<今回の目次>
- 美容師との会話から生まれた人物メモ術
- なぜ、私達は人物メモを取らないといけないのか?
- 人物メモを取るとどういう効果があるのか?
- Toricago式 人物メモ術
- ファイルの管理方法
- 状況別ケーススタディ
- 注意点
- 終わりに
美容師との会話から生まれた人物メモ術
今日は、髪を切る日だ。最近、家の近くにできた新しい美容院。今回で3回目だ。入店すると、いつも切ってもらっている爽やか美容師が登場し、席に案内してくれる。カットが始まり、雑談も始まる。
- 「今日はすごい晴れててイイですね〜!」うんうん、いいですねぇ。
- 「先日の長期休みはどこか行かれたんですか?」そうそう、その話を自慢したかったんだよねぇ!
- 「会社はどちらにあるんですか?」えっと、それはどこどこですね。でも前も話したような。
- 「どういう業界なんですか?」おお、これは前も聞かれたぞ。
- 「やっぱり忙しいですかね?」おお、この流れはまったく同じだ。
別に美容師は何も悪くないのだが、お客様意識が肥大化した私の中に、「なぜお客さんとの会話情報をメモしておかないのだろうか?」と疑問が浮かんでしまった。しかも、美容室であれば1ヶ月に一回未満しかお客さんと会わないので、会話をメモしておかないと、ほとんど忘れてしまうのではないか。それが映画『君の名は。』の教訓じゃないのか。それとも観ていないのか。
多くの美容師は「どういうカットをしたか」という情報はさすがにメモを残しているようだが、それのついでに会話の情報もメモすれば、さらにコミュニケーションの質が高まるのではないか。
ちょっと待てよ。美容師に限らず、これは自分の人生でも使えるテクニックなのではないか?ふとそう思ったので、散髪が終了してから、担当美容師との会話情報のメモを書いた。その日以降、色々な人との会話をメモし続けたが、予想どおり、コミュニケーション上、かなりの効果を実感してきた。たぶん、2年近く人物メモを取り続けてきたので、ここで人物メモ術のノウハウをまとめておきたい。
なぜ、私達は人物メモを取らないといけないのか?
私達は、周りの人たちと無数の会話をしている。しかし、重要なポイントはちゃんと覚えておかないとコミュニケーションに支障をきたす。流石に名前を何度も聞くという失態を犯す人はいないと思うが、「どこに住んでいるのか?」「子供は何人いるのか?」などの属性情報を何度も聞いてしまうことはよくある。また、そういうことを何度も聞くのは失礼なので、聞き返せないようなシチュエーションに追い込まれることもある。そうなると、特定の会話は避けないといけなくなり、会話への制約条件となってしまう。
恐らくコミュニケーションが得意な人は無意識に重要ポイントを記憶しているのだろうが、コミュ力が低い人や記憶力が低い人にとっては、意識的に重要ポイントを残す努力をしなければならない。私はどちらも低いので、この方法を取るようになって、随分と快適になった。
人物メモを取るとどういう効果があるのか?
人物メモを取っているときは、「こんな当たり前なことをわざわざメモしていて意味ないかもな」と思いながらメモを残してきた。しかし1ヶ月後に見直すと、ほとんど忘れていることに驚く。会話した直後には当たり前でも、少し経てば必ず忘れる。しかも、かなり重要な情報であっても、だ。
映画『君の名は。』で瀧くんが三葉の残した日記を読むような感覚に襲われる。「そんなことがあったっけ?」となるので面白いぐらいだ。
Toricago式 人物メモ術
それでは、具体的な人物メモの書き方を見ていこう。
メモを取る内容
メモの内容は、基本的にはなんでも書く。その人と会話したことで覚えていることはとりあえず書いてみる。特に重要なのが基本属性情報で、住んでいる最寄り駅、年齢、子供が何人いて何歳か、好きなものや嫌いなもの、趣味、学生時代の部活動などのことである。これらは今後のコミュニケーション上、外せないものになるので即メモを残そう。
メモを取るタイミング
初めて会った人との初回メモは、会った日の夜に必ず行う。初日の会話は、属性情報を探り合う会話になりやすいからだ。即、メモに残しておかないと復元できなくなるリスクがあるので、ここだけは気合いを入れる。そうしなければ、すべて忘てしまう。初回メモは5分以上はかけない。手が止まれば終了。
逆に、2回目以降に会った場合は、その日には書かない。金曜日や土曜日の夜にまとめてささっと書くようにしている。ここで一週間の会話を色々と思い出しながら書くが、これも5分程度で終わる。つまり、「人物メモ」と大袈裟に紹介しているが、時間の負担は週に5分+アルファというところであるので、気軽に試してみてほしい。
なぜ2回目以降は週末にまとめて書くのか?実は最初の半年ぐらいは毎日メモを記録していたのだが、そうするとあまりに些細なことが形に残ってしまう。本人すら忘れているようなことまで覚えていたりして、「なんだコイツ!すごすぎる!」という目で見られて困ったことになる。そこで、1週間に一回のメモに切り替えたのだが、雑音(その日食べたランチのメニューなど)は忘れて、重要なことだけが残るので、ちょうど良い。
誰のメモを書くのか?
すでに営業職であれば、お客様のメモを残している人も多いかもしれない。しかしToricago式のメモでは、すべての人に対するメモを取ることを勧めている。同僚、部下、上司、業者、学生時代の友達、セミナーで初めて会った人など、区別せずにとにかくメモを残すようにしている。
もしかしたら、もう会うことはないと思う人でも、思いがけずに何らかのイベント等で再会したり、仕事で繋がることがある。こういうときにも人物メモをさっとスマホで見返すだけで情報がわかるので、重宝する。
ちなみに、尊敬する上司や先輩の人物メモは、かなり力を入れて書いている。なぜなら、様々なライフハックが隠れていて、色々と勉強になるからだ。
ファイルの管理方法
このブログでは『ゼロ秒思考』という本の、紙のA4メモ書きの方法をベースとしたメモ術をいくつか紹介してきたのだが、人物メモに限って言えば、DropboxのようにITでの管理をお勧めする。そうすれば、普段会わないメンバーとのミーティングの前や、落としたい異性とのデートの10分前などのタイミングで、さっとスマホで見直すことができる。Dropboxだとスマホ版アプリもあるので便利。
ファイル階層
ファイル階層は、Dropboxの直下に「人物メモ」フォルダを作成し、その下にはコミュニティ別(高校、大学、会社など)のフォルダを作る。その下は必要に応じてさらに部署やクラスなどのフォルダを作成する。具体例としては、こんな感じ。
- 人物メモフォルダ
- 小学時代
- 中学時代
- 中学
- 塾
- 高校時代
- 高校
- 予備校
- 大学
- ゼミ
- サークル
- アルバイト
- 会社1(新卒入社)
- 部署名
- 顧客
- 会社2(転職後)
- 部署名
- 顧客
- その他
- 飲み友達
- クラブ友達
(あくまで具体例であって、私はクラブには行かないし、顧客情報をどこまで自分のスマホで管理できるかは各会社のコンプライアンスにも依存する。各自、カスタマイズしてほしい。)
状況別ケーススタディ
次に、状況別に掘り下げていこう。3つのケースを紹介する。
ケーススタディ①:学生時代の友達との例
一年に1〜2回しか会わない昔の友達の情報を、会う前にさっと読む。その人がどこの会社に勤めているかということは覚えていても、どこの部署で何年目になり、どんな業務内容を担当していて、部下が何人いてどういう上司がいて、なぜ転職したいと悩んでいるのか、ということは綺麗サッパリ忘れてしまっている。
これを読まなかった場合は、飲み会の最初の30分はお互いの基本情報を聞き合う、ということになるのだが、それが丸々スキップできるし、半年前の飲み会の会話内容を踏まえた深い話ができるようになる。
ケーススタディ②:異性とのデートの例
異性とのデートでも、もちろん応用可能だ。私達は基本的には自分のことで精一杯なので、他人にそんなに興味がない。逆に、他人は自分にそんなに興味がない。そんな状況の中で重要ポイントをしっかりと覚えていると喜んでもらいやすい。コミュニケーションが円滑になる。後ろめたさを感じる人もいるかもしれないが、事実、相手に好意を持っているからこそデートをしているのであって、だからこそメモを残しているのだ。「人間心理をハックする」というようなブラックな話をしているのではない。
ただし、「覚えているぜ!」というアピール・自慢はしないことが重要だ。記憶力詐称が目的ではないので、覚えていることを前提として話を進めるぐらいがちょうど良い。ということで、Good Luck!!
ケーススタディ③:異動・転職した直後の例
異動、転職、入社、入学。新しいコミュニティに飛び込んだ時は、メモに少し多めの時間を割く必要がある。色んな人の情報が一日にたくさんインプットされてくる。帰りの電車などのスキマ時間をどんどん活用していこう。極端な話、日中に、トイレの個室でもメモを残していかないと、書ききれないぐらいのはずだ。(人前で人物メモを書くと、若干、怪しい目で見られるので避けるべきだ。)
注意点
ネットストーキングは一切しない
人物メモを一生懸命書いている話をしてきたので、きっとToricagoはネットストーキングもしているのだろう、と思われるかもしれないが、一切しないようにしている。ネットストーキングとは、その人の名前をググって、ネット上の個人情報等を収集することである。
人物メモはその人との会話をメモするだけであり、その人が自分に公表しても良いと判断した内容だけが含まれることになる。後ろめたいことは何もしていない。
ネットストーキングをしてしまうと、会話をする中で、ネット上で知った情報を相手が話してくれたときに、「そ、そうだったんですね〜!」と反応を演技しないといけなくなる。もちろん「あ、ネットでその話見ました〜!」と正直に告白しても良いが、業界でのちょっとした有名人でない限り、気味が悪いと思われるリスクがある。こういうことを色々考えるのが面倒なので、私は一切ネットストーキングをしないようにしている。
終わりに
今回の記事では、あらゆる人間関係に応用可能な人物メモ術を紹介してみた。私はこの手法を2年近く実施しているが、記憶力の低さ、コミュ力の低さを多少カバーしてくれるようになり助かっている。しかも、週に5分行うだけで、最強の人物ノートが出来上がるので、コスパは非常に良いと思っている。
やってみる前は、「メモを残すまでもない」と思うかもしれないが、試しにやってみると、自分が日常のほとんどを忘れてしまっていることに気づく。興味を持った人は是非、土曜日に5分だけ、ちょろっとやってみてはいかが?