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遺伝上の親3人、体外受精2人妊娠 ウクライナ

ウクライナで実施された今回の体外受精法

 不妊治療を目的に、受精卵から両親の遺伝情報を含む核を別の受精卵に移す方法で、ウクライナの病院で依頼した女性が、3人の遺伝子を持つ子を妊娠したことが分かった。13日に米ニューヨークで始まる生殖技術の国際大会で発表される。先月末に米国の医師らが遺伝的に3人の親を持つ男児の出産に成功したことが判明したが、遺伝病対策が目的だった。今回は不妊治療のため、より安全性や倫理的な問題を巡り論議を呼びそうだ。

 英科学誌ニューサイエンティストが報じた。ウクライナの首都キエフの不妊治療施設のチームは、第三者の健康な卵子を使った受精卵から核を除き、依頼者の受精卵の核を移植する「前核移植」と呼ばれる体外受精の手法で、女性2人の妊娠に成功した。胎児は現在、26週と20週で来年初めにも出産予定という。

 この手法は、細胞のエネルギー源を合成しているミトコンドリアが、加齢などで機能低下して不妊になるとする考え方に基づき、健康なミトコンドリアと置き換えることで「卵子の若返り」を図るとされる。ミトコンドリアには核とは別に独自のDNAがあり、母親からのみ継承されるため、子どもは3人の遺伝子が受け継がれる。

 米国の医師らが実施したのは、遺伝性のミトコンドリア病で流産が続く母親の卵子の核を、除核した第三者の卵子に移植して受精させる方法だった。無事出産すればこの手法では世界初とみられる。

 生殖補助医療に詳しい北海道大の石井哲也教授(生命倫理)は「生まれてくる子の健康にどんな影響が出るか分からず、子の福祉に反している。受精卵を破壊する点でも問題だ。不妊治療目的で広まれば、社会問題に発展しうる」と指摘する。【千葉紀和】

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