米大統領報道官「根本的に不公正」
アップルCEO「法的根拠がない」と徹底抗戦の構え
【ワシントン清水憲司】欧州連合(EU)の執行機関にあたる欧州委員会が米アップルに最大130億ユーロ(約1兆4866億円)の追徴課税を行うようアイルランド政府に命じたことに対し、米国のアーネスト大統領報道官は30日、「米国の納税者からEUに税収を移転させることになる。我々の懸念の最重要点だ」と述べ、反発した。米政府も米企業の海外収益に対する課税強化を狙っており、各国間で税収を奪い合う構図が浮き彫りになった。
アーネスト氏は記者会見で、米政府とEUが企業による課税逃れ防止策で協力関係にあると指摘したうえで、「(今回の命令のような)一方的な手法は根本的に不公正だ。EUが(課税逃れに)懸念があるなら米政府と協議すべきだ」と不満を表明した。
アップルも30日、クック最高経営責任者(CEO)が声明を出し、「命令には法的根拠がない」「欧州委員会の論理だと、アイルランドや欧州に所在する企業は突然、課税されるリスクにさらされることになる」とし、徹底抗戦する構えを見せた。「(欧州委員会の命令は)アップルがいくら納税したかではなく、どの国が税を集めるかの問題だ」とも指摘した。