安易なバックレのせいで苦悩する派遣会社
派遣スタッフの「バックレ」ってご存じですか?派遣の契約期間中にスタッフが突然仕事に行かず連絡が取れなくなることです。本人はただ仕事が急に無くなって気楽なのかもしれませんが、契約している派遣会社と派遣先企業は大変な迷惑を被ります。
スタッフ本人は安易な気持ちでやっているとは思うのですが、派遣会社がその時どんな対応をしているかを見てもらえればちょっとでも「バックレ」を踏みとどまってもらえるんじゃないかと思い書いてみようと思いました。
※管理人は元派遣会社の社員。スタッフフォロー、新規開拓などの営業職からスタートし支店長、事業本部スタッフを経験。現場のリアルを味わった1人。今回はわかりやすい「初日バックレ」を例に取ってみます。私は支店長、派遣元責任者として業務、部下に営業担当、コーディネーターがいる状況での話。
前日
就業前日はフォローする担当者がスタッフの携帯に電話を入れる。「明日からよろしくお願いします」の連絡をしておくことで万が一のバックレの可能性を少しでも防ぐ。ここで連絡が取れなかったスタッフがいた場合、最悪の事態も想定し始める(代替えスタッフの確保など)
当日朝はスタッフに営業担当者が同行して派遣先に向かう。当日朝のバックレがないかチェックするのと非常時の対応のため。
当日
待ち合わせ時間に
営業担当から電話が入る。
「スタッフAさんが待ち合わせ場所に現れません」バックレの可能性あり。
「スタッフAさんの携帯に電話入れた?」
「電源を切っているのか繋がりません」
「とりあえず携帯に電話を入れ続けて。自宅電話はこちらから掛けてみる」
「派遣先には就業開始10分前くらいまで待って連絡。話し方はこちらから指示するから。」
「わかりました。とりあえず連絡を取り続けます」
就業開始日の待ち合わせ時間に連絡もなく現れないのはほぼバックレ。おそらく連絡を取り続けても電源を切っていることが多い。または着信拒否にして完全に逃亡の構えか。登録時に自宅の電話番号を書かせているのであれば実家に連絡。バックレの場合、家族にもバックレる旨伝えているケースが多く「いない」と突っぱねられることも多い。
業務開始10分前
営業担当者から電話。
「やはり連絡が取れません」完全にバックレ確定。コーディネーターに就業可能スタッフの確保を依頼、就業先名を伏せて業務内容のみでアプローチをさせる。
「派遣先の担当者に連絡を取って『スタッフが現れない、もしかして事故に遭っている可能性があるので通勤に使う経路を通って自宅まで訪問してみる、就業できない可能性もあるので代替えスタッフの確保を会社に指示した』まで伝えて。」
「わかりました。とりあえず自宅に向かいます」
業務開始時間頃
私から派遣先担当者へ連絡。
- 急なことで迷惑を掛けて申し訳ない
- こちらもスタッフと連絡が取れず、事故の可能性もあり心配している
- 連絡が取れ次第こちらから連絡をする
- ケガなどの場合すぐに就業できない可能性もあるので万が一のために代替スタッフの確保を始めた
- 派遣先には迷惑をかけないよう会社として全力で対応する
などなどともったいつけて説明。要するに「スタッフがバックれたのか連絡がとれない、代わりのスタッフ探すからごめんなさい」ということ。
営業担当がスタッフ自宅に到着
「スタッフ自宅に到着しましたがチャイムを鳴らしても誰も出ません」
「寝ている可能性もあるから5分くらい鳴らしてみて」
「それでも出なかったら『心配しています、一度連絡をください』とメモを書いて郵便受けに投函、帰社してください」
「派遣先には自宅にもいなかったことだけ伝えて、緊急事態につき代替スタッフ確保に全力を挙げると電話だけ入れてください、あとはこちらで対応します」
突発の事故などの可能性もおそらくなく、ただのバックレ。こちらの就業が決まってから他社の仕事を受けたか、就業が決まってから嫌気がさしたか。とりあえずこのスタッフの就業は諦め、代替スタッフの確保に集中させる。
こちらから派遣先担当者に連絡。
- 大変申し訳無いがこのスタッフは何らかの事情で就業できなくなった模様
- スタッフには事情の確認含め連絡を取り続け、事情等が分かれば報告する
- 業務の支障がでるので代替えスタッフを大至急さがし、このスタッフは他の業務に回ってもらうことにする
- ただひたすらに迷惑を掛けている状況に対し謝罪
この時点で派遣先担当者もわかってるんですよ、「ああ逃げた」と。もちろん迷惑がかかっている怒りを先方も持っているし、こちらも謝罪するしかないんですよね。派遣先、派遣会社、営業担当すべてが嫌な気持ちな事このうえない。
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社内ミーティング
営業スタッフ、私、コーディネーターの3人でスタッフの確認、このバックレについて何が問題だったかを確認。じつはバックレには様々な要因がある。これはスタッフだけのものでもなく、派遣先、派遣会社、営業担当まで原因になる可能性がある
- 他の派遣会社の案件を進めていたかをコーディネーターが聞き取っていたか
- 派遣先企業になんらかのネガティブな情報がネットなどに存在していないか
- 登録時のスタッフのスキルチェック、ヒアリングは適切だったか
- 就業が決まってから就業開始まできちんとスタッフをフォローできていたか
ここで「スタッフがバックれたのが悪い」と決めつけず、怒ってはいながらも「他になにか原因があったのではないか」を探さないと同じことがまた起こりえる。
特に派遣先企業になんらかの問題がありそうな場合、バックレ発生後の代替スタッフをわざと見つけず、フェードアウトさせるほうが得策ということもある。
よくある後日談
バックレが発生した後日談でよくあるのが「バックレの代替スタッフが契約満了までに退職してしまう」パターン。結局間に合わせで無理やり就業してしまった、無理やり就業させてしまったことが原因だったりすることが多い。
逆に、こういう試練を派遣会社と派遣先で一致団結してスタッフの確保、就業まで繋げると「ピンチはチャンス」の模範例になることも。この辺りは営業担当と派遣先責任者との人間関係がどのあたりまでしっかり強固になっているかにもよる。
どちらにしてもバックレは起きると誰にとっても迷惑がかかる話です。
最後に
もちろん、スタッフの突然のバックレはスタッフがもちろん悪いのですが、背景にある「バックレることになった原因」というのがいったいどこにあったかを派遣会社は知るべきだし、スタッフもバックレる前に派遣会社に説明して欲しいんです。
どんな簡単な作業であってもどんな難しい仕事であっても給料をもらう限りはプロなんだから。黙ってバックレるという幼稚園の子供でもやらないような「約束破り」はするべきではありません。
約束は最後まで守る、守れないなら一日でも早く連絡して対応を依頼する、それくらい出来るようになってほしいものです。
悪い言い方ですが、スタッフが派遣会社を評価しての「松竹梅」があるように、派遣会社もスタッフに対して「松竹梅」という評価をきっちり付けています。少しでも契約単価の高い、希望する仕事につきたかったら派遣会社から「派遣させたいスタッフだ」と評価してもらうことです。
「バックレる可能性がある、信頼できないスタッフ」などという事前評価をされないよう登録時にはビジネスマナーをしっかりと。登録の時点からスタッフは「品定め」されていますから。
こんな記事がお役に立てれば幸いです(^_-)
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