「腹立つこと言われた」逮捕の容疑者供述
同期入社、同じ寮7階に 広島南署が強盗殺人容疑で逮捕
広島市南区の自動車メーカー「マツダ」の社員寮で社員の菅野恭平さん(19)が殺害された事件で、広島県警広島南署の捜査本部は24日未明、同じ寮に住む同社社員、上川傑(すぐる)容疑者(20)を強盗殺人の疑いで逮捕した。「間違いありません」と容疑を認めているという。菅野さんに腹が立つことを言われたと供述しており、捜査本部が詳しい動機を追及している。
逮捕容疑は今月14日午後3時35分ごろ、寮2階の非常階段で、菅野さんの頭部を消火器や素手で殴るなどして殺害し、菅野さんが持っていた現金約120万円と携帯電話を奪ったとしている。
捜査本部によると、同日午後2〜3時ごろ、寮近くで菅野さんが上川容疑者の車から降り、コンビニエンスストアの現金自動受払機(ATM)に向かう姿が防犯カメラに映っていた。上川容疑者は事件後も通常通り勤務していた。捜査本部が23日朝から任意で事情を聴いたところ、菅野さんを殺害して現金や携帯電話を奪ったことを認めた。
上川容疑者は、菅野さんの携帯電話を現場付近で捨てたと供述しているが、現金とともに見つかっていない。
上川容疑者は菅野さんと同期入社で、いずれも同じ寮建物の7階に住んでいた。勤務する部署は異なるが、事件当日は2人とも夜勤明けだった。菅野さんはこの日、ATMや金融機関など少なくとも3カ所で計約120万円を自分の口座から引き出していた。
捜査本部は、菅野さんが上川容疑者の車でATMなどに行き、寮に戻った後に殺害されたとみている。事件に使われたとされる消火器は寮内の備え付けの場所で見つかり、血痕や傷が残っていた。
菅野さんは14日午後4時15分ごろ、2階の非常階段踊り場で頭から血を流して倒れているのを発見された。
知人らによると、菅野さんは岡山県、上川容疑者は愛媛県の出身とみられる。【東久保逸夫、寺岡俊】