自動車や航空機などを製造する富士重工業は創業100周年を迎える2017年4月、社名を「SUBARU(スバル)」に変更する。スバルは売上高の9割超を占める自動車部門のブランド名。中核ブランドに社名を合わせる試みだ。
スバルはおうし座に属するプレアデス星団の和名で、六連星(むつらぼし)とも呼ばれる。その名が自動車に冠されるようになったのは、「太平洋戦争の敗戦に伴う財閥解体で分割された企業が再結集した」という同社の歩みに由来している。
同社の源流、中島飛行機は旧陸軍の戦闘機「隼(はやぶさ)」などを開発した巨大航空機メーカーだった。しかし戦後、12社に分割された。うち5社の出資で1953年発足したのが富士重。55年にはこの富士重が5社を吸収合併し、現在の富士重が形作られた。
富士重の初代社長は開発中の試作車を「スバル1500」と名付けた。命名の経緯について詳しい記録は残っていないが、6社を「統(す)べる=統合する」という意味や、創業事業の空への思いがあったとみられる。そしてスバルの名は58年発売の同社初の市販車「スバル360」などに受け継がれた。
富士重の年間生産は約100万台で国内主要乗用車メーカーの中で小規模。しかし「アイサイト」と呼ぶ運転を支援する独自技術などが評価され、今や注文に生産が追いつかない。「スバルは小粒ながらもきら星のよう」と好むファンらに支えられている。【宮島寛】