働き方が広がる!今知っておきたい在宅勤務(テレワーク)

2016年03月2日

    

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在宅勤務のススメ

今や多くの家庭にパソコンがあり、高速インターネット回線が導入されています。インターネット環境の進化で生まれた「在宅勤務(テレワーク)」という働き方は、米国では50%近くの企業が導入していると言われています。そんな中、日本の企業でも「在宅勤務(テレワーク)」を新しい働き方として導入する、または導入を検討する企業が増えています。

しかし実際のところは、在宅勤務(テレワーク)の導入に二の足を踏んでいる企業や、導入はしたもののうまくいっていないという企業も多いのではないでしょうか?

在宅勤務(テレワーク)のメリットやデメリットが顕在化してきた今、改めてそのメリット・デメリット、そして失敗しないための導入の手順について説明していきます。

在宅勤務を導入する前に!労務部が考えるべきメリットとデメリット

すでに在宅勤務(テレワーク)を導入している企業の状況を参考に、代表的なメリットとデメリットを紹介します。

メリット

①通勤の時間短縮と、通勤ラッシュなどのストレスから解放

時間を有効活用できたり、従業員の健康を保てるといったメリットがあります。

②出勤が困難な場合にもキャリアを生かして仕事ができる

産休・育休・障害者・介護従事者など、出勤が困難な状況でも自宅で仕事ができるということで、家庭とキャリアの両立を図れることが大きなメリットとして考えられています。

デメリット

①出社せずに仕事をするという環境

社内の第三者の目が届かないため、勤務時間の管理や勤怠などの管理が難しくなります。すでに在宅勤務(テレワーク)を導入している企業の多くは、業務開始と終了を申告し基本的には業務時間の超過は認めないとして時間管理をしていることが多いようです。

社員の働き方が大きく変化するわけですから、企業側としては就業規則や雇用契約など、雇用に関する様々な会社のルールの整備が必要になります。これは企業にとってはそう簡単なことではないでしょう。

②自宅で1人で業務することの「孤独感」

Web会議システムやチャット、社内SNSが発達してきた現在、業務についてのコミュニケーションをとることはできますが、朝の挨拶や、ちょっとした立ち話程度の会話、就業時の「お疲れ様でした」など、実際に会ってかわすコミュニケーションがなくなります。しかし、実はそういったコミュニケーションがメンタルヘルスにはとても重要だと考えられています。

労務部門では新たに整備される就業規則や雇用契約について、きちんと対応できるように体制を整えることも大切ですが、在宅勤務(テレワーク)で働く社員のモチベーションの維持など精神面での対応についても考える必要がありそうです。

在宅勤務(テレワーク)導入!失敗しないためのポイント

それでは、メリットとデメリットを理解した上で、在宅勤務(テレワーク)の導入にあたっての手順を紹介していきます。デメリットで挙がった企業側の体制の整備と運用、従業員のメンタルヘルスなどの課題も、この手順を踏むことで解決につながります。

導入のプロセスは大きく分けて5段階です。

1、経営判断に基づく導入計画
2、現状把握
3、導入に向けてのプロジェクト立ち上げ
4、トライアル導入と効果測定
5、本格導入

1、経営判断に基づいた導入計画

トップマネジメント(経営陣)により、経営判断の中で、在宅勤務(テレワーク)を導入する「目的」を明確にすることから始めます。その目的が明確になることで、どういった形態で実施するのが良いかも明確になります。

企業に新しい働き方が導入されるということは、今まで考えられてきた「社内のあたりまえ」が、そうでなくなることもあるのですから、まずはトップマネジメントが目的を明確にし、導入を決定することが必要です。実際の現場管理を担当するミドルマネジメント(部門長・課長)が理解し、協力して行動できるようにするためには重要なことなのです。

簡単にいえば、トップを押さえておくことで、制度の改正やルールの変更もしやすくなるというわけです。

2、現状把握

ミドルマネジメントの役割として、トップマネジメントが決定した在宅勤務(テレワーク)の導入に向けた、制度や業務フローなどの仕組みについての現状把握を実施します。改正が必要な規則はあるのか、評価制度は現状で運用できるのかなど、以下の項目を参考にを確認する項目を設定しましょう。

  • 制度(就業管理、人事評価)
  • ICT環境
  • 各業務フローの確認
  • 労務、福利厚生
  • 現状の把握から、実施するために何を準備し、改定し、社内での体制をどのように整えるかを計画します。

    3、導入に向けてプロジェクトチームの発足

    いよいよ、トップマネジメント、ミドルマネジメントからの権限移譲を受け、プロジェクトチームによる具体的な導入計画の策定から社内の調整を行う段階に入ります。

    プロジェクトチームを構成するメンバーはできるだけ広範囲な関係者で構成しましょう。社内の協力を得なければいけないことが多く出てくるので、そのためにも広範囲の関係者でプロジェクトチームを立ち上げる必要があります。以下はその例です。

  • 労務部門
  • 人事部門
  • 総務・管財部門
  • 情報システム部門(情報セキュリティ)
  • 導入する部門のマネージャーやリーダー(オフィスワーカーの代表)
  • プロジェクトチームは導入にあたっての基本戦略、導入計画の策定、計画の実行管理を行います。そして、在宅勤務(テレワーク)にあった社内制度の作成や社内情報通信システムの整備、また教育・研修も実施します。このとき、社内での理解が十分に得られるように配慮しなければいけません。

    モチベーション管理に必要なこともこの段階である程度は想定が可能です。計画を進める段階でそのことを加味したうえで全体的な計画を進めることができ、必要な対応も事前に準備ができます。

    4、トライアル導入と効果測定

    トライアル期間は、半年から1年程度が適当だと考えられています。チェック項目を設定し、効果測定の項目について調査します。そして、この結果を基に在宅勤務(テレワーク)導入が当初(トップマネジメントが決めた)の目的に沿っているかなども含めて検証し、本格稼働に向けて課題の解決、検討を行い本格導入へと段階を進めます。ここでは、デメリットとして挙がっていたコミュニケーションの方法についても考えることができます。

    管理をする側、在宅勤務で働く側、どちらの課題にもこの段階で顕在化し解決策をたてることができるはずです。

    5、本格導入

    導入の目的や期待する効果が出るような仕組みの構築と制度の調整できたら、在宅勤務(テレワーク)の本格導入です。重要なのは、本格導入後にも目的が果たされているか、導入後に新たな問題点がないか、改善すべき点はないか、など定期的に状況を把握し課題を解決することです。

    在宅勤務(テレワーク)の導入を成功させるポイントは上記手順からもわかるように、進行をボトムアップではなく、トップダウンで進めるというところにあります。

    まとめ

    日本では、2020年までに在宅勤務(テレワーク)の導入企業が現在の3倍になると言われています。政府も在宅勤務(テレワーク)を推進し助成金の支援制度なども整備していることもあって、導入企業は今後増加することが見込まれます。

    今回紹介した導入の手順は、短期間で簡単に進められるものではありません。在宅勤務(テレワーク)はただ導入することが目的ではなく、「新しい働き方」として企業にとっても働く人たちとっても有益であることが目的なのです。

    そして、あなたの会社が在宅勤務(テレワーク)を導入するということは、社会的な就労環境に影響し、環境問題や、ひいては企業にとってCSRやBCP(事業継続計画)など多方面において効果を発揮することにつながります。今回紹介した導入の手順が、在宅勤務(テレワーク)の導入の検討している企業の担当者の方、またすでに導入していて課題があるという企業の担当者の方のお役にたてればと思います。

    次回、「働き方が広がる! 在宅勤務(テレワーク)の知っておきたいメリットとデメリット【労務編】」で、労務部で担当する社内ルールを中心にまとめてみたいと思います。

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