コーチ(ティッカーシンボル:COH)が投資銀行、エバーコアを起用し、バーバリーとの合併を検討しているそうです。

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現在は、まだ噂の段階です。

寄付き前気配でコーチは+4.4%、ロンドン市場でバーバリーは+4.76%で取引されています。

コーチの時価総額はちょうど100億ドル、一方、バーバリーはドルに換算して82億ドルですので、たぶん、コーチがバーバリーを買収するというカタチで事業統合することになると思います。

6月23日に英国の国民投票でEU離脱派が勝利して以来、ポンドが安くなっているので、コーチにとってはバーバリーを盗るチャンスというわけです。

コーチは頑丈なハンドバッグ、バーバリーは頑丈なトレンチコートをルーツとしており、長持ちする、クラッシックなデザインが両社のブランドのルーツとなっています。加えて両社とも、低迷期を経た後、いまブランドの再興中です。

その過程で、ブランド・イメージの若返り、ヤング層への訴求を強めています。さらにライセンシング・パートナーやホールセールなどの、ブランドを希釈化する販売経路を絞り込み、自社店舗でのブランド展開を図っている点でも共通しています。

ラグジャリー・ブランドの市場は、たいへん厳しい環境が続いています。ハンドバッグのカテゴリーは、近年、マイケル・コースなどの新しいブランドの参入で、カテゴリー全体が活性化されたのですが、その商機に気が付いたラグジャリー・ブランド各社が雪崩をうつように参入したため、過当競争になり、百貨店における過剰在庫を招来しました。一方、消費者の側に目を転じると中国政府がギャンブルならびに高額商品の消費を抑制する方針を打ち出した事から、香港、マカオ市場におけるラグジャリー・ブランドの売れ行きが鈍りました。また円安を当て込んだ中国から日本に来るインバウンドのブームも一巡しました。それに追い打ちをかけるようにパリでは去年のテロの後遺症でアジアからの旅行客が減少しています。

最後に米国を中心として消費者の消費行動に変化が出ていることも指摘できます。具体的にはショッピング・モールの客足が減っています。これは景気に対する消費者の漠然とした不安ということに加えて、消費者がスマートフォンを通じてラグジャリー・グッズを買うことがだんだん定着してきていることも関係しています。このためラグジャリー・ブランド各社はネット戦略の強化を強いられています。

バーバリーはウェブを通じた訴求に早くから取り組んできました。

コーチは、近年、デザイナーを入れ替え、同社の得意とするサドルバッグなどの伝統を上手く最新のファッションとミックスした商品戦略を打ち出しました。現在はラグジャリー・ブランド各社の中で最もフレッシュなラインナップになっていると思います。

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