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宋美玄のママライフ実況中継

コラム

大学生による集団暴行ニュース 望まぬ性行為は「犯罪」です!

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大学生による集団暴行ニュース 望まぬ性行為は「犯罪」です!

お姉ちゃんの公園遊びに付き合わされる息子です

 今週で息子は生後11か月になります。娘は発達が早く、この頃には伝い歩きをしていたのですが、息子はまだつかまり立ちから動きません。

 よく食べる分体が重いのかもしれません。よく食べて、よく寝て、大体ニコニコしている手のかからない子なので、意識して接するようにしないと、気づけば娘の方ばかり構っています。娘が寝た後のスリスリタイムが貴重です。

 吐き気を催すようなひどい事件について週刊誌が報道しました。慶応大学のサークルのメンバーの複数の男子学生が女子学生1人にお酒を飲ませ、無理やり性行為をした疑いがあるというニュースです。どんなニュースも真相を伝えているかは分からないものですが、女子学生は警察に被害届けを出し、男子学生は合意があったと言っているとのことです。

 今回の事件に限らず、大学生による集団暴行は今までにも度々起こっています。今回は慶応ですが、東大や京大という名門大学でもありました。もっと多くの大学で、報道されていないものがあるのかも知れません。

「合意」があるかどうか 男性側のゆがんだ認識

 10年ほど前に、京都大学のアメフト部の男子学生による集団 強姦(ごうかん) 事件がありました。男子学生3人と女子学生2人が男子学生の部屋で鍋をして酒を飲ませ 酩酊(めいてい) させ、女子生徒たち暴行したという事件です。

 その時もニュースになり、同年代の男性医師たちと話題にしたのですが、彼らは口々に「え、これで犯罪になるの? 部屋に行く時点でオッケーってことやろ」と言い、私の「そんな訳ないでしょう」という反論は全く聞き入れられませんでした。

 女性との付き合いに通常有利になる肩書を持っている人たちに聞いたためかもしれませんが、そのような感覚は決して少数派ではないようでした(皆さんはいかがですか?)。

 アメリカ合衆国の大統領選候補のトランプ氏が女性に性暴力を行うことを自慢したという過去の発言に 唖然(あぜん) とさせられた人も多いと思いますが、酩酊させたり、強引に押し切ることは「合意」ではないという当然のことから認識し直さなければいけない層は残念ながら結構多いと思います。

互いを尊重し、自分の思いを伝えられるように

 今回のニュースを聞いて、女性の友達から、自分の頃は男性の部屋に遊びに行っては危ないとか、男性ばかりの飲み会に行ってはいけないということを親に教わったものだけれど、という感想を聞きました。確かに私もそのように言われましたし、娘にもそのようなことを言うようになると思います。

 ですが、そういうシチュエーションになったら合意であるとか、強姦されても被害者に落ち度があるということでは全くありませんし、嫌だなと思っても同調圧力や雰囲気に流されてNOと言い切れないことだっていくらでもあると思います。そういうことをもっと伝えていかないといけないと思いました。

 産婦人科医をしていると、予期せぬ妊娠など非常に困った状況で、親には話せないという患者さんにはよく会います。「こういうことはしてはいけない」「自衛すべき」というような教育だけでは、困った時に親に話してもらえないかもしれないなあと、子育てのあり方について考えさせられる機会が多いです。

 男女を問わず相手を尊重し、自分の思うことは伝えられるように(自分も、若い頃は特に、なかなかできませんでしたが)、子供たちに教えられるよう、そして困ったことになった時も頼ってもらえるような親になれるよう、日々真剣に過ごさなくてはと思います。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、性科学者。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)について、詳しくはこちら

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