようです。
加えて、あらすじのこの内容。
世界を左右する〈パンゲア・ゲーム〉。
参加者は、“未来が視える”七人――
彼ら同士が戦うとき、勝敗は如何にして決するのか?
『ブギーポップは笑わない』の著者が贈る、究極の頭脳&心理戦!おまえはもう理解した――
この零元東夷がおまえよりも格上であることを。
特別感受性保持者――Especially Sensitivity Totally Bringerの頭文字から〈エスタブ〉と呼ばれる超人たちによって争われ、その勝者の“予言”が世界経済の流れを決定する〈パンゲア・ゲーム〉。タワーの如く卓上に積み上げられた777個のピースを移動させ、誰が崩すかで勝敗を決する一見単純な遊戯だが、“未来視”ができる者たちが戦うとどうなるのか? この究極の戦いの場に、かつて前人未踏の連勝記録を打ち立てた後、消息を絶っていた伝説のプレイヤーが復帰した……。いま、息詰まる死闘の幕が上がる!
ではなく、
でもなく、
「“未来が視える”七人」「“未来視”ができる者たち」という箇所です。
未来視、あるいは未来予知という能力はフィクションではお馴染みのものですが、上遠野作品読者としてはどうしても特定の作品を連想してしまいます。ブギーポップシリーズ第3作(4巻)、『ブギーポップ・イン・ザ・ミラー「パンドラ」』です。
ブギーポップ・イン・ザ・ミラー 「パンドラ」<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
- メディア: Kindle版
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ブギーポップ・イン・ザ・ミラー 「パンドラ」|電撃文庫公式サイト
ブギーポップ・シリーズ第3弾。未来を視ることが出来る6人の少年少女。彼らの予知にブギーポップが現れる時、運命の車輪が回りだす――。
これは六人の少年少女たちの物語だ。彼らは未来を視ることができる不思議な力を持っていて、彼らの間でだけその能力をささやかに使っていた。彼らに罪はない。そして責任もない。しかし――「これ――ブギーポップ?」六人の予知にこの僕の幻影が現れた時、運命の車輪は回りだした……。
『パンドラ』はシリーズ中でも特に人気の高い巻のひとつであり、「X人の未来視能力者」という共通項、そして「パンドラ」と「パンゲア」の類似(これはさすがにこじつけ過ぎだろうか……)、これらから、『零兆遊戯』のあらすじを見たファンが平静でいられないのも自然なことと言えるでしょう。
そして、未来予知、またはそれに類する能力を持つ既出の上遠野作品キャラは、実のところ『パンドラ』チームだけではありません。他にも複数の予知(のような)能力者が登場しています。もしかしたら彼らが、「パンゲア・ゲーム」の参加者であるという「未来が視える七人」に含まれていたりするのでは……?
そんなちょっとした思いつきに従い、ここで『パンゲアの零兆遊戯』に登場する可能性が少しでもありそうな上遠野キャラをリストアップしてみます。発売前だからこそできる「遊戯」ですね。
※注意:以下の文章は、ブギーポップシリーズは大体読んでいて、他の上遠野浩平作品にもそこそこ手を伸ばしている、というぐらいの人々を対象にしているため、各作品のネタバレへの配慮はあまりありません。
●海影香純〈イントゥ・アイズ〉(『ブギーポップ・イン・ザ・ミラー「パンドラ」』『ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト』)
17才の少年。薬物中毒の友人をかばって退学になったため、高校には通っていない。〈イントゥ・アイズ〉という、他人の目の中にその人物がいずれ出会う人間の姿を見る能力を持っており、同じような“才能”を持つ仲間の六人で一種のチームを組んでいる。
●七音恭子〈アロマ〉(『ブギーポップ・イン・ザ・ミラー「パンドラ」』)
家出少女。背が高く大人びて見えるが、海影香純を含むチームの他のメンバーよりも年下。能力は未来の匂いを感じることができる〈アロマ〉。海影香純に好意を抱いている。
未来予知とは言っても、上の二人の能力はパンゲア・ゲーム=ジェンガにはあまり向かなそうですが、チームのメンバーの『パンドラ』本編終了以後の姿は、ブギーポップシリーズ内でもそれ以外でもまだ一度も描かれていない(『パンドラ』以前なら何度か)ので、再登場を期待してみたいところです。
●高代亨/イナズマ(『ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕』『ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎生』『ビートのディシプリン』など)
ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
- メディア: Kindle版
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命の恩人である格闘家・榊原弦のような「サムライ」になることを目標に自己流で修練を積んできたフリーター。眠れる能力を引き出す存在、エンブリオとの接触により、“死線”を見る能力を得る。
イナズマの能力は基本的には、相手の弱点を発見してそれを突くことができるというものなんですが、敵からの(致命的な?)攻撃をその発生前に線として認識している、という描写もあるので、これを拡大解釈すれば「予知」と言えないこともないんじゃないかと。弱点を見つける能力だけでも、十分にジェンガに応用できそうですし。というか何やらせてもだいたい上手そう。『ディシプリン』4巻には、「ちなみに彼は料理も上手だ。サムライだけあって、包丁使いがすごくうまいのである」という(目を疑うような)記述もありますから……
●パール(『ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕』『ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎生』『ビートのディシプリン』など)
ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎生<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
- メディア: Kindle版
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世界を裏から操る秘密組織(大雑把な説明)である「統和機構」によって製造された合成人間(人造/改造人間)。統和機構を脱走し対抗組織ダイアモンズに加入するが、組織は壊滅。自分の姿をどんな人物のものにも変化させられる擬態能力を持つ。普段は女性の姿を取っている。
上に挙げた合成人間としての能力の他に、『炎生』後半でのエンブリオとの接触以後はMPLSとしての?能力も得ているようです。その詳細についてはまだ説明がありませんが、「未来」に関するものであることはほぼ確定と思われます。『ヴァルプルギスの後悔』4巻での台詞を参考にすると、過去の自分にメッセージを送る(未来の自分からメッセージが届く)能力、でしょうか。
●柊/オキシジェン(『ブギーポップ・スタッカート ジンクス・ショップへようこそ』『ビートのディシプリン』『酸素は鏡に映らない』など)
ブギーポップ・スタッカート ジンクス・ショップへようこそ<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
- メディア: Kindle版
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「ゲゲゲの鬼太郎のような」片目を隠す髪型をした中性的な男。統和機構の“中枢(アクシズ)”。物事の運命を糸として認識し、そこに干渉する(幾つかの運命の中から一つを選び取る?)ことができる能力を持つ。
『スタッカート』によると、「つまりあんたの能力って、一種の予知みたいなものなの?」「そうとも言えるが……正確な未来はわからない」だそうなので、まあ未来予知の一種と言っていいんじゃないかと。しかし、いかにも統和機構が一枚噛んでそうな気配もあるとはいえ、〈パンゲア・ゲーム〉=ジェンガなんかにわざわざ“中枢”自ら参加することなんて……普通にあり得ますね。意外と腰が軽いですから。
●甘利勇人〈フラッシュ・フォワード〉(『ブギーポップ・チェンジリング 溶暗のデカダント・ブラック』)
ブギーポップ・チェンジリング 溶暗のデカダント・ブラック (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平,緒方剛志
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2014/11/08
- メディア: 文庫
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県立深陽学園の二年生。未来予知能力〈フラッシュ・フォワード〉によって自分の未来の障害となるブギーポップの存在を感知し、もう一人の能力者を利用してこれを排除することを画策する。
〈フラッシュ・フォワード〉は、『パンドラ』組のような制限も特にない汎用性の高いオーソドックスな未来予知能力だったようで、未来視としてはここで挙げるキャラの中で最も優秀だったのではないかとさえ思われるのですが……残念ながら『デカダント・ブラック』終了以後は能力者として(そして社会的にも)死んでいるようです。まあ、『零兆遊戯』の作中時期設定が『デカダント・ブラック』以後とも限りませんし、また、何かの弾みで能力を取り戻すというのも上遠野世界的にはあり得なくもないので、なんとか頑張ってもらいたいところです(マヌケさも含めてわりと好き)
●浅倉朝子〈モーニング・グローリー〉(『ビートのディシプリン』『ヴァルプルギスの後悔』)
ビートのディシプリン SIDE4<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
- メディア: Kindle版
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女子高生。人の心や物事の本質を見抜く能力〈モーニング・グローリー〉を持ってはいるものの普通の生活を送っていたが、実は両親は統和機構の構成員であり実の親でもなかった。そして、合成人間ピート・ビートと出会ったことで日常と決別することになる。
イナズマによると〈モーニング・グローリー〉は「未来予知ではないらしい」(『ディシプリン』4巻)とのことですが、フォルテッシモの攻撃の先読みなどはともかく、『ヴァルプ』2巻ラストでの、織機綺が霧間凪の首を絞める光景の幻視はさすがに言い訳がきかないような……(ビートも「なんだ? 未来が視えたのか?」とはっきり言っていますし)
●千条雅人の姉(『ソウルドロップの幽体研究』『コギトピノキオの遠隔思考』)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2016/05/13
- メディア: Kindle版
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とある要人の愛人と思われていたが、実は重要な決断の際に助言を与える“巫女”だった。「生命と同等の価値ある物を盗む」謎の怪盗ペイパーカットの事件に巻き込まれ失踪し、伊佐俊一がペイパーカットを追うきっかけとなる。ブギーポップシリーズの最重要人物の一人、水乃星透子の協力者だったと思われる。
キャラ名としては明らかにおかしいですが、今のところ下の名前が明かされていないので仕方ありません。何か隠す意味があるんでしょうか。
えー、本編中では能力者であるとさえ断言はされていないわけですが、『ソウルドロップ』での
「あれはな、あの別荘の先生の“巫女”だったんだよ。御神託をくださる占い師だ。大事な決断を迫られたときに、あの女の神通力で事態を見通すってな――怪しいもんだ。(略)」
という台詞から、少なくとも認識系のMPLSっぽいと推測するのは無理があるでしょうか……?
彼女が『零兆遊戯』に登場してくれると、ソウルドロップシリーズとタイトルが類似してることにも祥伝社から出る意味にもきっちり説明がついて、自分としてはすっきりするんですが。
さて。以上の「“未来視”ができる者たち」の内、果たして何人が『パンゲアの零兆遊戯』に登場するのか、あるいは一人も登場しないのかはまだ全く分かりません(個人的には後者の可能性がかなり高そうな気がしていますが)。ただ、それを確かめるためだけにでも11月10日発売の『パンゲアの零兆遊戯』を読んでみるというのも悪くないのでは。予知の力を持たない我々は、常に不確かな未来に向かって足を踏み出すほか、生きる道がないのですから……
と、なんとなくそれっぽい(だけの)まとめをしてみた後で気づいたんですが、
パンゲアの零兆遊戯 | 上遠野浩平 | 本 | Amazon.co.jp
著者について
一九六八年生まれ。九八年『ブギーポップは笑わない』で電撃ゲーム小説大賞を受賞し、デビュー。著書に『ソウルドロップの幽体離脱』から始まるソウルドロップ・シリーズ七作(すべて祥伝社ノン・ノベル)がある。
「幽体離脱」って!
これ、『パンゲアの零兆遊戯』の単行本にも同じものが載るわけじゃないですよね?不安だ……ああ、こんなときに未来を視る力があったらなあ!(ヤケクソ)
(ほしいものリスト)
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