ここは俺を必要としてくれるところなの・・・?
こんばんは、氷太よ。
今日は羽純ハナ先生の
『ペンデュラム―獣人オメガバース―』
を頂いていくわね!
この漫画は「オメガバース」。
オメガバースとは何ぞ?
って人の為にめっちゃ簡単に解説すると性別に関係なく子供が生まれる世界観の事ね。
3種類の人間がいるわ。
・アルファ
存在が希少だが潜在的な能力が高く、社会的地位の高い人が多い。
覇王色の覇気持ってるような人。
・ベータ
一般庶民、大体の人がこれ。
・オメガ
極稀にしかいない存在、性別に関係なく妊娠できる。
ただその性質上、社会的地位が低い。
絶対的なのはアルファはタチ、オメガはウケってところね。
そしてこの漫画には上記要素に加えて「獣人」という要素が組み込まれており、種族の違いによる問題も描かれる事になる。
更に言うと、獣人の子供はオメガからしか生まれない。
総合的に言ってしまうとこれがまた・・・。
これがもし現実の世界だったら
神様、お前は何を考えてこの世界作ったんだ・・・?と
かのガンジーも助走付けて殴りかかるレベルの複雑な人間模様が描かれる事になるわ。
コノヤロオオオオオッ!!
そしてこの社会的地位の低いオメガの苦悩と、幸せになろうと懸命に生きていく姿勢。
単純にオメガバースという設定だけでなく1人の人間としてのドラマが満載の1冊になっているわよ!
あらすじ
親に捨てられた少年Ω・カイは、国で最も権力を持つ獣人一族・ジークフリード家の子供を産むため、当主のα(アルファ)・ルアードに育てられる。
今まで周りから疎まれてきたカイは、ひとりの人間として扱ってくれるルアードに惹かれ、いつしか番(つがい)になることを夢見るように……。
こんな感じね。
番って結婚みたいなものだけど、それ以上に強い結びつきみたいよ。
更に言うと「魂の番」というのも存在するわ。
これはもう自分の意思によらず、運命により決定された関係ってところね。
ちなみにこの主人公は代々アルファを輩出してきた名家のお坊ちゃま。
・・・だったんだけども、オメガである事が発覚し親に捨てられてしまうのよ。
残念だけど、この世界のオメガはそういった厳しい境遇にある。
獣人にとってはなくてはならない存在なのだけれども、人間の中ではそういった蔑まれる立場でもあるのよね・・・。
登場人物
カイ(表紙下)×受け
由緒あるアルファを代々輩出してきた名家出身。
オメガであるという理由のため、蔑まれて孤独に生きてきた。
ルアード(表紙上)×攻め
非常に優れた能力を持つ権力者。
非常に紳士的な性格で、カイを引き取る事に。
ダート×受け
カイにとって先輩オメガにあたる人。
ぶっきらぼうな性格だが、基本的に良い人。
ジュダ×攻め
見た目が完全にボスキャラなダートの「魂の番」
ルアードとは・・・兄弟なのかな・・?
感想(ネタバレ有り。
もう試し読みの時点で、この世界の悲壮な現実がありありと描かれている。
入り込みの時点でのこの深さは素晴らしいわ。
この世界について何も知らない少年と、利己的でおぞましさを知っている獣人による印象的な出会いから物語は始まるんだけどね。
アタシこの時思ってたの。
ああ・・・物語序盤のカイ君って「シエル・ファントムハイヴ」みたいだなって。
*「黒執事」読もうねせやね!
理不尽な人生を押し付けられて、心に傷を負ってしまって・・・。
このまま影をどこか持ち合わせたまま大人になるんだろうなって。
・・・結構元気でワロタわ。
とはいえそれは少年時代に優しい獣達に囲まれて育ったからこそ。
誰かに居場所を与えて貰えるって幸せな事よね。
そんな孤独だった少年に、ルアードは言葉を投げかける。
「お前の主人はお前自身だ」と。
あらやだ何このワンコ・・・。
かっこよすぎなんすけど・・・。
そして大人になったカイの前にもう1つのCP、ダートとジュダが現れる。
この2人は「魂の番」という関係性を持っていて、いくら相手が嫌いでも離れられない関係にあるわ。
この2人の関係性は、カイがオメガとしての使命を自覚していく上で必須な存在なわけなんだけども正直いってかなり分かりにくいわ。
例えばダートがジュダに「お前に触れられると吐き気がする」という台詞を赤面しながら言うわけなんだけども、これが愛のあるツンデレなのか魂の番故に心では拒否しているけども離れられないのかが分かりにくい。
後日談とか合間に挟まれるおまけ絵見れば何となく分かるんだけど、本編ではこの部分が描かれる事はないわ。
まあでもこれって仕方ないかもしれない。
これがあるからこそ、カイは番になる事に関して深く考えていく事になるのだから。
むしろジュダがスーパー悪カッコイイからご馳走様ですって感じ。
ルアードもかっこいいんだけど、ジュダもかっこいいのよね!
イメージとしてはこんな感じかしら。
ルアード
ジュダ
どっちももっふもふにしてやりたい。
そしてカイは残酷な自分の運命に気付く事になるわ。
獣族の子供は非常に産まれ難い。
よって跡継ぎを生むために、ルアードはどういう選択肢を取らなければならないのか?
この部分によって葛藤する事になるわ。
憎しみ合っているように見える、ダートとジュダに嫉妬するくらいに・・・。
この部分も非常に良かった。
っていうかカイの方の心情を描く部分はどれも素晴らしい。
ただルアード側が理論的過ぎるから、ここをどう思うかが人によって違いがありそうね。
あとは普通に読んでるとカイとの結びつきはかなり唐突なように見えてちょっと残念な気持ちになるかもしれないけど、「魂の番」をよく理解してから読めば何故今まで気持ちを打ち明けなかったのかがよく分かるようになるわ。
この漫画の世界観全てが、この行動に注がれているのよ。
ここが理解できないと、盛り上がりに欠けるという印象になってしまうわ。
とはいえ1番大事な部分な訳だし、もうちょっと分かりやすく印象に残るように描いておくべきだったとも思うけどもね。
あとねー・・・。
1回この漫画の発展シーン見ちゃうとね~・・・。
もう犬を普通に見れなくなると思うよ。
犬がペロペロ舐めてくるあの行動をいやらしく感じるようになる。
1回読めばこの意味が分かるわ、ウン。
蛇足
2巻ってあるのかな~・・って期待しちゃうんだけど、どうなんだろう。
ダートとジュダの物語もいつかは描きたいとあとがきにコメントされてるので、いつか続編としてこの2人が描かれるんだろうとは思うの。
どこらへんまでが憎悪で、どこらへんからが愛なのか、2人の関係を明確に・・・。
つーか何でそんなに素直になれないの?
ここらへんをねー、じっくりコトコト描いて欲しいわ。
あ、電子書籍版も同時発売でオナシャス。
まとめ
獣人が苦手な人は要注意だけど、基本的に犬が好きな人にはかなりオススメできるわ。
オメガバースという事に躊躇いある方いるかもしれないけど、道中に物語に沿って適度に解説してくれるから入門書としても向いてると思うの。
一途・葛藤・トラウマ・デレが盛り込まれてる非常に発展シーンにも見応えある漫画よ!