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建設現場に洋式トイレ義務化 女性も快適に

洋式の仮設トイレ。工事現場で働く女性を応援する目的で作られた=千葉県市川市の日野興業で山田麻未撮影

 国土交通省は、同省から土木工事を受注した建設業者に対し、水洗機能が付いた洋式の仮設トイレを作業現場に設置することを義務付ける。「快適トイレ」と名付け、10月以降に入札手続きをする工事に適用する。女性が働きやすい建設現場にするのが目的だが、洋式の需要を高めることでレンタル業界での備蓄を進め、ひいては災害時に活用できるようにする「一石二鳥」を狙う。

 建設現場で働く女性の割合は、2012年の国の調査で3%、約10万人にとどまっている。高齢化に伴う人手不足のなか、国交省や業界は女性を重要な担い手と位置付け、19年までに倍増させようとしている。しかし建設現場のトイレは、靴についた泥などで服が汚れやすいのに、和式が中心で女性に敬遠されてきた。

 国交省は昨年度、建設現場に洋式トイレを試験導入した。トイレの前に目隠しのついたてを置いたり、消臭対策や鏡を設置したりしたところ、男女問わず「快適だ」と高評価だった。ただ、洋式のレンタル料金は月3万〜5万円と和式の5000〜1万5000円に比べて割高だ。このため国がトイレ1基当たり上限4万5000円を補助して普及を後押しすることにした。

 一方、災害時に避難所で設置される仮設トイレは和式がほとんどだ。女性だけでなく、足腰が弱い高齢者や和式に慣れない子どもたちから「使いづらい」と問題視されてきた。

 NPO法人日本トイレ研究所(東京都港区)の加藤篤・代表理事によると、熊本地震の被災地では、しゃがむことが困難な高齢者が和式便器に直接座ってしまうケースがみられたという。加藤さんは「衛生面からも尊厳の面からも問題だ」と指摘する。

 大手仮設トイレメーカーで貸し出しもする「日野興業」(千葉県市川市)の担当者は「レンタル用の9割超が和式。洋式のニーズが増えて稼働率が上がれば自然に備蓄が進み、避難所でも洋式が使われるようになるはず」と国交省の取り組みに期待する。【山田麻未】

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