リーグ最終戦のホームゲームに敗れながらも、4年連続のJ1残留を決めた後、チーム最年長の土屋征夫は、重い荷物を下ろしたような表情で言った。
「みんながチームのなかで崩れずに、人のことを思い遣って、人のために犠牲になって、いろんなことを話し合ってやってきたことが、こういう結果になって出たと思う。そういう強く仲間を想う心が、甲府の色なので。それがこういう結果につながって良かった」
もしも、甲府がそうした特色のあるチームでなかったならば、早い段階で内部崩壊を起していてもおかしくなかっただろう。
「この練習をやっていて、サッカーが上手くなれると思えない」
「こんな練習に意味はないって、書いちゃってくださいよ」
「練習試合をほとんどやらない。実戦のスピード感のなかで迫られる判断や、フルサイズのピッチでやって初めて出るミスがあるのに。それを確認したり修正したりする機会がない」
憤懣やる方ないといった言葉が聞こえてきたのは、1度や2度ではない。毎日のトレーニングのなか、選手たちはストレスを募らせていた。
トレーニング内容と試合結果の相関関係など実測しようはないが、とにかく練習はよく止まった。スタートしたかと思ったら、1分と経たないうちにストップが掛かり、口頭での指示が長々と続いていく。
選手が身体を動かしている時間より、佐久間悟GM兼監督が口を動かしている時間のほうが長いくらい。「思い付いたことは、全部口に出さないと気が済まない人だから」(チーム関係者)とはいえ、選手からしてみれば「集中力が切れる」「ウォーミングアップの意味がなくなる」のが本音だろう。
今シーズン苦戦した原因に、怪我人の多さが指摘されているが、「いったん止まって筋肉が冷えたところから、また急にトップスピードで動かし始める。その繰り返し。もちろんそれだけじゃないけど、怪我人の多かった理由のひとつであることは間違いない」と、複数の選手、関係者が感じている。
崩壊を踏みとどめた「仲間が仲間を思い遣る気持ち」。
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