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Agile.O.Iがアウトプットからインプットへ導く!株式会社ゆめみが約10倍の速さでアプリ開発を実現し業務の流れを変える

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15分前

2016年9月5日、スマホアプリの企画・開発を手掛けるゆめみが、製造業に特化した新サービスの提供を開始した。プロジェクト推進支援サービス『Agile Open Innovation』(以下、Agile.O.I)だ。自社開発したツールと、UI/UX設計に長けたスペシャリストチームの支援により、「最大10倍の速さでネイティブアプリを構築する」という。その速さの秘密はどこにあるのか。サービス開発にあたった中心メンバー3人に話を聞いた。

Agile.O.Iはアプリ開発の「不毛」を解消する

受託開発会社にとって、仕様変更に伴う「手戻り」は、納期や利益に悪影響を与える大きなリスクといえる。そのため彼らは企画書の段階から顧客と打ち合わせを重ね、ワイヤーフレームやモックアップなどを作りながら完成イメージの共有に努める。しかし現実には、いよいよ本開発という段階になって前提を覆すような要求が出てくることも少なくない。

たとえば、「紙で見たのとイメージが違う」「やはりデザインを当初案に戻したい」という要求だ。案件を受託した側からすれば「何のための確認作業だったのか……」といいたくなるのが本音だろう。

顧客の要求に応えるのが受託開発会社の宿命とはいえ、予算、納期、開発チームのリソースには限りがある。盛り込む予定だった機能の削減や納期変更など、何らかの代償を払うことは避けられないはずだ。最終的なしわ寄せが実装を担うエンジニアにのしかかる場合もある。

「もし、もっと早い段階で詳細な検討ができていれば、機能や納期を犠牲にすることなく理想的な開発が実現できたはずです。でもそれができないというのは、開発する側のわれわれにとっても悔しいものなんです」

Agile.O.Iのビジネスプロデュースを担当する、取締役の工藤元気氏はいう。


  ー 株式会社ゆめみ 取締役 工藤 元気氏
命名者の工藤氏は『Agile Open Innovation』の略称、『Agile.O.I』の「O.I」には「Outputを先に(プロトタイプを先に)、Inputを後に(議論を後に)」という特性を表現する、もうひとつ意味を込めた。

「とくに発注する側の企業にとって、UI/UXデザインはもちろん、スマホアプリ内インタラクションは大きな関心事です。画面内の挙動や操作性がユーザーの行動に影響を与えることを考えれば、ギリギリまでこだわりたくなるのは頷けます。しかし開発段階に入ってから大幅な手直しや、表面的な修正が重なってしまうと、発注する側、受注する側双方に無駄なコストと労力が強いられてしまいます。こうした不毛な『負のスパイラル』に陥らないために開発したのが、Agile.O.Iというサービスなんです」

Agile.O.Iは、以下に示すふたつの役務を組み合わせたサービスだ。

Agile.O.Iサービス概要

①サービス企画、UX/UI設計および検討
②プロトタイプアプリ開発
 

「具体的には、スマホアプリを作りたいと望む企業に対し、ゲーミフィケーション、HCD(人間中心設計)など、消費者・生活者の行動心理を熟知したプランナー、デザイナーが企画立案を支援し、その企画をいち早くAndroid端末上で動くプロトタイプとして提供します」

想定ターゲットは、自社開発したセンサやデバイス、デジタル家電のコントロールやデータのモニタリングにスマホアプリを活用できないかと考える製造業だ。

従来の受託開発との違いは、発注者と受注者という上下の関係でも、ウォーターフォール型の開発スタイルでもなく、対等な開発パートナーとして、スマホアプリに必要な仕様を試行錯誤しながら固めていくアジャイル型の開発スタイルで実施される点にあるという。

「サービス名にもあるように、スマホアプリのプロトタイプ開発を「アジャイル」「オープンイノベーション」という文脈で再定義することが私たちの狙いであり、このサービスの目玉なんです」
もうひとつ目玉がある。プロトタイプ開発までの期間を従来の1/10にするという点だ。だが、サービスの主眼は『早く、安く』作ることではないと工藤氏はいう。

「サービスの目的はあくまでも質の高いスマホアプリを作ることにあります。ウォーターフォール型の開発スタイルでは、コストと納期の板挟みでできなかった試行錯誤を、同等の予算と期間内で、約10回まわせるようにしたことがこのサービスのウリです。従来と予算や期間は同じでも、企画から開発、検証、修正までの1サイクルを10倍の生産性でまわせば、10回試行錯誤をすることができます。しかもプロトタイプは最終製品と同じネイティブアプリ。だからこそ質の高いスマホアプリを作ることが可能なんです」


クリエイターの負担を軽減し10倍の生産性を実現

もちろん、開発スタイルをアジャイル型、オープンイノベーションに移行しさえすれば、従来の10倍もの生産性が実現できるわけではない。この驚異的な開発スピードの実現に大きな役割を果たしているのが、『View Generator』(ビュージェネレーター/以下、VG)と呼ばれるプロトタイプ開発エンジンだ。VGの開発者であるソフトウェアエンジニアの柳瀬薫氏は、開発の発端を次のように説明する。

「そもそもVGは、デザイナーやエンジニアが本質的ではない作業に費やす時間と労力を最小限に抑え、本来取り組むべき課題に集中できるようにするために作ったものでした」


  株式会社ゆめみ ソフトウェアエンジニア 柳瀬 薫氏    

「本質的ではない作業」とは、たとえばデザイナーがデザインを適用したAdobe Illustratorファイルに渡す際に作るデザイン仕様書を書く手間や、デザインの変更があるたびにデザイン要素の座標や形状を数値に落としてプログラムに実装するような作業を指す。VGはそうした『本質的ではない作業』を半ば自動化することで効率化することができるのだ。

「たとえばデザインに変更があった場合、従来であれば書面や口頭での打ち合わせが必要でしたが、VGはそれを必要としません。デザインファイルをプログラムに直接適用すればいいからです」(柳瀬氏)

具体的にはこうだ。エンジニアはデザイナーから受け取ったAdobe IllustratorファイルをVGに読み込ませ、生成された中間ファイルからデータをコピーする。それをAndroid Studioなどの統合開発環境に貼り付ければ、あとは裏でプログラムが走りJavaファイルが自動更新されネイティブアプリに反映できるという。

「これによりデザイナーが修正のたびに仕様書を書くことも打ち合わせをする必要もありません。ましてや、エンジニアがIllustratorでファイルの中身をチェックしたりする必要もなくなります。しかもお客様はネイティブアプリで動作や挙動の確認ができるので、作業効率も上がり確認もスムーズになるのです」(柳瀬氏)

いまのところVGを使うには、使用者のローカルに開発環境を構築する必要があるが、それさえ整えられれば、デザイナー自身がネイティブアプリをインストールした実機で、自分がデザインしたUI/UXデザインを検証できる。これは市販のプロトタイピングツールにはできないことだ。

「VGには、大手企業などステークホルダーが多く、高い検収精度が求められる顧客との取引で培った経験とノウハウが生かされています。企画を煮詰めている段階から、完成品に近いスマホアプリをお見せできるので大抵の担当者は驚かれます。その感動が改善のアイデアを生む原動力にもなるわけです」(工藤氏)

CTOの齊藤祐輔氏も、同社の技術経営の担い手としてAgile.O.IとVGに期待を寄せている。

「もし試行錯誤の過程で仕様の漏れや不備が見つかっても、プロジェクトの早期段階であれば、企画を見直すこともできます。技術的負債を抱え込むリスクも最小限に抑えられるので、リリース後のパッチ対応やリファクタリング作業に、貴重なエンジニアのリソースを割く必要もない。だからこそ従来の10倍という飛躍的な生産性が実現できるんです。空いた時間はロジックの設計やセキュリティ対策という本質的な作業に注ぎ込めるので、サービスの精度の底上げにもなります。顧客にとっては無駄な支出を抑えられ、リリースを大幅にずらすリスクも減らせた上に、より良いものができる。それがVGによって実現できるのです」


VGの世界展開も視野にプロダクト化を進める

現在、Agile.O.Iは役務を提供するサービスという位置づけだが将来的には、VGをプロダクトとして売り出すことを視野に今後も開発を続けていくという。

「日本の製造業は優れた技術や製品を持っているにも関わらず、消費者・生活者視点が足りないがために、ハードの品質に見合うサービス価値を提供できているとは言えない状態です。それを補うのがわれわれの役割。Agile.O.Iを提供してからまだ間がありませんが、すでに上々の手応えを掴んでいます。私たちのスマホアプリ開発で培った力を、製造業の皆さんに提供することで、新しい共創関係を作れればと願っています」(工藤氏)

さらに齊藤氏は、VGの海外展開も視野に入れるべきだと考えている。

「現在、プロトタイピングツールは百花繚乱。ものすごい種類のツールが覇権を競っています。しかしネイティブアプリを生成できるツールはいまのところVGだけ※。全世界のエンジニアやデザイナーが、過去の私たちと同じような悩みを抱えているはずです。時期こそ未定ですが、ゆくゆくはVGを世界で使われるプロダクトにしていきたいと考えています。VGにユーザーインターフェイスを実装したり、iOSへの正式対応を実現したりと、やるべきことは山積していますが。」


  株式会社ゆめみ CTO 齊藤 祐輔氏

生き馬の目を抜くと言われるIT業界のなかで、いち早くネイティブアプリによるプロトタイプ開発ツールをプロダクトとして外販できれば、業界に与えるインパクトは小さくないだろう。柳瀬氏がチームを生産性を上げるために自作した社内ツールが、世界の開発チームを救う日も、そう遠くないのかもしれない。

※2016年8月現在。ゆめみ調べ
 

株式会社 ゆめみ

オムニチャネル,デバイス連携アプリの企画,UX/UI設計,開発
代表取締役:片岡 俊行
設立年月日:2000年1月27日
東京本社:東京都世田谷区三軒茶屋2-11-23 サンタワーズB棟 7F
https://www.yumemi.co.jp/

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https://www.yumemi.co.jp/ja/services/service_02/agileoi