最新記事

フィリピン

ドゥテルテ、「片頭痛」でオバマとの最後の会談を欠席

Philippine President Missed Summit Meeting Due to Post-Bombing Migraine

2016年9月9日(金)17時00分
シボーン・オグレイディ

珍しくスーツ姿のドゥテルテ・フィリピン大統領(ASEAN首脳会議) Soe Zeya Tun-REUTERS

<ドゥテルテの暴言でキャンセルされたアメリカとの首脳会談ばかりか、オバマとASEAN首脳との会議も欠席。中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海という大きな課題は放置されたままになった>

 ご存じ、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領。6月の就任時から麻薬犯罪の一掃を掲げ、裁判もなく多数の容疑者の殺害を容認したとして国際社会から厳しい批判を浴びてきたが、今週ラオスの首都ビエンチャンで開催されたASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議での外交デビューも不運なものだった。

 バラク・オバマ米大統領に人権侵害を指摘されたドゥテルテは、「くそ野郎」と外交上あり得ない言葉でオバマを侮辱、6日に予定されていた首脳会談はキャンセルされてしまった。

爆弾テロによる片頭痛?

 それだけではない。8日に行われた米・ASEAN首脳会議も欠席した。中国と対立している南シナ海の領有権問題を直接オバマと話し合える最後の機会で、重要な会議だったにも関わらず、だ。

【参考記事】逃げ切るのか、中国――カギはフィリピン、そしてアメリカ?

 それも欠席の理由は「片頭痛」。休日をとるはずだった土曜日に休むことができず、疲れがたまっていたという。

「いつもというわけではないが、大統領は激務が続いて疲労が蓄積すると頭痛になることがある」とフィリピン政府の報道官は弁明した。「ラオス入りの直前に国内で大規模な爆弾テロが起きたため、普段なら休日にしている土曜日も休めなかった」

 ドゥテルテがミンダナオ島の地元ダバオ市を訪問したタイミングを狙ったかのように、市中心部で2日夜に発生した爆弾テロのことだ。

【参考記事】アブサヤフのテロに激怒、ドゥテルテ大統領がまた殺害容認か

 幸い、7日の夜に参加各国の首脳を招いて催された夕食会の直前に、オバマとドゥテルテは握手を交わすチャンスがあったという。2分間ほどの会話もあり「二人のやり取りは和やかだった」と、代表取材をしていたアメリカ人記者は言う。

 ドゥテルテが相次いで会議を欠席した理由には、娘の流産も影響したとする報道について、フィリピン政府の報道官は否定も肯定もしなかった。

From Foreign Policy Magazine

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、イラク戦争には「ずっと反対だった」と発

ビジネス

日銀、中短期金利重視の緩和強化検討へ 具体策も議論

ビジネス

独BMW、日本で約10.9万台リコール タカタ製エ

ワールド

北朝鮮が5回目の核実験、過去最大規模か 各国が強く

MAGAZINE

特集:中国経済 進化する企業と停滞する国家

2016-9・13号(9/ 6発売)

一党独裁国家が統制するガラパゴス経済で独自の成長を遂げてきた中国企業に国際競争力はあるか

人気ランキング

  • 1

    イスラム女性に襲われISISがブルカを禁止する皮肉

  • 2

    金正恩の「粛清の嵐」はガセネタか?

  • 3

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 4

    自分が大統領にならなければイスラエルは破壊される──トランプ

  • 5

    北朝鮮の実験のたびに無力化する米ミサイル防衛

  • 6

    ドゥテルテ大統領下のフィリピン麻薬戦争、死者の山に口閉ざす人々

  • 7

    タイはもはや安住の地ではない──中国工作員に怯える中国政治難民

  • 8

    【南スーダン】自衛隊はPKOの任務激化に対応を――伊勢崎賢治・東京外国語大学教授に聞く

  • 9

    改めて今、福原愛が中国人に愛されている理由を分析する

  • 10

    フィリピン、ASEAN国際会議直前に中国船の南シナ海航行写真公開

  • 1

    「スタバやアマゾンはソーセージ屋台1軒より納税額が少ない」オーストリア首相が猛批判

  • 2

    イスラム女性に襲われISISがブルカを禁止する皮肉

  • 3

    オバマ大統領、侮辱発言をした比ドゥテルテ大統領との会談中止

  • 4

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 5

    理系人材が育たない日本の硬直した科学教育

  • 6

    タイはもはや安住の地ではない──中国工作員に怯える中国政治難民

  • 7

    ドゥテルテ大統領下のフィリピン麻薬戦争、死者の山に口閉ざす人々

  • 8

    改めて今、福原愛が中国人に愛されている理由を分析する

  • 9

    パラリンピックもいいけれど実用的な障がいアシストを競う「サイバスロン」にも注目せよ!

  • 10

    インドはなぜ五輪で勝てない?

  • 1

    金正恩「公式行事での姿勢が悪い」と副首相を処刑

  • 2

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 3

    中国衝撃、尖閣漁船衝突

  • 4

    中国で性奴隷にされる脱北女性

  • 5

    改めて今、福原愛が中国人に愛されている理由を分析する

  • 6

    海保の精神は「正義仁愛」――タジタジの中国政府

  • 7

    フィリピンのドゥテルテ大統領が国連脱退・中国と新国際組織結成を示唆

  • 8

    「お母さんがねたので死にます」と自殺した子の母と闘った教師たち

  • 9

    イチロー3000本安打がアメリカで絶賛される理由

  • 10

    「スタバやアマゾンはソーセージ屋台1軒より納税額が少ない」オーストリア首相が猛批判

 日本再発見 「東京のワンテーマ・ミュージアム」
アンケート調査
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

0歳からの教育 育児編

絶賛発売中!

コラム

パックン(パトリック・ハーラン)

芸人も真っ青? 冗談だらけのトランプ劇場

小幡 績

日銀は死んだ

STORIES ARCHIVE

  • 2016年9月
  • 2016年8月
  • 2016年7月
  • 2016年6月
  • 2016年5月
  • 2016年4月