【ローマ福島良典】トランプ米大統領が誕生したら世界にとって危険−−。国連人権部門トップのゼイド人権高等弁務官が12日、米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ氏(70)によるテロ容疑者の拷問容認や、社会的少数派への差別的な発言を踏まえ、そう警鐘を鳴らした。
ロイター通信などによると、ゼイド氏は「トランプ氏がこれまでの発言に基づいて(米大統領に)選ばれ、発言が今後も変わらなければ、国際的な観点から見て疑いなく危険になる」とスイス・ジュネーブで記者団に語った。
ゼイド氏は特定国の選挙運動に干渉するつもりはないと断りながらも、選挙結果が拷問の広がりや弱者の人権侵害につながりかねない場合には「そう指摘しなければならない」と述べた。
トランプ氏は過激派組織「イスラム国」(IS)対策として、現在禁止されているテロ容疑者への「水責め」などの拷問の復活を主張していた時期がある。また、女性蔑視や移民に対する差別的な発言で人権団体などから非難されてきた。
ゼイド氏は9月、イスラム移民排斥を掲げるオランダの極右政党・自由党のヘルト・ウィルダース党首(53)とトランプ氏を同列視し、ISと似通った宣伝戦術を使って「人種・宗教上の偏見を拡散している」などと批判した。