韓国 パク大統領 今月中にも事情聴取との見方強まる
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韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領の長年の知人、チェ・スンシル容疑者をめぐる事件で、検察は、チェ容疑者に加えて、6日に新たに逮捕した大統領府の元高官2人に対する調べも加速させており、真相の解明に向けて今月中にもパク大統領への事情聴取に踏み切るという見方が強まっています。
韓国の検察は、パク・クネ大統領の40年来の知人で女性実業家のチェ・スンシル容疑者に続き、6日未明、新たに大統領府の前の政策調整首席秘書官のアン・ジョンボム容疑者と、前の付属秘書官のチョン・ホソン容疑者を逮捕しました。
チェ容疑者をめぐる主な2つの事件のうち、アン容疑者は2つの財団を舞台にした資金流用について、チョン容疑者は大統領府の内部文書の流出について、それぞれ鍵を握る人物とみられていて、検察はチェ容疑者に加えて2人に対する調べも加速させています。
韓国の「ハンギョレ新聞」は、アン容疑者が「2つの財団に資金拠出を求める財閥企業の数を、当初予定していた10社から30社へと増やすよう、パク大統領が指示した」と企業側に説明していたと伝えていて、検察は、実際に大統領の指示があったのかどうかに焦点を当てていると見られます。
また、通信社の連合ニュースは6日、検察がチェ容疑者に、パク大統領が4日に改めて国民に謝罪した際の映像を見せたところ、チェ容疑者は無言で涙を流したと伝えています。
韓国では、検察が容疑者を勾留できるのは最長20日間で、チェ容疑者らを起訴するかどうか判断するためにも、検察が今月中にもパク大統領への事情聴取に踏み切るという見方が強まっています。また、その方法としては、検察官が大統領府に赴いての聴取、大統領府や検察庁とは別の「第3の場所」での聴取、あるいは書面による聴取といった選択肢が検討されているもようです。
チェ容疑者をめぐる主な2つの事件のうち、アン容疑者は2つの財団を舞台にした資金流用について、チョン容疑者は大統領府の内部文書の流出について、それぞれ鍵を握る人物とみられていて、検察はチェ容疑者に加えて2人に対する調べも加速させています。
韓国の「ハンギョレ新聞」は、アン容疑者が「2つの財団に資金拠出を求める財閥企業の数を、当初予定していた10社から30社へと増やすよう、パク大統領が指示した」と企業側に説明していたと伝えていて、検察は、実際に大統領の指示があったのかどうかに焦点を当てていると見られます。
また、通信社の連合ニュースは6日、検察がチェ容疑者に、パク大統領が4日に改めて国民に謝罪した際の映像を見せたところ、チェ容疑者は無言で涙を流したと伝えています。
韓国では、検察が容疑者を勾留できるのは最長20日間で、チェ容疑者らを起訴するかどうか判断するためにも、検察が今月中にもパク大統領への事情聴取に踏み切るという見方が強まっています。また、その方法としては、検察官が大統領府に赴いての聴取、大統領府や検察庁とは別の「第3の場所」での聴取、あるいは書面による聴取といった選択肢が検討されているもようです。
韓国大統領府 首席秘書官と最側近
韓国では、外相や国防相といった閣僚たちとは別に、大統領府で政策について大統領にアドバイスをしたり、各省庁との調整に当たったりする首席秘書官たちがいて、政権運営で重要な役割を果たしています。
パク・クネ政権では、秘書室長の下に10人の首席秘書官がいて、それぞれ、経済、外交・安全保障、人事などを担当しています。大統領の知人のチェ・スンシル容疑者が関係する2つの財団をめぐる疑惑で逮捕されたアン・ジョンボム容疑者は、経済首席秘書官に、次いで、全体を統括する政策調整首席秘書官についていました。
パク大統領は、チェ容疑者をめぐる一連の疑惑で批判が高まったことを受けて、先月28日、10人の首席秘書官全員に辞表を提出させています。
一方、パク政権では、そうした首席秘書官を中心とした組織の構図とは別に、パク氏を国会議員時代から長年にわたって補佐してきた人物たちが、最側近として実質的に大きな権限を握っていました。
今回逮捕されたチョン・ホソン容疑者は、大統領のスケジュールを調整する付属秘書官でしたが、本来の任務を超えて大統領府の内部資料を全般的に管理するようになっていたと言います。
チョン容疑者含む3人の秘書官は「彼らを通さないと、大統領に話が通らない」とされ、政府当局者らの間では「ドアノブ3人衆」とまで呼ばれて、「パク大統領は周囲との意思疎通が不十分だ」という批判を招く結果になりました。
パク・クネ政権では、秘書室長の下に10人の首席秘書官がいて、それぞれ、経済、外交・安全保障、人事などを担当しています。大統領の知人のチェ・スンシル容疑者が関係する2つの財団をめぐる疑惑で逮捕されたアン・ジョンボム容疑者は、経済首席秘書官に、次いで、全体を統括する政策調整首席秘書官についていました。
パク大統領は、チェ容疑者をめぐる一連の疑惑で批判が高まったことを受けて、先月28日、10人の首席秘書官全員に辞表を提出させています。
一方、パク政権では、そうした首席秘書官を中心とした組織の構図とは別に、パク氏を国会議員時代から長年にわたって補佐してきた人物たちが、最側近として実質的に大きな権限を握っていました。
今回逮捕されたチョン・ホソン容疑者は、大統領のスケジュールを調整する付属秘書官でしたが、本来の任務を超えて大統領府の内部資料を全般的に管理するようになっていたと言います。
チョン容疑者含む3人の秘書官は「彼らを通さないと、大統領に話が通らない」とされ、政府当局者らの間では「ドアノブ3人衆」とまで呼ばれて、「パク大統領は周囲との意思疎通が不十分だ」という批判を招く結果になりました。
「首席秘書官の王」と呼ばれたアン容疑者
アン・ジョンボム容疑者は、もともと、経済学を専門とする大学教授でした。
韓国メディアによりますと、国会議員だったパク・クネ氏と経済政策についての意見交換会で知り合い、頻繁に助言するようになりました。
2012年に行われた総選挙で与党・セヌリ党の比例代表候補として当選し国会議員となり、その年の12月に行われた大統領選挙では、基礎年金制度の改革などを含むパク・クネ氏の経済公約を取りまとめるうえで、中心的な役割を果たしたということです。
パク・クネ大統領の就任2年目のおととし6月、アン容疑者は、大統領府で経済運営について大統領に直接アドバイスをする経済担当の首席秘書官に抜てきされました。さらに、ことし5月には、10人いる首席秘書官の中でも全体を統括する政策調整首席秘書官に就任し、一部からは「首席秘書官の王」とまで呼ばれるようになりました。
このように、アン容疑者はパク・クネ政権の経済運営などに関して重責を担うようになり、そうした立場を利用して、「ミル財団」と「Kスポーツ財団」という、大統領の知人のチェ・スンシル容疑者が関係する2つの財団に多額の資金を拠出するよう、経済団体を通じて多くの企業に圧力をかけた疑いが持たれています。
韓国メディアによりますと、国会議員だったパク・クネ氏と経済政策についての意見交換会で知り合い、頻繁に助言するようになりました。
2012年に行われた総選挙で与党・セヌリ党の比例代表候補として当選し国会議員となり、その年の12月に行われた大統領選挙では、基礎年金制度の改革などを含むパク・クネ氏の経済公約を取りまとめるうえで、中心的な役割を果たしたということです。
パク・クネ大統領の就任2年目のおととし6月、アン容疑者は、大統領府で経済運営について大統領に直接アドバイスをする経済担当の首席秘書官に抜てきされました。さらに、ことし5月には、10人いる首席秘書官の中でも全体を統括する政策調整首席秘書官に就任し、一部からは「首席秘書官の王」とまで呼ばれるようになりました。
このように、アン容疑者はパク・クネ政権の経済運営などに関して重責を担うようになり、そうした立場を利用して、「ミル財団」と「Kスポーツ財団」という、大統領の知人のチェ・スンシル容疑者が関係する2つの財団に多額の資金を拠出するよう、経済団体を通じて多くの企業に圧力をかけた疑いが持たれています。
内部資料を扱っていたチョン容疑者
チョン・ホソン容疑者は、パク・クネ氏が1998年に国会議員に初当選したころから秘書として補佐してきました。パク氏が大統領に就任したあとは、大統領のスケジュール調整を担う付属秘書官となり、大統領執務室のすぐ隣の部屋で勤務していたということです。
韓国メディアによりますと、大統領からの信頼が厚いチョン容疑者は、本来の任務を超えて、政府の内部資料を全般的に扱うようになりました。とりわけ、パク大統領が閣僚などからの報告を文書の形で受けることを好み、そうした文書を、いったんチョン容疑者が受け取ってから大統領に提出するようになったと言います。
このため、いつしか政府当局者らの間では「大統領執務室に通じるドアを開けるためにまずは接触しなければならない3人の人物」、いわゆる「ドアノブ3人衆」の1人とまで呼ばれるようになりました。
内部資料を扱っていたチョン容疑者は、大統領の知人のチェ・スンシル容疑者に公務上の秘密を漏えいした疑いで逮捕されており、チェ容疑者が具体的にどういう内容の資料を受け取り、どの程度、国政に介入していたのかを解明するうえで、鍵を握る人物と見られています。
韓国メディアによりますと、大統領からの信頼が厚いチョン容疑者は、本来の任務を超えて、政府の内部資料を全般的に扱うようになりました。とりわけ、パク大統領が閣僚などからの報告を文書の形で受けることを好み、そうした文書を、いったんチョン容疑者が受け取ってから大統領に提出するようになったと言います。
このため、いつしか政府当局者らの間では「大統領執務室に通じるドアを開けるためにまずは接触しなければならない3人の人物」、いわゆる「ドアノブ3人衆」の1人とまで呼ばれるようになりました。
内部資料を扱っていたチョン容疑者は、大統領の知人のチェ・スンシル容疑者に公務上の秘密を漏えいした疑いで逮捕されており、チェ容疑者が具体的にどういう内容の資料を受け取り、どの程度、国政に介入していたのかを解明するうえで、鍵を握る人物と見られています。