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市場移転問題 記者会見での主な発言

築地市場の豊洲移転延期を発表する東京都の小池百合子知事=東京都庁で2016年8月31日午後1時37分、宮間俊樹撮影

 小池百合子東京都知事は31日、記者会見を開き、11月7日に予定されている東京都中央卸売市場築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転開場を当面延期する方針を発表した。小池知事の主な発言は次の通り。【錦織祐一/デジタル報道センター】

築地場内市場の閉鎖も延期する

 移転については延期します。11月2日に予定されております築地場内市場の閉鎖、解体工事も延期とさせていただきます。

 私はかねて「都民ファースト」と繰り返し述べています。都民、市場で働く皆さんにとってこの移転が本当に納得いくものであるのかどうかと考えたからです。移転につきましては「もう時間がない」「規定路線を走るしかない」「何を今さら立ち止まって考えるんだ」などという強いご意見があることも重々承知しております。

 確かに豊洲新市場は建設済みです。土壌汚染対策も行ってまいりました。都議会の皆さんも業界団体の皆さんも移転は了承してこられました。また、11月7日に移転が行われないと環状2号線が2020年の五輪に間に合わないとも言われております。移転の準備をしている業者の方々に「延期をすると混乱する」という意見があることは事実です。

 しかしながら、小池都政におきましては「規定路線」「一度決めたんだから、造ってしまったんだから何も考えなくてよい」という考え方は採りません。これまでの決定で「都民ファースト」に基づいていないものについては、都民の目線で情報公開をして経緯を明らかにし、時には政策を変更する。都知事選中、「豊洲新市場は安全なのか?」という声を聞いて「立ち止まって考えるべきだ」と言ってまいりました。知事就任後も移転について賛成、反対それぞれの業者、業界代表者の方々のご意見もうかがってまいりました。長くこの課題に携わってこられた方々の話をうかがい、本も読んでまいりました。

 移転については賛否両論がございます。豊洲新市場の使い勝手上の問題があるという話もうかがいました。私自身、視察しました。大変な費用をかけて大変立派な建物を建設し、また土壌汚染対策も最新の技術を採用していることを実地に見て回ったわけです。

 限られた時間の中での検討ではありますが「都民ファースト」の視点から、私はまだ三つの疑問点が解消されていないと考えております。第一は安全性への懸念、第二は巨額かつ不透明な費用の増大、第三は情報公開の不足です。

地下水検査の結果を見届ける

 まず安全性の確保です。豊洲新市場は生鮮食料品を取り扱います。だからこそ849億円もの費用をかけて土壌汚染対策を実施しました。安全性確認のための地下水モニタリングは第1回が2014年11月18〜29日、201カ所から採水しました。にもかかわらず、2年間のモニタリングが完了する前に開場しようという話になっています。なぜ多額の費用をかける必要性があったのか。

 第9回が2016年11月18日、最後の採水が予定され、1月に結果が公表されます。法律上の問題はないという話もありますが、こと生鮮食料品、水産物です。私は環境相の経験からも、食の安全は生活者の感覚を大切にしたいと考えています。2年間のモニタリング結果を見届けるのは安全性の確認、説得力から譲ることはできません。

建物費用は当初の3倍、適正か

 次に費用の増大についてです。豊洲新市場の全体費用は2015年3月時点で5884億円です。2011年は3926億円、それが4年間で5884億円に膨らんでいるということです。

 建物の建設費だけで2752億円。(当初の)990億円から2752億円へと急膨張しています。人材も資材も高騰していることは五輪などでも同じことが言えますが、それにしても3倍近い増大は精査する必要がある。

 さらに建物の坪単価は220万円です。同様の建物の相場を見ますと、だいたい50万〜60万円なんです。異常に高い。その理由は私も知りたいと思います。坪単価200万円を超える建築の代表例は国立新美術館、黒川紀章さんの設計ですが、260万円。資材、人件費が高騰する前の2006年の竣工(しゅんこう)です。国立新美術館は外観も館内も美しい曲線で建築コストはさぞかしかかっただろうなあと、曲面はガラスですし、造形物としても大変素晴らしい。片や豊洲新市場です。都民の大切な税金をお預かりする身としては、なぜこうなったのか、これが適正なのかどうかを一度明らかにしなければならないと思います。

プロジェクトチームで精査する

 三つ目は、情報公開の問題です。「ネットに書いてある」「みんな関心を持たなかっただけだ」という話もあります。しかしながら豊洲新市場はこんなにお金をかけていながら、そこで仕事をする業者さんからいまだに不満が多く出てくるのはいったい何なんでしょうか。849億円もかけて土壌汚染対策をしているのに安全性の疑問が絶えないのは何なんでしょうか。適切な情報開示、情報公開が行われず、それがちゃんと伝わっていないからだと考えます。だからこそ都民の皆さんが持たれる普通の疑問に対して真摯(しんし)に答えなければならないと考えます。

 移転は延期して次の措置を講じていきたい。市場問題プロジェクトチームを立ち上げます。専門家を招いて、さまざまな都民が抱いている不安、不信に対して精査したい。

移転時期は調査を踏まえて判断

 まず11月18日に採水された地下水の検査を行って、2年間のモニタリングの結果を確認してから判断します。デベロッパーの方々からは「これだけやっていれば安全性は確認できている」という話を聞きますが、それはデベロッパーの都合で、2年間を待たずしてOKを出してしまうのはいかがなものか。2番目は豊洲新市場の施設です。業者の方々の声を率直に聴いて、可能な限り安全で働きやすいものにしたい。言ってみれば、仕立てた服に体を合わせるのではなくて、体に合った服を仕立てるのが大切。どういう改善策が必要かチェックします。

 3番目に経済的観点から事業の継続性、予算の適正性も調査してまいります。新たな移転時期はこれらの調査の進展を待ち、できるかぎり速やかに判断いたします。五輪の道路建設を優先した結果、前倒しになったという話も聞きますが、これらをきちんと精査した上で時期を判断したい。豊洲新市場に移転する方々、また移転で廃業する方々への支援、築地の場外市場への支援、延期に伴って生じる事柄に相談もしっかり検討します。

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