岸本良一中央卸売市場長=東京都新宿区で2016年10月7日、森田剛史撮影
東京都の豊洲市場(江東区)の主要な建物の下に盛り土がされなかった問題で、小池百合子知事が、担当部局の中央卸売市場の岸本良一市場長(56)を事実上更迭する人事を固めたことが13日、都関係者への取材で分かった。一連の混乱を招いた責任を取らせる格好で、複数の同市場幹部も更迭する方針。小池知事は14日の定例記者会見で発表する見通しで、15日付で異動を発令する。【川畑さおり、柳澤一男】
岸本市場長は2014年7月に就任。先月30日に公表された都の自己検証報告書では、「盛り土の上に建設されていると理解していた」と証言していた。
小池知事は5日の都議会本会議の一般質問の答弁で、盛り土問題を巡る都庁内の責任追及について「中央卸売市場の体制を刷新する」とし、7日の記者会見でも「人数強化もしないといけない。拡大という量的な部分と、より技術面の専門性を高めるという質の面も強化していきたい」などと述べていた。今回は、地下空間を設ける理由が二転三転したことや、外部有識者の「技術会議」から提言されたとする虚偽の内容をホームページに掲載していたことなどを問題視し、人事を刷新する見通し。
6日に行われた都議会経済・港湾委員会の集中審議で岸本市場長は「関係者、都民の方々に多大なる迷惑を掛けおわび申し上げたい」と謝罪。段階的に盛り土をしない方向に進んでいったという報告書内容を追認し、「節目、節目で意思決定が行われている。そこに名を連ねた者、市場長に責任があるのは間違いない」と述べていた。