こんにちわ、サユです。
普段はネットのまとめ記事なんて読まない私なのですが、うつ病の話が話題になっているのを見かけるとじっとしていられなくなります。
うつ病患者ですからね、私。
今回気になったのは、ちょっと古いけれど、この話。
「俺だって鬱病言って家でぬくぬくしたいわっ」 - Togetterまとめ
Twitterに投稿された「うつ病で会社休む奴はとっとと辞めろ、つらいのはお前だけじゃない!自分だってうつ病になって家でぬくぬくしたいわ!」という旨の暴言に批判が集まり炎上し、発言者の勤め先から住所まで特定されるに至ってしまったという事件。
2年前の出来事みたいですね。
たまたま触れる機会があったので、この事件について、ちょっと思ったことをつづりたいと思います。
個人特定はやり過ぎ。
まず初めにこれだけは言っておきましょう。
うつ病は病気です。患者の1人として、それは絶対に正しいと思っています。だから炎上した一連のツイートを読んでそれなりに憤りを覚えました。
でも、個人を特定したのはやりすぎです。
この発言者を責める側の「正義」は、個人特定が行われた時点で失われたと感じました。
個人特定して過去の発言までほじくり返すのは批判ではなく、ただの暴力です。そこに「正義」は無い。
うつ病に対する理解を大義名分にして、うつ病に理解のない人間を暴力でもってうつ病に追い込もうとする。そんなことができる人を「うつ病の理解者」と呼ぶことが躊躇われます。
あのですね。
うつ病って、人生をぶち壊す病気なんですよ。
「お前こそうつ病になっちまえ!」なんていう言葉も見かけましたが、そんなことをよくも軽々しく言えたもんだなぁ?!
いつの間にか多数派になっていた「うつ病の理解者」達の一部によって何の躊躇いも無く振るわれた暴力に、私は戦慄しました。
本当に怖いのは「無理解者」なのか「理解者」なのか。
私はうつ病の当事者ですが、ボコボコにされる「無理解者」を見て溜飲を下げた、なんて気分にはなれませんでしたよ、とてもじゃないけれど。
全ての人の同意は得られない。
うつ病が病気であることを断固として認めない人も、いると思うんですよ、世の中には。
全ての人から賛同を得られる事象なんてまず存在しません。まして、うつ病は目で見て確かめることが極めて難しい病気です。「気の持ちようだろ!」と言い張る人がいなくなるとは思えません。
それでも良い、っていうか仕方がない、と思っています。
もちろん、うつ病への理解は広まってほしいですよ。
うつ病になってしまったら早めに休んで早めに復帰できる社会、そもそもうつ病にならないで済む社会が実現されることを願っています。
でも、例えば世の中の全員に「うつ病は病気だ!理解しろ!異論は認めん!」なんて言ったら、むしろ反感を買うんじゃなかろうか。
全員に賛同させるなんて、無理ですよ。
うつ病を病気としてちゃんと扱ってくれる人が増えれば良いと思う。できるだけ増えれば良いと思う。
うつ病のことをなんとなく「甘えじゃないの?」って思っている人がいるなら、私はうつ病のせいで最低に残念になってしまった自分の人生を具体例としていくらでも説明したいと思うし、うつ病なんて病気じゃないっていう人がいたら何回でもしつこく否定します。
それでも、全員の賛同を得るなんて、無理ですよ、絶対に。
100%うつ病患者に優しい世界はあり得ない。
普通に健康に生きていたって、意見の合わない人がいるでしょう。うまく付き合えない人がいるでしょう。それと同じことです。
100%じゃないのは仕方ない、ただ、できるだけ多くの理解が得られることを願っています。
思っていたよりも世界はうつ病患者に優しいのか?
職場の同僚が突然抜けたら、周りは迷惑するでしょう。
原因がうつ病だろうと事故だろうと他の病気だろうと。
うつ病で苦しくなった時に仕事を休むのは、当然認められるべき選択です。
でも「当たり前」とか「けしからん」とかの前に、休めば周りにそれなりの迷惑をかけるという客観的事実は受け止める必要があります。
周りの人が「迷惑かけやがって…」と思う気持ちを私は責められません。
だからって、その気持ちをネット上のオープンな場所に文字という形でリリースしてしまうのはどうかと思いますけれどもね!
冒頭の一件は、2年以上前の出来事です。
うつ病患者に対する暴言が爆発炎上したということに恐怖を覚えました。やりすぎだと確かに思いました。
でも同時に、安堵のようなものも覚えてしまいました。
これは最初に述べた「暴力で人をうつ病に追い込もうと考える人を理解者と呼びたくない」気持ちと矛盾していて、まったくもって不謹慎な感動なのですが。
「うつ病患者の味方になってくれる人は、私が思っているより多いのかもしれないぞ」って思ったんです。
2年前の時点でこの暴言に対して怒ってくれる人がこんなにいるのなら、今の世の中はそこまでうつ病患者に冷たくないんじゃないか、って。
甘いかな。
「次は我が身」だと思って欲しかった。
うつ病患者が生きやすい社会を願っています。
でもそれ以上に、うつ病になる人がいなくなることを願っています。
世界がうつ病患者に優しくなるのは大歓迎です。でも、世界がうつ病患者に優しいならうつ病になっても良い、なんてことは絶対にありません。
うつ病なんて絶滅した方が良い。
身体はどこも悪くないのにしんどくて苦しくて生きてるだけでツライ病気なんです。家で寝ていても安らぎは無いんです。ぬくぬくなんてできるもんか!!
控えめに言って生き地獄ですよ。
もしも、冒頭の暴言に共感した人がいたら、言いたいことがあります。
同僚がうつ病で休職した時、迷惑かけやがって、と思ってしまう気持ちは解る。
でもね。
同僚を責める前に、自分の身に危険が迫っていることに気付いてくださいよ。
私は就職したことがありませんからあまり強いことは言えませんが、うつ病を理由に仕事を休んでしまうということは、十中八九元凶は職場にあります。
自分の職場が「うつ病患者生産装置」になってしまっていることに気付いてほしい。
改善しなければいつか自分もその装置に巻き込まれるかもしれないのだということに、気付いて、危機感を持ってほしいです。
間違っても「うつ病になったら堂々と休めるぜ!」なんて勘違いはしないように。
この苦しさを知らないから「うつ病で休む=楽できる!」なんて言えるんだよ。
そんな甘い病気じゃねぇんだよ。
私は患者として、今もうつ病で健常者の生活が送れない人間として、うつ病がどんなに最低な病気か、うつ病にならないことがどんなに幸せか、発信し続けます。
微力ですが、私にできるのはこれが精一杯なので。
しんどいと言えば休める身分が羨ましい、かぁ。
— サユ@おどりば (@Sayu_Log) 2016年8月24日
うつ病=家で寝てられる!楽チン!
のイメージだけはどうにかして払拭していきたいなぁ。
うつ病になった人なら絶対言うよ。「うつ病になんかなりたくなかった」って。
もしも、「うつ病になって良かった!メッチャ楽だしwww」なんて言っている人を見かけたら、ぜひ話が聞きたいので教えていただけると有難いです。
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