フェティッシュの火曜日
2016年9月27日
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製造・販売元の徳島製粉に聞いたら丁寧に答えてくれた
金ちゃんヌードルをご存知だろうか?
知っている人からすれば「何を今さら」という話だろうが、実はこの金ちゃんヌードル、静岡を境に西の地方でしか販売されていない、“ローカルカップ麺”なのだ。 静岡生まれ静岡育ちのわたしは、この金ちゃんヌードルを食べて育ったといっても過言ではないくらいお世話になっているので、その事実を知った時衝撃を受けた。 しかし、なぜ全国展開しないのか?西日本の中でも特に静岡ではよく見かける気がするが、気のせいだろうか?もしそれが本当ならば、なぜ静岡なのか? 金ちゃんヌードルの生みの親・徳島製粉に聞いてみた。 金ちゃんヌードル 概要徳島製粉が製造・販売している「金ちゃん」の名がつく金ちゃんシリーズは、2016年9月現在で32個の商品がある。
その中でも、特に有名なのがこちらだ。 我らが金ちゃんヌードル
うちの食料庫には、大抵この4種類がそれぞれ2個ずつ常備されている。合計8個もあるのに、大概1週間足らずでなくなる。
まずは、パッケージをよく見てほしい。昭和レトロなフォントと温かみのある色合いが、いい味を出している。 金ちゃんヌードルが身近な存在の方も改めて見てほしい。見ているだけで、田舎へ帰った時ような穏やかな気持ちになれる
ロゴとロゴのあいだには、かわいらしい鶴が微笑む
そもそも、金ちゃんヌードルはなぜ金ちゃんヌードルという名前がついたのか。
それは、創業当時から徳島製粉が製造している自社ブランドの小麦粉「鳴門金鶴(なるときんつる)」がルーツになっているそうだ。 元々徳島製粉はその名の通り製粉業を中心に営んでいたが、大手パン屋が徳島に進出してきた影響で、小麦粉の売り上げが落ちてしまった。 悩む徳島製粉社員(イメージ)
そんな時に、小麦粉が売れないなら自社で小麦粉を使い販売できる商品はないかということで作り始めたのが、この金ちゃんラーメン。
発売当初は「キンツルラーメン」として売り出したが、他に同じ名前の商品があったため、1ヶ月ほどで「ナルトナミキンツルラーメン」に名前を変更。そして、さらにもう一度名前の変更を経て誕生したのが、現在の「金ちゃんラーメン」だそうだ。 「ついに…ついにできたぞー!!」と喜びをあらわにする徳島製粉社員(イメージ)
パッケージの話に戻ると、鶴のマークもこの「金鶴」が元になっているのだろう。名前からは外れてしまったけど、マークとしては残っているというわけか。
そう思うと、余計愛おしく感じる。マークとして残してもらえて良かったね!! 「うん!!」
具の多さと独特なスープが特徴肝心のお味だが、金ちゃんヌードルはカップ麺とは思えないくらい具だくさんで、どの味を食べてもハズレがない。
今から数年前わたしが東京に住んでいた頃、地元静岡に帰省した際金ちゃんヌードルを大量に買い込み東京でバイト仲間にお土産として配ったところ、バイト先で爆発的にヒットした。 その後、帰省するたびに金ちゃんヌードルを買ってくるよう指示されるようになるほど、一度食べると癖になる。 食べ方は他のカップ麺と同じだ。 スープとかやくを入れ、お湯を注ぎ、3分待つ
〜3分後〜
『金ちゃんヌードル コク旨カレー』のできあがり
ちなみに、なぜ最もポピュラーな『金ちゃんヌードル』ではなく『コク旨カレー』を選んだかというと、この日撮影とは関係なく、既に昼食で『金ちゃんヌードル』を食べたからである。
注目すべきはこの具の多さ。 カップ麺というとやはり麺が主役で、ちょろっと具が入っているものが多いが、金ちゃんヌードルはあまりの具の多さに麺が隠れている。 麺はもちろん、具もひとつひとつがしっかりしているので、カレーライスのように野菜や肉の味も感じることができる。
あと、これは完全に個人の好みだが、わたしはお湯を指定の量よりちょっと少なめにして、あえてカレースープをトロッとさせる。指定の量でももちろん良いが、濃い目のスープ好きにはそのくらいがちょうどいい。 コク旨カレー以外の金ちゃんヌードルも、どれも具だくさんで、スープも飲み干してしまうほど最後まで楽しみたくなる。 長年の疑問を、徳島製粉さんにぶつけるお腹が満たされたところで、今回のミッションに入ろう。金ちゃんヌードルにまつわる疑問を、徳島製粉に直接問いかけるのだ。
主な疑問はこちら。 1. なぜ、全国展開しないのか? 2. 西日本の中でも特に静岡ではよく見かける気がするが、気のせいだろうか? 3. もしそれが本当ならば、なぜ静岡なのか? 静岡ネタばかりで申し訳ないのだが、どうしても特に静岡では人気が高いような気がしてならないのだ。 というのも、一時期一人暮らしをしていた愛知や、よく遊びに行く大阪では、コンビニやスーパーで金ちゃんヌードルを見かけた記憶がほぼないからだ。西日本を中心に売られているのなら、静岡と同じように愛知や大阪でももっと見かけていいはずなのに。 これらの疑問を電話で問いかけたところ、徳島製粉 営業の漆川(しつかわ)さんが、とても丁寧に答えてくれた。 〜西日本限定問題〜Q1:なぜ、全国展開しないのか?
A:リソースと運賃の問題 徳島製粉は社名の通り、徳島県に本社及び工場を置く会社である。名古屋、静岡、広島、富山に営業所があるが、静岡より東にはない。以前は東京にも営業所があったそうだが、オイルショックの影響で今はないそうだ。 このエリアを現在、漆川さんを含む営業さんたった3人でカバーしている。西日本限定とはいえ、これだけ広いエリアを3人で回っているのだ。 もちろんテレビCMなど広告の力もあるが、こんなに知名度の高い商品を営業さん3人で広められているとは正直驚きである。皆さん、超敏腕営業マンに違いない。 こういった人的リソースの話。 そしてもう一つ、運賃の問題。 金ちゃんヌードルを地域問わず遠方の方にも届けたい、と思っても、遠くなれば遠くなるほどどうしても運賃はかかってしまう。こういったコストバランスの問題も一因になっているそうだ。 将来、『チャーリーとチョコレート工場』に出てきたようなテレポートマシンができれば、金ちゃんヌードルも全国どこでも、気軽に手に入るようになるかもしれない。 テレビを介し、テレポートで送られてくる金ちゃんヌードルの図。こうなったらどこでも食べられる
〜静岡でよく見かけるのは気のせい問題〜Q2:西日本の中でも特に静岡ではよく見かける気がするが、気のせいだろうか?
A:気のせいではない 気のせいじゃなかった!!! 詳しく聞いてみると、実際静岡の金ちゃんヌードルシェア率は、販売している県の中でも相当高いらしいのだ。 漆川さんによると、1番シェアが高いのは、徳島製粉がある『四国』。そして2番目が、『静岡』と『沖縄』とのこと。 沖縄もシェアが高いのか!!沖縄でも同じように金ちゃんヌードルを食べていると思うと、なんだか一気に沖縄県民の皆さんとの心の距離が縮まったような気がする(一方的に)。 金ちゃんヌードルが縮めてくれた、静岡・沖縄間の心の距離
〜なぜ静岡なのか問題〜そうなってくると、なぜ大阪でもなく、愛知でもなく、距離の離れた静岡で支持されているのかがとても気になる。
Q3:なぜ静岡はシェアが高いのか? A:静岡県民はカップ麺に馴染みがあり、かつ参入しやすい地域だったから 漆川さんいわく、静岡には『マルちゃん』でお馴染みの東洋水産の工場があり、静岡県民は日常的にカップ麺を食べる習慣が元々あったため、金ちゃんヌードルも受け入れられやすかったのではないかとのこと。 また、大阪には日清食品、エースコックなど大手の同業者が既に腰を据えていたため、参入がしづらかったそうだ。 このような理由があって、静岡がマッチしたらしい(わたしも、金ちゃんヌードルが静岡に来てくれて嬉しい) 静岡より東に住んでいる人も、あきらめないで!!なぞは解けた。これで心おきなく金ちゃんヌードルを楽しむことができる。
はっ、待てよ。 この記事を読んでくれている静岡より東に住んでいる読者は、「紹介するだけしておいて、西日本じゃないと食べられないとは何事じゃゴルァ!!」と怒っているに違いない。 す、すみません!!! 漆川さんに金ちゃんヌードルが売られていない地域でも入手する方法を聞いておいたので、最後にご紹介しよう。 徳島製粉製商品公認販売特約店『(株)犬伏商店・A*WA*N』さん オンラインショップ ここで、今日ご紹介した金ちゃんヌードル他、徳島製粉さんの商品を購入することができる。 ケースで販売しているので、仲間と分け合うか、わたしのように1人で楽しんでほしい。 金ちゃんシリーズには『NEO金ちゃん焼そば復刻版』という焼そばもある
左上に目立つ“NEO”の文字
なぜ“NEO”なのだろう…
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