地震の被害を受けた住宅街では、雨に備えて崩れた瓦の応急処置やビニールシート張りが行われている=鳥取県倉吉市で2016年10月22日午前9時55分、本社ヘリから貝塚太一撮影
鳥取県で最大震度6弱を観測した地震から一夜明けた22日、各地で避難した住民らへの支援や損壊家屋の補修作業などが慌ただしく進められた。県などによると約3000人が避難所で一夜を過ごしたほか、車中泊をした人もおり、健康状態の確認を進めている。また県は、同日午前7時までの人的被害を再集計し、重軽傷者は15人と発表した。
気象庁によると、21日以降の地震活動は、震度6弱を観測した鳥取県倉吉市から三朝町にかけての南北10キロ超の範囲に集中している。深さは約5〜15キロという。鳥取県中部ではM(マグニチュード)6.6の地震後、22日正午までに震度1以上の地震が145回観測された。
県によると22日朝、湯梨浜(ゆりはま)町の避難所で30代女性が体調不良を訴えて病院に搬送された。軽症とみられる。建物被害は北栄町で住宅など4棟が全半壊。一部損壊を含めた住宅被害は165棟に上った。余震による倒壊の危険性などを判定する応急危険度判定士の派遣が各地で始まっている。
また、複数の市町で断水や漏水が発生。倉吉市では約1万6000戸で断水したり、水が出にくくなったりしている。同市立上小鴨小では自衛隊による給水活動があったが、午前8時半に用意した1トンの水は約30分で空に。その後もトレーラーで繰り返し水を届けた。北栄町や湯梨浜町でも水道管の破裂や漏水が確認されており、役場職員らが対応を急いでいる。農作物被害は、湯梨浜町や倉吉市で名産のナシ約5割が地震で落果した畑もあった。
気象庁によると鳥取県中部では23日昼過ぎから雨が降る見込みで、各地では雨漏りを防ぐためのブルーシートの配布も始まった。
一方、同県三朝町で行方が分からなくなっていた男性(86)は22日早朝、自宅近くの山の斜面で横たわっているのを近所の住民が発見。頭にけがをしており病院に搬送されたが、命に別条はないという。
鳥取県庁の災害対策本部にはこの日、熊本県の職員2人も支援に入った。【千脇康平、長宗拓弥、釣田祐喜、山崎征克】