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前編、中編からの続きなので、先にそっちを読んでね。
4. エフェクトをかける
カメラの動きが一通り決まったら、適当にエフェクトをかけます。
これも本当にケースバイケースで、ひとつひとつ説明してもキリがないので、特に汎用性の高いもので、かつ ”背景&立ち絵のそれっぽさ” に関わる手法だけを幾つか書いておきます。
4.1 背景の遠近感
一番簡単に遠近感を出す手法がブラー(ぼかし)だと思います。
見せたいものにピントを合わせて、それ以外の部分を距離に応じてぼやかす、シンプルでわかりやすい手法です。
ただし、立ち絵の部分でも触れたように、”背景イラストでは既に遠近が表現されているにも関わらず、編集ソフト上では一様に同じ距離” として処理されます。
なので、一枚の背景イラストにそのままブラーをかけたり、単純に被写界深度(ピントがずれているほどぼやける)を適用したのでは、逆に遠近感がなくなってしまう場合もあります。

▲背景レイヤーにブラー適用。遠くも近くも一様にぼやけててよくわからない。

▲「近」に焦点を合わせて被写界深度適用。「遠」との距離感は出ているが、やはり背景は一様にぼやけている。
こういう時は背景に ”グラデーション的にブラーをかける” とそれっぽかったりします。
まず、背景レイヤーを複製して下にあるレイヤーを非表示にし、上にあるレイヤーの奥の部分を適当にマスクで抜きます。

次に、「マスクの境界のぼかし」や「マスクの拡張」を適当にいじって、遠くほど不透明、近くほど透明にします。

その後、レイヤー全体にブラーをかけて、

何もいじっていない下のレイヤーを表示します。
ついでに「遠」のために被写界深度も適用しておきます。

なんとなくそれっぽいんじゃないでしょうか。
この、”遠くほど不透明度が高い背景レイヤー” の使い道はブラーだけではないので、一度作っておくと色々応用がききます。
例えば、この桜並木の背景イラストだと既に表現されているのですが、遠近を表す手法に空気遠近法と呼ばれるものがあるらしいです。
参考: 色で表現する2つの遠近法テクニック | いちあっぷ講座
簡単に言うと、何もない空間に見えても本当は空気が間に存在しているので、それを表現しようとかそういう話なんじゃないかと思います。間違ってたらすいません。
なので、遠くほど「空気の色が重なっていて」「コントラストが低く」「ぼんやりしている」といった感じでしょうか。
実際にこの背景イラストの桜の木のあたりを見ると、確かに遠くの桜ほどぼんやりしていて水色がかっているのが分かると思います。
この空気遠近法を他の背景イラストに応用する際に、今作ったレイヤーが役に立ちます。
例えば、この野球生命が終わりそうな昴チャレンジのシーン。

この背景もすでにある程度の遠近感は表現されているのですが、手前にいる昴をより目立たせたいので、この背景に上のグラデーションがかったブラーをかけた上に、”遠くほど不透明度が高い背景レイヤー” を ”トライトーンで空の色” にして、”ソフトライトで重ね” ます。

▲元々の背景に、

▲マスクをきって作ったレイヤーの不透明度を下げて、

▲ソフトライトで重ねればこんな感じに。

なんとなくですが、より距離感が出たような気がしないでもないです。
こんな感じで、このレイヤーを調整レイヤーにしてしまえば、距離感に応じた色調変化やエフェクトを適用したりということができるので、意外と汎用性は高いです。
さらに、このレイヤーの不透明度をカメラの移動と同期して変化させれば、カメラが離れるにつれて背景がより青みがかっていくというような表現が簡単にできます。
4.2 立ち絵の遠近感
背景の次は立ち絵です。
テキストを立ち絵と同様に扱う場合は、テキストに関しても同じことが言えます。
立ち絵に関しても、空気遠近法の考え方は適用できて、立ち絵の周辺に空の色のもやもやをスクリーンで配置したりすると、それっぽい空気感が出たりします。
僕が実装する場合は、立ち絵のレイヤーを複製して、下のほうに ”強めのブラー” をかけて、”トライトーンで単色化” して ”レイヤーの不透明度25に設定” って感じにしています。

▲この立ち絵のレイヤーを複製して、

▲トライトーンで空の色に変化させ、ブラーで輪郭をぼかして、

▲それぞれ立ち絵の後ろに不透明度を下げてスクリーンで重ねると、こんな感じに。
これだけだと立ち絵が少ないのでいまいちティンとこないかもしれませんが、画面内の立ち絵が増えるにつれて半透明のレイヤーがどんどん重なって濃くなっていくので、この次のシーンなんかを見ると、遠くほど青みがかっているのがよくわかると思います。

▲カメラが手前に引いていくにつれて、カメラと未来の間に空気が挟まれていく。
僕は手間を減らすために立ち絵をもとに空気を表現していますが、より厳密にしたいなら空気レイヤーのようなものを作って挟んでやるのもいいと思います。
まぁこの辺りはカメラワークや構図次第でもあるので、ケースバイケースで。
立ち絵の遠近表現には他にも色々ありますが、AE標準エフェクトの遠近にカテゴライズされている『ドロップシャドウ』や『べベル』を使う場合は注意が必要かなと思います。
ドロップシャドウはその名のとおり影を落として簡単に遠近感を出せるのですが、立ち絵と背景を使う場合、”どこに影が落ちているのかわからない”、謎の影になってしまいます。

▲実はかなり見やすくなるので、これはこれで表現の一つとしてアリかも。
背景が静止画MAD的なカラフルな平面等であれば問題ないのですが、イラストや実写素材の場合はちょっと違和感があるので、使う場合はどこに影が落ちているのか意識して、”『影』を『影が落ちるオブジェクト』でクリッピングする” などの処理をするといいと思います。

▲距離的に近い未来にだけテキストの影が落ちていて、他の部分には影なし。
ベベルもシャドウと同様に簡単に立体感を出せる便利なエフェクトなのですが、立ち絵に適用すると全ての輪郭が一様に盛り上がってしまうので、逆にペラペラ感が出てしまいます。
なので、カメラの時に話したように、元々ペラペラな写真やカード、図形、テキストなどに限って適用するのがいいのかなと思います。

▲”人っぽさ”は消えるけど、逆に ”絵がそこにある感” は増すので、そういう表現にしたいなら良さそう。

▲テキストはちょっとした厚みが感じられて悪くない気がする。
4.3 光の表現
光については、すごい人がたくさん集まってあーでもないこーでもないという話をするくらいディープな分野なので、僕からは超シンプルな方法を2つだけ紹介しておきます。
1つ目は、”平面レイヤーに円形のマスクをかけて境界をぼかして光源にする” やり方です。
これは本当に簡単で軽くてわかりやすいのが良いところですね。

▲左上に光源があるイメージで、白い円を置く。

▲白い円の境界をぼかしまくる。

▲ソフトライトで重ねる。左上から光が当たってる感じになった気がしない?
光源と立ち絵の陰影の合わせ方ですが、立ち絵の方をいじるのはかなり手間なので、立ち絵の陰影に合わせて光源を置く方が楽だと思います。
その際には元のカードイラストを参考にすると楽だったりします。
2つ目は、”3Dレイヤー化していないカラー平面をソフトライトで重ねる” 方法です。
これは全てのオブジェクトが一様に同色に染まるので、同じ空間にある感が増しますし、何よりこれもめちゃめちゃ簡単で軽いのが素晴らしいです。
多用しすぎるとクドくなるので、不透明度を下げたり、あえて使わなかったりと、バランスを考えて使うといいかもしれません。
1つ目と組み合わせて円形光源に色を付けるってのもいいと思います。

▲ライブシーンでは特に有用で、

▲青いライトがあたっている感じに。
この二つはやり方次第でエフェクトやプラグインを必要としないので、たぶんどんな編集ソフトでもできるんじゃないでしょうか。
さらに色や光を適当に組み合わせると、より背景と立ち絵が馴染んでそれっぽくなります。

▲そのままでも結構馴染んでますが、

▲青みがかった光や、赤いライトの雰囲気を加えると、よりそれっぽい感じに。
この辺は色調弄りと並行してやっていけばいいと思います。
ちなみに光源にAEのライトを使うという手もあるんですが、今まで何度も言ってきたように、オブジェクトの数値を機械的に計算するエフェクトを用いると、逆に背景や立ち絵の厚みのなさが浮き彫りになってしまうので、僕は背景&立ち絵の場面では使わないようにしています。
逆に静止画MAD的な部分ではここぞとばかりに使います。やっぱり便利でカッコいいので。
4.4 その他のエフェクト
やはり画面上に物体が多ければ多いほど遠近を感じるので、『謎のほこりを散らすパーティクル』なんかはよく使います。
あとは『煙』『もやもやした何か』『光の揺らぎ』とかも使います。
この辺は、僕よりはるかに丁寧で詳しくハイレベルなチュートリアルがネット上にめちゃめちゃいっぱいあるので、適宜ググってみてください。
ちなみに僕は有料プラグインをひとつも持っていないので、基本装備だけで作っています。
『CC Particle World』と『フラクタルノイズ』さえあれば何でもできる!たぶん!
5. 色調を整える
最後は色調ですが、これはもうかなり適当です。
もちろん前述の遠近にかかわる部分には気を使いますが、作品の雰囲気を決めるような全体的な色調には正解がないと思っているので、わりと雑です。
同じ色調の動画でも別のPCで見たら印象が全然違いますし、”メインモニタで丁寧にこだわって作り上げた最高の色調が隣のモニタで見たらクソだった” とかもざらにあるので、ある程度納得できたらもういいんじゃないですかね。
重要なキーワードは"DON'T THINK FEEL IT!"
とはいいつつも、一応の指標として ”元のカードイラスト” を意識して、それに近づけるようにするというのは意識しています。
一部を除いて立ち絵にはエフェクトがかかっておらず、逆にカードイラストにはかかっているので、カードイラストっぽい感じを目指して色調を整えれば結構それっぽくなります。
色調にこだわる人に突っ込まれた時も『公式だし!公式リスペクトだし!』というディフェンスができるのでオススメです。

▲ブラーをかけた調整レイヤー2枚をそれぞれ乗算とスクリーンで重ねて、最後にトーンカーブで少々整えた結果。
あとは先人の知恵に頼りましょう。僕に色調の解説は無理です。
参考:
ボン太くんPのブロマガ「改変静画を作ってみる【G4U】」
妖狐Pのブロマガ「【G4U】改変静画を作ってみる」
6. 微調整
色調まで終わったら、最後にプレビューを繰り返し見て微調整します。
ここが一番時間がかかります。
何故ならプレビューを見るのが楽しくて無駄に何回も見ちゃうから。
気を付けている点としては、やはりカメラです。
特に色調を整えた結果、最初に予想していた視線移動が変化したりするので、メイン被写体を明るくしたり、背景のコントラストを下げたり、とにかくひたすら試行錯誤って感じです。
カメラ自体も1フレーム動かすだけで見心地が全然違ったりするので、色々試します。
とにかく試します。
これでもかと試します。
ずっと作業していると感覚が狂ってよくわからなくなったりするので、あえて一晩放置して次の日に作業したりします。
この1フレームの違いにこだわるというのは言い過ぎではなく本当の話で、例えばカメラをふってトランジションする場合、僕は4~5フレーム使って移動するのですが、ここでの1フレームは20%~25%に相当するわけですから。本当に全然違います。
※ちなみにフレームレート30で作ってます。
まぁどこまでこだわるかは目指すべきものや作業に費やせる時間にもよるので、いざとなったら細かい調整より先に進めることを重視すべきですね。
合作等で締切があったりする場合は特に。
全体として
これまで1画面を作る流れを解説してきましたが、全体の話もちょっとだけします。
僕が動画を作る上で色々なものを参考にしているというのはここまでの話で分かると思いますが、実際に作る際には ”具体的な演出は参考にし過ぎない” という意識を持っています。
これも何回も言いましたが、僕は統一感を重視しているので、いろいろなところから演出を持ってくるとどうしてもツギハギ感が出ちゃうんですよね。
複数のネタを上手く馴染ませて自分流にできる技量があればいいんですが、残念ながらそういう力はまだ身につけられていないので、一つの動画で参考にするネタの数は絞っています。
逆に、統一感を出す方法として、”『こんな雰囲気にしたい!』というイラストをひとつ選んで、色調や演出を考える際にそのイラストに馴染ませるような意識を持つ” と、全体として雰囲気が統一されたりします。
似たような話で、できることを全部をやり切らないということも意識しています。
これは手抜きをするということではなく、あくまで ”この動画のテーマはこれ” というものを決めて、”そこから逸れるようなことは出来てもやらない” といった感じでしょうか。
できることを全部やろうとすると、僕の技量では統一感を維持することができずごちゃごちゃしちゃって、なんというか演出やエフェクトのサンプル集みたいになっちゃうんですよね。
あくまでアイドルを魅せる為に技術を身に付けているので、技術を魅せるためにアイドルを使っているようには見えないようにしたいと思っています。
まぁこれも何度も言っていますが、あくまで好みやスタンスの問題だと思いますが。
最後に
ここまで3記事も使ってしまったので、”最初に簡単だって言ったのは何なの?嘘なの?” と憤慨している人もいるかもしれませんが、やってみると簡単なんですよ、本当に。
それに、今回の投稿祭で上がった他のミリオンの静止画MADを見てくださいよ。
なにをどうやってるかすらわからないでしょ?
少なくとも僕にはわかりません。
それに比べたら公式の背景に立ち絵をのせてカメラを動かすだけの僕の動画の作り方は、静止画MADというより、ちょっと派手なスライドショーです。
ただ面倒臭いだけで図形とか使わないのも「私は図形じゃなくてアイドルを魅せたいんだ!」とか言っておけば恰好がつきますし。
実写背景やおしゃれな素材を使わないのも「公式リスペクトです。」というナイスな言い訳がありますし。
気持ち的にも楽です。
なので、これを読んでいけそうじゃん!って思った人は、是非何かしら作ってみてください。
作ってくれたら僕が喜びます。
お願いします。
ここまで長々と書いたのも、黙っていれば独占してドヤ顔できるような自分の手の内を明らかにしたのも、すべては「僕っぽい動画を誰よりも見たいと思っているのが僕」だからです。
「自分で見たい、けど無い、だから作ってる」という気持ちは、動画を作っている人になら結構わかってもらえるんじゃないかと思います。
パクリとか言いませんし、嫌な顔もしません。
むしろ喜びます。
役に立ちそうなところだけ使ってもらえれば十分です。
なので、繰り返しになりますが、ぜひ静止画MADに手を出してみてください。
ミリオンライブの世界に没入している感が最高に気持ちいいです。
おススメです。
765プロライブシアターは、いつでも君を待っているぞ。
おしまい。
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次の記事これより新しい記事はありません。
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