フランス軍は潜在的な脅威のリストに、思いも寄らない候補を加えた。それは「ポケモンGO」だ。

  任天堂のモバイルゲーム「ポケモンGO」に登場するバーチャルモンスターは軍基地への侵入を招き、国家安全保障を脅かす恐れがあると、フランス国防省が内部メモで指摘した。仏軍は同ゲームを禁止している。スタッフが知らないうちに位置情報や写真などの極秘データを共有することを防ぐためだ。

仏リールの軍区域
仏リールの軍区域
Photographer: Philippe Huguen/AFP via Getty Images

  同省のバレリー・ルカブル報道官は電話取材に対し、「国防はゲームではない」と指摘。「フランスの国防上極めて重大な場所や優先施設へのいかなる形の不適切なアクセスも決して許すわけにはいかない」と述べた。

  フランス部門を持つ防衛関連企業も追随している。今夏に従業員がポケモンGOをプレーしているのが見つかった航空機メーカーのエアバス・グループは、写真や動画撮影の禁止についてあらためて社内で注意を促したほか、人や情報、施設に及ぼす安全保障上のリスクを強調した。仏サフランもポケモンGOを禁止している。

  調査会社アプトピアによると、任天堂の持ち分法適用会社のポケモンとナイアンティックが制作したポケモンGOは7月の配信開始以来、世界的な社会現象となり、日次ユーザー数はピーク時に4500万人近くに達した。ユーザー数データや同ゲームをめぐるソフトバンク・グループなどとの提携を背景に、任天堂の株価は上変動した。

  フランス軍でこれまで事件は報告されていないものの、軍当局はポケモンGO絡みの潜在的な危険を回避するために、従業員が仕事中にゲームをしないよう呼び掛けたり、ポケモン捕獲のために外部の人間が軍の敷地に接近するのを阻止するため警戒を強めるなどの対策を講じていると、ルカブル報道官は語った。

  ナイアンティックの担当者にコメントを求めたが、これまで返答はない。

原題:Pokemon Go on Army’s Radar Prompts French Anti-Intrusion Tactics(抜粋)

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