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水門開いたまま 冠水の一因か検証へ 岩手

台風10号の洪水時、開いたままになっていた旧山口川(手前)の第3号水門。堤防の後ろ側を流れる閉伊川から大量の濁流が流れ込んだという=岩手県宮古市築地で

 8月30日の台風10号の豪雨で岩手県宮古市の市街地が冠水した時、氾濫した閉伊川と支流の旧山口川が合流する所にある第3号水門が開いたままになっていたことが分かった。開いた状態での水門の流量や周辺で冠水した原因との関係は分かっていないが、市は水門の開放が適切だったのか検証する方針だ。

     旧山口川は、山口川から分かれて途中から地下水路を流れ、閉伊川に注ぐ築地地区の第3号水門の直前で再び姿を見せる。水門は閉伊川左岸の堤防にあり、幅が約5メートル、高さが約1・5メートルの鉄製。レバーを引けば、自重で落下し川をふさぐ。旧山口川を含めて山口川を管理する県が宮古市を通じて、近くに屯所のある消防団の1分団に操作を委託している。

     宮古消防署によると、30日午後2時半ごろに市建設課からの連絡を受けて「(閉伊川沿いの堤防壁にある陸上の)門扉を閉めて」と各消防団に伝達した際、1分団から「水門はどうしましょうか」と指示を求められた。同課に確認すると「閉鎖の必要があれば(県から)連絡がくるが、今のところない。連絡が来たのは門扉の閉鎖だけだ」という回答だった。

     しかし、夕方になって辺りが増水したため、団員が水門の様子を見に向かおうとしたが、付近の水位が上がって水門に近寄ることができなかった。水門は洪水時、普段と同じ約50センチ開いたままになっていたという。

     一方、旧山口川が山口川から分岐する地点に設置された水門は市下水道局が管理しており、30日午前9時前までに閉鎖。旧山口川に流れないようにしたものの、大量の雨水が流れ込んだ。

     第3号水門付近の住民の一人は「危なくて水門には近づけなかった。閉伊川の水位が急上昇したので、水門があれぐらい開いていれば大量の閉伊川の水が流入したのは間違いない。閉めてほしかった」と肩を落とした。

     県宮古土木センター河川港湾課の佐藤秀和課長は「門扉については、人や車の安全を考えて、早めに閉鎖の指示を出した。第3号水門は、雨量や閉伊川の状態がどうなるのか分からなかったので、特に指示はしなかった」と説明する。

     市危機管理課の山本克明課長は「閉めておけばよかったのか、開けた方がよかったのか、現段階では判断できない。開閉指示の伝達は、課が直接関与する事務ではないが、総合的な検証が必要だ」と話している。【鬼山親芳】

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