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政活費不正、ずさん請求満載

政務活動費の不正受給を防ぐため、各派からさまざまな意見が出た=富山市議会で2016年9月14日午後1時57分、古川宗撮影

 政務活動費の不正請求が相次いで発覚している富山市議会(定数40)の収支報告書などには、市議同士でコピー・アンド・ペースト(コピペ)したとみられる市政報告会の報告書や、すし店にウーロン茶を大量発注したとする領収書など、不可解なものが数多くあることが毎日新聞の情報公開請求で分かった。市議会内には「領収書を改ざんされたら、チェックのしようがない」との声があるが、一見しただけで疑わしいものや常識外れのものも多く、チェックする意識がそもそも市議会にあったのかも問われる。

 「来年は市町村合併から10年の区切りの年。初心を忘れず『中山間地の元気と活力の維持』に努力したい」

 ある市議が2014年6月に市政懇談会を開いたとする報告書の一節だ。だが同じ会派の別の市議が同年7月に開いたとする市政報告会の報告書にもほぼ同じ文章が並び、箇条書きの一部を除いて1000字超が同一だった。市議の一人は「なぜ同じになったのか分からない」と話した。

 また、不正を認めて辞職した元市議は、同年6月8日に同じ会館で午後3時と同4時に市政報告会を開いたとする報告書をそれぞれ提出。1回目は65人、2回目は138人が参加したとして人数分の茶菓子代を請求しており、なぜ2回に分けて請求したのか明らかにされていない。

 「但(ただし) ウーロン茶267本(茶菓子含(ふくむ))」。ある市議が昨年3月に開いたとする市政報告会では、すし店に茶菓子と1本150円のお茶を注文し、計9万3500円を支払ったことになっていた。このすし店の男性店長は取材に「市議が地元の店をなるべく利用しようとしてくれたのでは。ペットボトル入りのお茶は別の店から購入して納めた」と話した。

 別の市議が提出した市政報告書では、1人のアルバイトが1日5時間の広報紙の封筒入れ作業を5日間続けて8000枚を処理していたが、1枚の処理に10秒かかる作業を休まず続けた計算だった。この市議は「封筒詰めが早く終わったのは、頼んだ人の家族が手伝ったからでは」と説明した。

 ある会派が14年6月に1泊2日の日程で東大阪市の北陸新幹線の車両製造会社と大阪市役所を回ったとされる視察では、日程に余裕があって移動は電車と徒歩で可能なのに、18件のタクシー代請求があり計3万470円が支払われていた。参加した市議の一人は「どういう理由でタクシーを利用したか覚えていない」と話した。

 久世浩・富山市議会事務局長は「領収書で不正をするなんて、多くの人に選ばれた議員がするとは思わなかった」とチェックの限界を語るが、常識でおかしいと判断できる領収書や報告書が多く含まれていた。【石川貴教、竹田迅岐、阿部弘賢】

富山市議会の政務活動費を巡る不可解な例

・2人の議員のそれぞれの市政報告書の内容がほぼ同じ

・同じ日に同じ場所で市政報告会を1時間差で2回開催

・アルバイト1人が1枚約10秒で、広報紙を8000枚封筒詰め

・日程に余裕があり、電車と徒歩で移動可能な視察でタクシー代を計上

・ウーロン茶267本をすし店に発注

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