社員数一桁台のスタートアップが、採用で失敗しないための10の心得
昨日(2016/9/28)、こちらのイベントに登壇させていただきました。お越しいただいた皆様、ありがとうございました。当日お話できなかったことについて書きます。
#開催概要ダイレクトリクルーティングやリファラルリクルーティングが採用の手法として増えてきている中で、適切なターゲットの方にどのようにして自社のことを知ってもらうか(自社ブランディ... powered by Peatix : More…peatix.com
この1年間、100社近くの採用広報をお手伝いさせていただいた中で感じたこと、学んだことについて「えいっ」と喋り倒しました。結論、僕の中では「採用広報≒コーポレート・ブランディング」です。当日の模様は、ログミーさんに掲載していただく予定なので、そちらをお待ちください。
さて、何を隠そう、PR Tableも絶賛採用活動中。社員数はわずか5名(内2名が最近入社)で、もちろん採用の“専任”メンバーなどいるはずもありません。それゆえ、今は僕が兼務している状況です。
2ヶ月ほど前から頭の中が、「顧客<採用」でして、まぁこれが許されるのも社員が増えたからなのですが、以前の有様からは想像もできませんでした。会社って本当にフェーズによって変わるんですね。
もちろん、どのフェーズにおいても、人材採用は経営に近い、めちゃくちゃ大事な仕事だと思います。ましてや僕らのような零細企業にとっては、一人の人間が組織全体に与える影響はとても大きいので。それゆえ、毎日が冷静と情熱のあいだです。つまり読者のペルソナは自分です。
「人事を尽くして天命を待つ」とはよく言ったもので、魅力的な人材を口説くには、尽くすべき人事があるのだと思います。
他社さんの採用広報をお手伝いさせていただくことが多いPR Tableですが、僕をはじめ「採用」に関しては全員ド素人。幸いにも採用のプロが周囲に多くいるので、いつも勉強させていただいております。
学んできたことを、自分なりにまとめてみました(2016年9月)
勉強しただけでは芸がないので、学んだことをいろいろ試した結果、感じたことを、自戒の念も込めて整理します。
- 結論:自社に合った方法でやるしかない
「なんだよ、散々勉強したのにそれかよ」と罵られてしまいそうですが、最後は自分たちで決めるのだから、そういうものだと思います。
いろんな話を聞いて試してみましたが、すべてはトレードオフです。あちらが立てば、こちらが立たず。だから都度、そのフェーズにあった自分たちに合うやり方を考えては試し……を繰り返すしかないのだと思います。
で、今の僕らのフェーズに合った方法が何なのか。7–8月に新たに入社してくれた2名のメンバーのことを思い出して、そのときやってて良かったことと、現在も効果があることを10個ほど羅列してみました(※ すべての会社/フェーズに当てはまるとは微塵も思っておりません)。
<前提>こういうフェーズを想定しています
社員数一桁台/採用“専任”担当は不在/知名度がミジンコ程度/潤沢な採用資金など夢のまた夢/求む即戦力(※2016.10時点のPR Tableとほぼ同様)
……なんだか、書いてて悲しくなってきました。
<まとめ>やってて良かったこと/効果があったこと
- 毎日、「採用」という言葉を口に出す
- 採用ツールには、過剰な期待をしない
- なんでもいいから、“書いて”残しておく
- どんなスキルを持ってるかじゃなく、どんな景色を見てきたかを知る
- 職種ありきではなく、「人」ありきで考える(※ 一部除く)
- 「この人ならできる」じゃなく、「この人“と”ならできる」を感じる
- 可能な限り、入社前に“並走期間”を設ける
- 一緒にご飯を食べる、酒を呑む、そして全てをさらけ出す
- 「明日も明後日も、その人に会いたいか?」を自分に問う
- とにかくたくさん、社員と話をする
以下、それぞれ詳しく解説します。
1. 毎日、「採用」という言葉を口に出す
兼務である以上、採用のことだけを考えるというのは無理です。そんなことしてたら事業が止まります。事業の成長が止まったスタートアップは「死」あるのみです。
だから必然的に、インプットできる情報量に限りがあります。そんなとき、有益な情報をくれるのは社員であり、周囲の応援してくださる方々(僕らの場合、顧客が多い)。「この人PR Tableに合うかも、紹介しようか?」など実際に繋いでくれたりします(ありがたや!)。
まずはその人たちに「採用活動をしている」ということを知ってもらうことが大事ということ。
「採用してるぞ!」と心の中で思っていたところで、誰も察してはくれません。だって地球はあなたを中心には回らないから。毎日、口に出す(ときどきSNS)くらいでちょうど良いです。本気度を伝えるには、とにかく繰り返すことが大事。
2. 採用ツールには、過剰な期待をしない
採用ツールをDisってるのではなく、そもそも大した知名度もないのに、「ツールを使えば勝手に良い人材が集まる」と思ってるのが大間違い。ツールと格闘するのは、本当に時間の無駄です。
でも採用ツールを使っていると、「採用活動してるんだ?」と周囲の人に気づいてもらいやすい(声をかけてもらえる)ので、使ったほうがいいのは確かです。採用ツールを使ってること自体が、採用広報になるということですね。
ちなみに僕らは、いくつか試した結果、Wantedlyを活用することになりました。正直ここ経由で正社員が採用できる手応えはないですが、外部ライター募集でも使っているので、コスパ◎です。実際に良い人と出会えています。
何より写真やタイトル変えるだけで反応が大きく変わるので、いろんな実験ができて、ノウハウがたまるのもいいですね(それぐらいの気持ちでOK。期待しすぎない)。
3. なんでもいいから、“書いて”残しておく
いまMediumを書いていることにも通じますが、思ったことや学んだことは、書いて残しておくと便利です。差し支えのない範囲で、外部公開するとなおよしです。
理由としては、「人は、学んだことをすぐ忘れる」「話そうとすると面倒臭いけど、読んでもらえる」「近い考え方、異なる考え方をする人からフィードバックをもらえる」「会社の思想を反映してるものであれば、採用コンテンツになる」といったところです。あれ?超効率的じゃん。
PR Tableに格納されているストーリーも、そのうちの一つですね。各社そういう形で使ってくれています(別にストーリーじゃなくてもよい)。
それに、よくブログを見たという人からご連絡をいただきます。採用も然りですが、受注に至るケースもあるので営業面でも効果的です。
4.どんなスキルを持ってるかじゃなく、どんな景色を見てきたかを知る
これまでの企業戦士ライフのなかで、さまざまな会社の酸いも甘いも知ることができました。常駐も含めると6社ほど「組織」というものを経験してきたので、それなりにいろんな景色を知っています。
個人で活躍できる楽しさも、チームで評価される喜びも、逆にチームがバラバラになってしまったときの辛さも……。そのとき、どんな景色を見たかは、次の会社でのパフォーマンスに必ず影響します。
つまり、どのようなチームの雰囲気にすれば、各個人のパフォーマンスを最大化できるかなども考えなきゃいけないということです。せっかく優れたスキルがあるのに、その景色を知らなかったがためにチームに不和をもたらしてしまっては、お互いのためになりません。
ちなみに僕は「一人で成果を上げて気持ち良くなった」景色ばかり見てきた人は、基本的に信用していません。チームで成果をあげる重要性を理解してる方(その原体験がある方)と一緒に働きたいと思っています。
求めるスキルを定義することはもちろん大切ですが、それ以上にどんなことを経験し、どんな景色を見てきたかで、お互いの人間性がわかります。スキル知ってから「人間性が合わないわ〜」ってなるのは神経の無駄使いです。
5. 職種ありきではなく、「人」ありきで考える(※ 一部除く)
もちろん、募集する職種は決めています。でも、我々のような零細企業は、野球でいえば5人で全守備位置(9つ)を守っているようなもの。三塁手がいないのに、三塁線ギリギリの打球も、誰かが飛びついて捕る必要があります。
だから、「どこのポジション守れるか?」ではなく、「ボールに飛びついてくれるか?」を見ています。すると「こいつ本職は外野手だけど、三塁も守れるんじゃない?」ってな感じで思考(採用後のイメージ)が進みます。
それに「募集要項にないけど、これやりたい!」と言われて、「いいかも!」と思うことも多々あります。そして実際に「やってみた!」と言われて、「ナイス勇気!」と思うこともとても多いです。
ひとつとして同じ会社はないので、その人のスキルが生かされるか否かも、組織の在り方によって変わるでしょうし。
※ 職種(ポジション)によっては、「そこを守っててもらわないと、そもそも試合が成立しない」ということもあるので、すべてに当てはまるわけではありません。
6. 「この人ならできる」じゃなく、「この人“と”ならできる」を感じる
これは実体験したことでもありますが、「この経歴の人がきたら、あとは任せておけば勝手に伸ばしてくれるだろう」というのは会社側の怠慢だと思っています。
会社の歴史を知らない新入りに、すぐ課題を解決してもらおうなんて、アホのやること。そうではなく、その社員をきっかけに会社も変わり、ともに成長していくべきです。
だから、自分も既存メンバーも、歯を食いしばって一緒に頑張るのがデフォルトです。そのときお互いに、「この人“と”なら一緒に頑張れそうか?」を見極める必要があると思ってます。何度も書きますが、あとからそれをどうこう言うのは、ただただ無駄です。
7. 可能な限り、入社前に“並走期間”を設ける
たまたまですが、僕らの場合は並走期間を設けることができて、めちゃくちゃラッキーでした。同じ空間に一定期間いると、お互いに仕事観やリズムは掴めるものです(結果、チームが評価されて入社が決まりました)。
会社の課題もこの期間で理解してくれるので、スタートダッシュもバッチリです。おかげでたった2–3ヶ月で、かなり会社の状態が良くなりました。
ミスマッチを防ぐためにも、並走期間はあるに越したことはないです。でも本来、このフェーズは「お越しいただく立場」なので、毎回できるとも思っていません。難しいですね(そのうちデフォルトでできたらいいな)。
8. 一緒にご飯を食べる、酒を呑む、そして全てをさらけ出す
食事中の会話だからこそ、感じ取れるものもあります。酔っ払えば尚更です(酒は飲めなくても、その場の雰囲気だけでOK)。
気遣いであったり、人としてのマナーやモラル。会話のテンポなど。僕はどんなに優秀な人でも、モラルがない人は嫌いなので、絶対に入社して欲しくありません。
そしてこちらにも、文章や写真だけでは伝えられない、絶対変えられないカルチャーがあります。少なくとも僕はこんなブログを書いていながら、素の性格は、すごい意識低いし、生活地味だし、プロ庶民です。
その空気感を、良しと思うか、悪しと思うか。こちらが変えられない以上、相手に判断してもらうしかありません。だから、こちらが全てをさらけ出さないことには、不安は払拭できません。その不安が無駄です。
9.「明日も明後日も、その人に会いたいか?」を自分に問う
これが一番重要です。これは「好き」とか「嫌い」とかそういう次元ではなく、もはや生物としての本能です。
もっと詳しく教えてほしい/知りたい。その人がどう変化(成長?)するか楽しみ。あいつ(社員)と気が合いそうだな……などなど。
僕は公私ともに、この基準で考えた際に、10%ぐらいしか「また会いたい」と思いません。人間的に好きだとしても、90%の「会いたくない」側に回ることあります。「わからないからもう一回会ってみよう」でも30%ぐらい。結果スクリーニングになるので、効率化につながります。
「公私混同するなよ!」と言われてしまいそうですが、このフェーズの会社で公私混同しないのは無理というものです。
10. とにかくたくさん、社員と話をする
上記(1〜9)に気づいたのも、現在いるメンバーとの会話量が多いからだと思います。だから、この時間を惜しんではいけません。
なぜなら、この時間が採用要件の定義につながるからです。何が課題で、何が強みで、何が譲れないポイントかが見えてきます。
「こういうところが合うと思ったんだな」とか、「こういう雰囲気ってうちの変えたくないカルチャーだな」とか。逆に、「ここが変わる必要あるな」とか。それを言語化しましょう。
一人でウンウン唸ってても、ほとんど意味がありませんでした。考えすぎて寝れなくなった、あの夏夜を返してほしいです。
なるほど、だから外部コンサル(に近しい仕事をしてる人)は、社員ヒアリングを大事にするんだな……。と自分の実務を振り返っても改めて感じるところでありましたとさ。
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