ゲーム機でのライバルである任天堂が拡張現実(AR)ゲーム「ポケモンGO」で大ヒットを飛ばすのを傍観してきたソニーが、モバイルゲームに攻め込む意思を表明した。
■平井社長、ライバルを称賛
「モバイルゲームは我々が積極的に攻め入っているものだ」。ソニーの平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)は、ベルリンで開催中の家電見本市「IFA2016」で本紙(フィナンシャル・タイムズ紙)にこう語った。「コンソール型のゲーム機だけをベースにしたビジネスから、携帯電話のゲームも手掛けるようになることは、かなりの変化だ」。
さらに、ポケモンGOは「ゲームチェンジャー」だったと付け加え、「文字通り、人々の動き方を大きく変える可能性を秘めているという事実に興味を持っている」と語った。
ポケモンGOのプレーヤーは、スマートフォン(スマホ)画面上で、現実世界に重ねて表示されたアニメキャラクターが見える。平井氏は、ソニーのゲームにもそうしたAR機能を追加したいと述べ、これは「ゲーム業界にとって、すべての船を押し上げる画期的な素晴らしいアイデア」だったと語った。
任天堂の意外なヒットにもかかわらず、ゲーム機で競い合う日本企業2社はモバイルのパーティーに参加するのが遅かった。
「ソニーと任天堂は独自のプラットフォームを持っており、支配権を維持し、自社プラットフォームからできるだけ多くの利益を稼ぎたいと考えている」。英情報会社IHSマークイットのゲームアナリスト、スティーブ・ベイリー氏はこう話す。「だが、業界の景色は大きく変わった。モバイルがもたらす脅威は極めて大きく、もう無視することはできない」。
任天堂は今年3月、同社初のスマホアプリ「Miitomo(ミートモ)」の配信を始めた。