菅義偉官房長官は19日午前の衆院内閣委員会で、天皇陛下の生前退位に関する安倍晋三首相の私的諮問機関「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の提言を踏まえた法案について「できれば通常国会に出したいという思いは持っている」と述べ、来年通常国会の提出を目指す考えを表明した。
政権幹部が生前退位に関して、具体的な法案提出時期に言及したのは初めて。菅氏は法案提出までのスケジュールについて「(有識者会議が)11月に憲法、皇室典範、歴史に詳しい学者から3回、(意見を)伺うことまでは決まっている」と説明。「その後に有識者が論点整理に入る中で、年明けにも一定の方向が出た段階で、国会の意見を伺った上で法案として提出し成立を期す」と語った。「できれば円満に早くという方向で考えている」と述べ、各党の議論を踏まえて法案化作業を進める意向を示した。
また、女性宮家創設や女性・女系天皇に関しては有識者会議での議論の対象とならないとの考えも表明した。菅氏は「(議論が)広がると意見が拡散してしまう。まず陛下の82歳という高齢を考えた時に、公務負担軽減にしぼって考える方が必要だと判断している」と述べた。民進党の岡田克也氏への答弁。
菅氏は記者会見で論点整理について「(有識者会議が意見聴取する)8項目の課題を整理したものになる」と説明。その上で「当然国会にも(論点整理を)説明することが必要だ」と語った。【田中裕之】