対テロ戦略発表 移民の思想チェック導入
【ワシントン会川晴之】米大統領選共和党候補の実業家、ドナルド・トランプ氏(70)は15日、米中西部オハイオ州で対テロ戦略を発表した。イスラム過激派との戦いを東西冷戦の共産主義との戦いになぞらえた上で、米国内でのテロ発生を防ぐため、移民に対する思想チェックを含めた厳しい審査制度を導入する考えを表明した。
トランプ氏は、過激派組織「イスラム国」(IS)の活動が24カ国にも拡大していると指摘。20世紀に米国がファシズムや共産主義を打倒したように、イスラム過激主義という「イデオロギー」に打ち勝ち、テロを防ぐことが重要と強調した。
その一環として、具体的な国名は挙げずに「最も危険と考える国」からの移民を一時停止した上で、移民希望者に対する思想チェックを実施し、テロ活動の支援者や同調者などの入国を認めない制度を作ると訴えた。
また「ISとの戦いで、ロシアとも共通点を見いだすことも可能と信じている」と述べ、シリアのアサド政権を支持するため、シリアで空爆を続けるロシアとも協調を模索する考えを示した。
一方、北大西洋条約機構(NATO)諸国と連携を深めることも強調。トランプ氏はこれまで、NATO加盟国の財政負担が小さいとして非難し、こうした国々への防衛義務の見直しを示唆する発言をして、国内外から批判を受けていた。
トランプ氏は、民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(68)とオバマ大統領を、ISの「共同創設者」として批判している。