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もしゴジラが上陸したら?現役自衛官たちが真剣に考えてみた(上)

秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]
2016年8月19日
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自衛隊1佐がこっそり明かす
ゴジラに鳥獣保護法準用も検討!?

 「ゴジラがわが国の領海・領空に現れた段階で、防衛省情報本部は情報をキャッチしている筈です。内閣でも掴んでいるでしょう。あるいは米軍からも情報提供はあるはずです。そこでゴジラの属性について分析、検討がなされるはずです。これは内閣や他省庁でも行いますが、防衛省・自衛隊としても当然行います」

 この段階ではゴジラが、(1)どこの国にも組織にも属さない単なる巨大生物、(2)諸外国が軍事行動やテロ目的で放った巨大生物、(3)ISのようなテロ組織がテロを目的として放った巨大生物――のどれに当たるかで、その対応も変わってくるという。

 「軍時行動やテロ目的で放った巨大生物なら、防衛出動の可能性も出てきます。しかしどこの国やテロ組織にも属さないそれならば、動物愛護法の観点からの問題も含めての対応も考えなければなりません。この場合は、わが国の領海・領空内に侵入した段階で、その外に追い出すことを目的とします」

 ゴジラが諸外国やテロ組織に属さない、単なる「巨大生物」「怪獣」の場合、たとえば東京湾にやってきても、わが国国民に危害を加えないようであれば、これは「駆除」の方向で対応するしかないというわけだ。1佐が続けて語る。

 「いかにして、わが国領土に侵入させないかがポイントです。領海内で泳ぐ、もしくは歩いている段階で、陸海空の各自衛隊の航空機を用いて領海外へと誘導、ゴジラを駆除します。捕獲は現実的には難しいでしょう」

 巨大生物、怪獣であるゴジラといえども、諸外国が軍時行動やテロ目的で放ったものでなければ、いきなり殺処分するというわけにはいかないという。そこには法の壁が立ちはだかる。

 「クマやイノシシのように、ゴジラは『有害鳥獣』に指定されていません。なので現状では捕獲はおろか、殺処分などもってのほかです。ただし、ゴジラがわが国領海内に入り放射火炎したならば、わが国国民に危害を加える恐れありとして、『鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(以下、鳥獣保護法)』を準用して対応することになるでしょう」(前出・1佐)

 とはいえ、この鳥獣保護法が準用された場合でも、自衛隊が対応するまでにはクリアすべき課題がある。

 「クマ被害の際、猟友会という狩猟免許を持った人たちが地方自治体から委託を受けて出動します。これは自衛隊や警察といえども、狩猟免許を持っていないという理由からです。ゴジラが現れた場合、たとえ形式的にでも、まず猟友会で対応できるのかどうかは議論されるでしょう。猟友会で対応できない、警察でも厳しいという話になって、ようやく自衛隊の出番という形が取られることになると私は見ています」(同)

 こうして法的な“お墨付き”が出てようやく、自衛隊によるオペレーションが展開される。問答無用で暴れ回るゴジラを目の前にして、そんなことをやっているヒマが本当にあるのか、一抹の不安を覚える話ではある。もっとも、もしゴジラが諸外国やテロ組織が「軍時行動」や「テロ目的」で放った怪獣ならば、わが国領海内に侵入した段階で即、自衛隊が対応可能だという。

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秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]

あきやま・けんいちろう/1971年兵庫県神戸市生まれ。創価大学教育学部大学院修士課程修了。週刊ダイヤモンド、週刊ポストなどに寄稿。政治・経済、金 融、軍事、宗教と幅広く取材。『ブラック企業経営者の本音』(扶桑社新書)、『最新証券業界の動向とカラクリがよーくわかる本』『いまこそ知っておきた い!本当の中国経済とビジネス』『財務省・金融庁のカラクリと仕事がわかる本』(以上、秀和システム)、『知られざる自衛隊と軍事ビジネス』 (別冊宝島)など著書多数。

 


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