消費できないお金が手元に1000万円あったら、どうするか?
今年の2月、友人たちとの酒飲み話で盛り上がった話題です。
そのときの結論は、
業績の良い企業の株を長期保有する
となりました。
他の案は全て却下となったのですが、 そのうち、
- 外貨預金をする
- ワンルームマンションに投資する
については、「よくわからん」というのが理由でした。
この酒飲み話から、かなり時間が経っておりますが、あらためて「外貨預金」について調べてみました。
すると、なぜ、儲からないのか、その理由が3つあることが分かったのです。
本エントリーでは、その理由をざっくりとまとめてみました。
キャンペーン金利
「ブラジル・レアル7%」とか「南ア・ランド6%」といった高金利の外貨預金の広告をご覧になったことはありませんか?
パッと見、「100万円を預けると、1年後には107万円になっている!これはスゴイ!」と思いますよね。
ところが、この広告、良く見ると小さな字で「当初2ヶ月のキャンペーン利率。以降は年利2%」なんて書かれていたりするのです。
新規の預金者を獲得するためのキャンペーン。
「7%」と大々的に打ち出していますが、実際につくのは2ヶ月だけなんですよね。
では、1年後いくらになっているか計算すると
100万円×1.07×2ヶ月÷12+100万円×1.02×10ヶ月=102万8千円
となります。
107万円に比べ、ずいぶんと差があります。
この手の広告、明らかに「やり過ぎ」ですので、問題になったようです。
最近は、「但し・・・」以下の注意書きの文字サイズが大きくなっています。
為替手数料
円を他の通貨に替えたり、戻したりするのに、手数料が必要となります。
メガバンクでは、米・1ドルあたり2円の手数料を徴収しています。
これが馬鹿にならないのです。
100万円を元手に、アメリカで年利2%の預金を1年間行ったとします。
為替は1ドル100円で変更がなかったとすると、
ドルの交換:100万円÷102円(100円/ドル+手数料2円)=9,800ドル
預金元利 :9,800ドル×1.02=9,999ドル
円に交換 :9,999ドル×100円ー9,999ドル×2円(手数料)=979,902円
になります。
年利2%で預けたのに、2万円損していますね・・・。
おまけに、利子の199ドルに対して、きっちり税金がかかるようですので、さらに目減りします。
このように行って来いの手数料の負担が大きいのです。
為替差損が出やすい
外貨預金が儲からない理由で最も重要なポイントは、「高金利の預金先の通貨は長期的に見て下落するため、為替差損が出やすい」ことにあります。
その仕組みは、
- 金利の高い国はインフレ状態にある
- インフレ状態だと通貨の価値は下がる
- 通貨の価値が下がると外貨を戻したときに目減りする
となります。
為替差損とは
為替差損とは、為替相場の変動によって損をした額のことです。
1ドル100円で、10万円をドルに交換すると1000ドルです。
以降、1ドル80円の円高(ドル安)になって円に戻すと、手元には1000ドル×80円の8万円になります。
元金に比べて、2万円損します。これが為替差損です。
逆に1ドル130円になっていたら、13万円戻ってくるので、3万円得します。
これは、為替差益です。
*いずれも手数料等を除く
こちらは、この1年間の米ドル/円の動きです。
昨年の今頃(9月末)では、1ドル120円程度でしたが、現在は100円ちょいまで円高になっていますね。
ドルに交換していた120万円(1万ドル)は、今、円に戻すと100万円にしかならないのです。
これが、為替差損です。
余談ですが、1ドル100円から80円と金額が減って見えるのに「円高」と言うのは、何か違和感がありますよね。
これは、「100円で、何ドルもらえるか?」を考えるとわかりやすいです。
1ドル100円のときは1ドルですが、1ドル80円のときは1.25ドルと、0.25ドル多くもらえます。
交換したときにドルをたくさんもらえるということは、円の価値が上がっているということ。
なので、円が高くなった=円高となるのです。
金利の高い国はインフレ状態にある
外貨預金を行う場合、当然ですが、日本よりも金利が高い国を選んで、そこで預金しますよね。
その金利が高い国なのですが、まず、インフレ状態にあるといえるのです。
(逆に、インフレだから、それを鎮めるために金利を高くしている、ともいえますが)
インフレ状態だと通貨の価値は下がる
インフレとは物価があがることです。
例えば今、100円で買えるものが、1年後には110円になっている、みたいな状態をさします。
これをお金で見ると、今、手元にある100円は、1年後には、今のお金の価値の直すと90円分の値打ちしかない、ということなのです。
このように、インフレでは、時間が経つほど、物に対して通貨の価値がどんどん下がっていくのです。
通貨の価値が下がると為替差損が出る
通貨の価値が下がると、為替という国同士の通貨比較でも価値が下がります。
預金先の国の通貨が安くなる、日本から見ると、その国の通貨に対して円高なる、ということです。
なので、円に戻すと目減りするのです。
このように、高金利の国はインフレなので通貨安となり、利子分以上に通過が下落すると、円に戻したとき目減りしている、となるのですね。
ただし、為替はインフレ率や金利よりも、他の経済動向や人々の思惑の影響のほうが、急速かつ大きいものです。
なので、「長期的に見た場合に、下落する可能性が高い」とご理解ください。
外貨預金は止めた方が良い?
ここまで見てきたように、外貨預金が思ったほど儲からないのは、
- キャンペーン金利の場合がある
- 手数料が高い
- 為替差損が出やすい
という3つの理由がありました。
では、外貨預金は止めた方が良いのか?との結論になりそうですが、これがまた一概には言えないのです。
キャンペーン金利は論外ですが、為替の手数料は、金利と預けている期間との兼ね合いによって、負担感が変わります。
上の例であれば、為替一定で3年後はプラスに転じる計算になります。
最重要の為替差損は、なかばバクチのようなもの。
「通貨安になる」可能性のほうが高いけれども、他の要素でコロコロ変わるので、やってみないと分かりません。
うまくいけば、為替差益が出るかもしれませんし。
日本の銀行に預けていても利子はつきませんので、リスクはあるけれども利子が欲しいのであれば、やってみる価値はありますね。
その場合、
- 中長期的に使う予定のないお金を
- 急激に円高に振れたときを狙って預金し
- そのまま数年間放置し、
- 急激に円安に振れた際に戻す
のが、もっともリスクが低いやり方と言えるでしょう。
問題は、遊んでいるお金があるかどうかと、それを使わずに数年間放置できるかの2つですかね?
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では、また。