モノが伝える防災 鎮魂碑地図イベントで配布
神戸よさこいまつりで学生実行委がチラシ
神戸よさこいまつり(9月2〜4日)を主催する学生実行委員会が、阪神大震災の教訓と記憶の継承を目的としたチラシを作り、神戸市内の会場で配布する。教訓を伝え、犠牲者を鎮魂する「震災モニュメント」の地図も毎日新聞の記事を使って掲載した。実行委員長の神戸大3年、河本真夕(まゆ)さん(21)は、「建てた人の思いが伝わる多くのモニュメントがあることを若い世代にも知ってほしい」と話す。
河本さんは震災4カ月後の1995年5月生まれで、「震災を知らない世代第1号として育った」と話す。京都出身で、神戸大キャンパスの鎮魂碑を見て多くの学生も亡くなったことを知った。
今年2月に実行委員長に就任。祭りには例年、全国から学生団体を中心に約120チーム、約4000人が参加する。「神戸で開かれるなら震災のことに触れたい」と考え、知人から紹介されたNPO法人「阪神淡路大震災 1・17希望の灯(あか)り」(HANDS)代表理事の藤本真一さん(32)に相談。モニュメントが兵庫県内各地にあることを知った。
大学で美術史を学ぶ河本さん。「物を見て歴史を見る学問。モニュメントには、その時の思いや歴史が詰まった力がある」と話す。
チラシはA3判のカラー刷りで、8000部を配布する。毎日新聞の阪神大震災特集として今年1月16日朝刊に掲載されたモニュメントマップや、毎年1月17日にある追悼行事などの写真を掲載し、「ぜひこのマップを手に取って、訪れてみてください」とのメッセージも添えた。
チラシを共同作製した藤本さんは、「モニュメントがあることを知らない人も多い。これをきっかけに、目を向けてもらえれば」と話す。神戸よさこいまつりは神戸市中央区の神戸ハーバーランドなどで開かれる。【神足俊輔】