日本は、世界は
人気アプリにみる新潮流
日本の1981年前後に生まれた「81(ハチイチ)世代」のようなデジタルネーティブ世代の暮らしに欠かせないのが、スマートフォン(スマホ)の使い方を豊かにするアプリだろう。人気アプリの顔ぶれは、世界の消費トレンドや開発企業の勢力図をも映し出す。15カ国・地域のダウンロード数と売り上げのランキングを月別に追ったビジュアルデータで、世界のアプリ市場の潮流と「お国柄」を探ってみよう。
APPLI RANKING人気アプリ ランキングと推移は
国・地域
カテゴリー
ランキング指標
米調査会社アップアニーがまとめた15カ国・地域のアプリダウンロード数と売り上げの月別ランキング(縦)、推移(横)を2016年7月までの約1年半~2年分、アプリのアイコンを使ってビジュアル化した。アイコンにカーソルを合わせるとアプリ名や開発企業の国・地域、カテゴリーを表示する。中国はiOSのみ。
国・地域別に人気アプリのカテゴリーや指標をボタンで切り替えていくと、どんなことが見えてくるだろうか。例えば中国を見ると、「フェイスブック」や「ワッツアップ」「インスタグラム」など世界的にメジャーなアプリが見当たらない。ダウンロードできるアプリを国が制限しているためだ。
ふだん日本では目にしないような「その国ならでは」のアプリがあったり、逆になじみのあるアプリが意外な国でつくられていたりと、様々な発見があるはずだ。(データ協力 App Annie)
TOPICSアプリ文化にみる「お国柄」
TOPICS - 01
日本、ゲーム課金もガラパゴス?
「ゲームでつい出費してしまう」のは世界共通のようだ。世界のアプリ売り上げランキングはゲームがほぼ独占し、上位には日本のゲームも名を連ねる。しかし国・地域別に見ると、海外のランキングに日本のゲームはほとんど現れない。つまり世界で有数の規模を持つ日本のゲームも、その大半を国内ユーザーの課金が支えている構図が浮かび上がる。
01 - A
世界 ゲーム ストア売り上げ
「モンスターストライク」は売り上げで世界一になった月もある。
01 - B
世界 ゲーム ダウンロード数
日本のゲームは全てランク外。世界中にユーザーがいるとはいえない。
TOPICS - 02
北欧発「アプリの巨人」
米国勢がアプリ開発の最先端を行く一方で、北欧の企業もゲームと音楽配信で世界のトップに立っている。フィンランドのスーパーセルが2012年にリリースしたゲームアプリ「クラッシュ・オブ・クラン」は多くの国でヒット。16年7月時点でも15カ国・地域中12カ国のアプリ売り上げでトップ10に入っている。
スウェーデンの音楽配信大手スポティファイ(アプリ名同じ)は、ゲームを除いた世界全体の売り上げで15年8月から首位に君臨している。日本でも定額配信サービスを始めた。
02 - A
世界 ゲーム ストア売り上げ
赤いロゴの「クラッシュ・オブ・クラン」を筆頭に、ヒットを連発。
02 - B
世界 ゲーム以外 ストア売り上げ
「スポティファイ」の人気は衰えない。
TOPICS - 03
「出会い」アプリも世界で勢い
出会いのきっかけを作る「マッチングアプリ」の市場が活況を呈している。その場で写真やプロフィルを見て好みの相手を探せる手軽さやゲーム性が受け、今や一大ビジネスになった。筆頭格が米国の「ティンダー」で、10カ国でトップ10入り(16年7月時点)している。
国ごとに独自のアプリがあるのも特徴だ。例えばフランスで人気がある「アダプトアガイ(AdoptAGuy)」は、女性が男性を買い物かごに入れている様子をアイコンにするなど、デザインにも工夫を凝らしている。
03 - A
世界 ゲーム以外 ストア売り上げ
世界で最も勢いがあるのが、炎のロゴの「ティンダー」だ。
03 - B
フランス ゲーム以外 ストア売り上げ
フランスで絶大な人気の「アダプトアガイ」。2位以下の競争は激しい。
TOPICS - 04
アプリにもシェアエコノミーの波
アプリ市場でも、モノやサービスを複数人で共有して利用する「シェアリングエコノミー」の新しい潮流が生まれている。象徴的なのは、ドライバーと乗客をアプリで結びつける相乗りサービスの米国「ウーバー」や、無料のWi-Fi接続ポイントにアクセスできる中国の「ワイファイ・マスター・キー」だ。衣料品などを売買する日本のフリーマーケットアプリ「メルカリ」もこれに当たる。産業構造変化の一端を、アプリも担っている。
04 - A
世界 ゲーム以外 ダウンロード数
新産業を象徴するように、16年7月に「ウーバー」がランクイン。
04 - B
日本 ゲーム以外 ダウンロード数
日本では「メルカリ」が健闘。次の産業、次のアプリは何だろうか。
- 取材・制作
- 夏目祐介、鎌田健一郎、清水明、佐藤健
- データ提供
- App Annie