NASAとハワイ大学がハワイで実施していた、火星滞在シミュレーションが先ごろ終了しました。マウナロア火山にある火星模擬体験施設 HI-SEASでの、1年間におよぶ引きこもり生活を完遂した6名の科学者たちは、無事に日常生活へ帰還を果たしました。
さらに地球(つまりテントの外)とのコミュニケーションは火星との距離を考慮して20分のタイムラグをもって行われ、ドームの外に出るには重い宇宙服を着用しなければならないというガチの火星生活となりました。
6人の科学者らは持ち前の専門知識を活かし、模擬的な火星で必要な研究もこなしました。たとえば医師で建築技師でもあるTristan Bassingthwaighteは、火星に建設する居住設備のコンセプトづくりのために、内部で暮らす人の立場から精神的・社会的なニーズがどこにあるかを調べました。またCarmel Johnstonは火星環境で食糧を生産するための研究をしていました。
チームは8月28日にドームでの生活を終え、地上へと"帰還"しました。また口々にこの1年間の火星生活が過酷でありがならも楽しめるものだったと語りました。ただ、やはりはやく地球でのいつもの生活に戻りたいとする本音も漏れ出ていました。
それでも、参加者の一人Cyprien Verseuxは「火星生活における技術的、精神的困難は克服できると思う」としており、チームは決して火星での生活が不可能ではないという手応えも掴んでいた模様です。
ちなみに、NASAとハワイ大学は2017年以降も繰り返し火星居住シミュレーションを実施する計画で、すでに参加者の採用を開始しています。