雨降りの道なら「傘かしげ」、細道でのすれ違いは「肩ひき」で。互いに会釈を交わせばなお良し−。狭いこの国で気持ちよく生きる知恵だという。しかし、一方が気付かないままだと、黙って道を譲るか、鉢合わせしかない。「歩きスマホ」が古来の美風を危うくしている。
仙台市地下鉄駅の転落防止用ホームドアにもたれ、スマホをいじる人がいた。右手のしぐさは「ポケモンGO」。構内放送で注意されても画面から目を離さない。他の乗降客は迷惑この上ない。
駅のホームといえば、東京の地下鉄で盲導犬を連れた男性が線路に転落して死亡する事故があった。誰かとぶつかったわけではないが、周りで男性の危険に気付いた人はいなかったのだろうか。
人混みで周囲の人に意を払わなければ、おのずと大事故につながる。徳島市では23日、運転中に「ポケモンGO」をしていた人の車にひかれ、女性が死亡した。マナーの問題では済まされない。
せめて、駅や公道、雑踏ではスマホを切る習慣を。ゲームに熱中してばかりでは大切なものを見失う。(2016・8・26)
2016年08月26日金曜日