ネットワークエンジニアに残された、たった1つの転職先

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ちょっと煽り気味のタイトルですが、筆者はwebアプリケーションエンジニアとして、事業により近いところにいますので、そのあたりのニーズを加味した考え方をしています。あながち、それほど的外れでもない観点はあるのではないでしょうか。

本稿では、ネットワークエンジニアのこれからを考えてみます。

ネットワークエンジニアとは?

念の為おさらいですが、そもそもネットワークエンジニアとはどういう職種のことを指すのでしょうか。ググると以下のような説明が出てきます。

ネットワークエンジニアとは、コンピューターネットワークのシステム構築や保守管理などを行う技術者を指します。

おそらく、ネットワークエンジニアとして働いた方か、サーバーのネットワーク保守などを経験した方でないとあまりピンとこないかもしれません。

誤解を恐れずに端的にいうと、「サーバーを用意してサーバー同士のネットワークを繋ぐLAN線を抜き差しする仕事」というのが、古き良きネットワークエンジニアのイメージでしょうか。(いい過ぎ?)

または、「Cisco製ルーターの設定をひたすら入れ続ける仕事」でしょうか。(いい過ぎ?)

いずれにしても、これらのイメージはサーバーやLANなど物理的なモノをいじってネットワークを繋げる手助けをするエンジニアを指すのかもしれません。

それでもネットワークエンジニアのイメージが沸かない方向けにもっというと、分かりづらいのはそもそも「サーバー」という単語ではないでしょうか。サーバーが複数入ったタワー状の入れ物のことをラックといったりしますが、これもまた一般には馴染みのない言葉でしょう。

より分かりやすくするためには、一般家庭に置き換えるとよいのかもしれません。

引っ越しした際に、インターネットに繋げるために電話回線をルーター(NTTやYahooなどのプロバイダが貸し出す機器)に挿して、そこからさらに挿したLAN線をデスクトップPCに繋げたりする必要があります。

また、WiFi環境を構築するために、追加設定を入れたり、ノートパソコンやタブレット、スマートフォン側でのWiFi接続設定を追加したりする必要もあります。

これらの一連の作業は一般家庭で行われますが、これが企業に置き換わったものと捉えるとより分かりやすいのではないでしょうか。

ネットワークエンジニアを取り巻く業界動向

ところで、ネットワークエンジニアを取り巻く業界動向はどのようなものがあるのでしょうか。

AWSなどのクラウドサービスが普及する中、サーバーなどを自前で用意するいわゆるオンプレミス環境で自社サービスを運用する企業は減少傾向にあるのではないでしょうか。また、これまでオンプレミスだった企業もAWSへの移行に着手しているように感じます。

さらにこれまでさまざまなレンタルサーバーやクラウドサービスが存在していましたが、より高度なインフラ環境を構築する場合においては、そのほとんどがAWS一択という様相になってきています。

このような業界動向において、純粋なネットワークエンジニアの需要もまた、減少傾向にあるのではないでしょうか。

これらの本質をより深掘りして考えてみると、これまでは仕事として存在していたサーバー間のネットワーク結線やルーター設定など、より単純な仕事が自動化されなくなりつつあるということかもしれません。

逆に、このような単純作業に従事しているネットワークエンジニアの方は、危機感をもつ必要があるといえるでしょう。また同様に、手を動かすネットワークエンジニアの仕事を定義するネットワーク設計を行うエンジニアもまた、自動化の波に飲まれる可能性が十分にあります。

ネットワークエンジニアの転職先〜SIer経由の大規模案件

このような業界動向を踏まえた上で、ネットワークエンジニアの転職先はどのようなものがあるのでしょうか。

1つは、SIer経由での大規模サーバー構築案件などがあるでしょう。

たとえば、生命保険会社のサーバーリプレイスなどの案件は、とくに日本においては大手SIerが受注し、サーバーやネットワーク設計を担当して、各中小企業の下請け業者に具体的な作業を発注するといったITゼネコン的商習慣があります。

この場合、とくに末端で手を動かすネットワークエンジニアは、大量の人員が必要となるため、引き続き需要はあるでしょう。

しかし、この商習慣には大きな問題があります。末端で手を動かすネットワークエンジニアがいなければ物事が進まないにもかかわらず、その商流の影響で末端のネットワークエンジニアが一番薄給で働くことを強いられています。

このような業界の問題は構造上の問題なのですが、簡単には構造改革は進まないでしょう。なぜなら、要件をもっている発注元の企業も、受注するSIerも、共に大手であり大企業であるからです。

大企業は合理的な判断を求められます。みずからの力ではイノベーションは起こせないからです。合理的な判断を積み重ねた結果、失敗するというのは「イノベーションのジレンマ」といわれることです。

本来手を動かす人が一番偉いのに、その人が一番報われないという世界は短期的にはうまくいっているようにみえても、中長期的には失敗の方向にいかざるを得ないでしょう。

このように、構造的な問題をはらんでいる場所で、誤りを下支えするネットワークエンジニアにはなるべきではありません

ネットワークエンジニアの転職先〜インフラエンジニアへの道

そこで筆者がオススメなのは、ネットワークエンジニアがより広くキャリアを積み重ねることができる、インフラエンジニアに転職することです。

とくに、SIerなどで働くのではなく、事業会社で内製の文脈でエンジニアを自社で抱える企業への転職をオススメします。

そもそもこのような文脈では、単にネットワークエンジニアというだけでは、潰しがきかないでしょう。前述の通り、たしかにオンプレミスの環境は減少傾向にありますが、それでもまだオンプレミスが残っている部分もたくさんあります。

オンプレミス環境では、ラックを直接触る機会も多々あるでしょう。物理的なネットワーク構築や運用保守の要件があります。ネットワークエンジニアとしての力量は存分に発揮できる環境といえるのではないでしょうか。

それでも、仕事としてただそれだけで問題がないかといえば、そうではありません。優秀なネットワークエンジニアの方であればあるほど、安定的な運用ができているサーバー・ネットワーク環境というのは、なにかトラブルが置きなければリプレイスの要件が出ない限り、とくにネットワークエンジニアの出番はありません。

仕事がなければサボれるかもしれませんが、優秀な方であればあるほど、その環境がつまらなくなるでしょう。チャレンジングな仕事に直面するとアドレナリンが出るのが優秀なエンジニアの要件の1つです。

そこでよりアプリケーションレイヤーに近い、インフラやAWSなどの勉強をはじめたり、実際にOJTで経験を積んでいくというキャリアはよい選択だといえます。

市場に求められるSite Reliability Engineering(SRE)

内製の文脈では、とくに市場から求められているインフラエンジニアのスキルとして、システムの安定運用があげられます。

優秀なネットワークエンジニアの方であれば分かると思いますが、基盤となるサーバーやネットワークにはトラブルがないことがあたりまえとなってはじめて評価されるべきでしょう。

ともすればトラブル対応が評価されたりする場面もあるかと思いますが、本来であればトラブルなく安定運用ができる方が優秀に決まっているからです。

システムの安定運用に携わるエンジニアの仕事の呼称として最近よく耳にする言葉として「Site Reliability Engineering(SRE)」があります。直訳すると「サイト信頼性エンジニアリング」となります。

内製の文脈でもっとも求められているものはなんでしょうか。

それは事業の成果を出すことです。

では、事業の成果を出すために不可欠なことはなんでしょうか。

それは事業成果の機会損失を限りなくゼロに近づけることです。

この意味において、より事業目線でのインフラ運用が求められているという背景があるのではないかと考えています。より優秀なネットワークエンジニアの方であれば、このSREにコミットすることは、もっともやりがいのある仕事だといえるのではないでしょうか。

DevOpsなどよりプログラマブルなインフラエンジニア

それでは、ネットワークエンジニアの方がSREとして転職し活躍するためにはより具体的にどのようなことをスキルとして身につける必要があるのでしょうか。

GoogleのSREの採用基準では、日々のインフラの運用を行うこともさることながら、大切なポイントとして、プログラミングスキルも求められています。これまで人手で運用してきた仕事を、DevOpsなどの技術を駆使することによって自動化するために必要なスキルだからです。

OS、ミドルウェアなどの構成管理(オーケストレーション)なども日進月歩の技術の進化によって、プログラマブルに自動化できるようになっています。そしてこれらのスキルのニーズは日々高まっています。

このようなニーズが高まっているもう1つの背景があります。それはなんでしょうか。

それは、アプリケーションレイヤーのエンジニアのニーズといえます。

アプリケーションエンジニアはより事業に近いところで顧客に必要とされるアプリケーションを開発しています。アプリケーションエンジニアはそのプログラミングの時間をできるかぎり顧客の価値に直結するコードを書く時間に当てたいと考えています。

逆に、インフラ構築などのための時間は、アプリケーションエンジニアにとっては事業に直結する時間ではないため、できるかぎり削減したいと考えています。ここに、インフラエンジニアが必要とされる背景があります。

いずれにしても重要なことは、単純作業からより高度な自動化を実現するために時間を使うということであり、そのためにはソフトウェア開発のために必要なプログラミングの知識が必要不可欠だといえます。

優秀なネットワークエンジニアの方がインフラエンジニア、SREとキャリアを積んでいく場合においては、必ず通る道だといえます。

ネットワークエンジニアがより幸せな転職をするために

これまでご紹介した動向や考え方は、なにもネットワークエンジニアに限った話ではないともいえます。より汎用性をもった視野に立てば、おのずと見えてくる方向性であると考えています。

先ほどもご紹介した通り、ネットワークエンジニアには現状大きく2つの転職の道があります。私はそのうち1つはまったくオススメしません。なぜなら、もし大手SIerの傘下で働いてお金を手にした時点で、そのいびつな業界構造を、意図せず肯定していることになるからです。

この業界構造にNoを突きつける一番簡単な方法は、その業界構造から自分が逃げることだと考えています。

経営と技術、ビジネスとエンジニアリングが密接に絡み合い、むしろイコールな存在となってきている昨今、これらが融合している企業や商流の元で働くという意思をもつことは、ネットワークエンジニアに限らず非常に重要なことではないでしょうか。

本稿が悩めるネットワークエンジニアの方の一助となれば幸いです。

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tchikuba

フリーを経てwebプログラマ。Ruby on Rails, Python, CoffeeScript, TDD, BDD, Lean, Agile, スモールビジネス, 機械学習, 人工知能, 投資, FX, 酒, 歌など。エンジニア出身の起業家になってもっとエンジニアを幸せにしたい。
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