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 日本時間の8~9日に投開票される米大統領選挙。かつては英語学習の手本にもなる名演説が聴かれたが、今回は様相が違う。「暴言王」トランプ氏の登場で、下品な英語や露骨な個人攻撃が目立つ。演説本を扱う出版業界や英会話教師からは、嘆きも漏れる。

 「noなどの否定語や攻撃的な言葉が非常に多い。スピーチではなく、トークショーだ」

 共和党のドナルド・トランプ候補(70)の使う英語について、「名演説で学ぶ英語」(祥伝社新書)の著書がある米山明日香・青山学院大准教授(英語音声学)はそう語る。

 例えば、4月27日の外交方針演説では「何のビジョンも目的も方向性も戦略もない(No vision, no purpose, no direction, no strategy)」と「no」を並べて、オバマ政権の外交政策をバッサリ。9~10月にあったテレビ討論会では、民主党のヒラリー・クリントン候補(69)に対して「(私が大統領なら)投獄されていた(you’d be in jail)」「なんて嫌な女だ(such a nasty woman)」と悪態を連発した。

 その一方、テレビ番組の元ホスト役らしく、「みなさん(folks)」「~したい(wanna)」「Okay?」といった会話表現を多用する。「聴衆を参加している感覚に陥らせる」手法だ。

 米山氏は「オバマ大統領は『私たち(we)』を多用して一体感を演出し、人々の良心に訴えて融和を唱えた。トランプ氏は人々の本音や悪意に訴えて、『移民VS.米国人』といった二項対立をあおっている。現状に不満をもつ白人労働者階級や中間層を取り込む狙いだ」と分析する。

 演説の構成も型破り。スピーチは通常、序論・本論・結論で構成するが、トランプ氏は昨年6月の出馬表明演説で聴衆に短く謝意を表明した後、いきなり中国や日本、メキシコの批判を展開した。オバマ氏らが、過去の大統領の言葉を引用しながら過去・現在・未来の順で「ストーリー性のある」演説をしたのとは対照的で、トランプ氏は「大半がオバマ政権への非難」だという。

 英語のレベルは、どうか。米カ…

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